ニューヨーク都市圏のマーケットニッチャーの地味な努力
Everbody! Good Monday!
[2018vol46]
2018年第46週。
11月第3週。
昨日の11月11日。
中国は独身の日。
アリババは1日で、
最高額3兆5000億円を売った。
毎年史上最高額を更新して、
今年も当然ながら新記録。
ここアメリカでは、
ベテランズデー。
退役軍人の日の祝日。
ニューヨーク・マンハッタンでは、
パレードが行われて、交通規制。
私たちは午後、ニュージャージーへ。
ニューヨークにやってくる目的の一つ。
ウェグマンズ。
入口を入ると、
市場のような青果部門。
ここがなにより、いい。
青果店から出発した同社の、
強みがいかんなく発揮される。
天井は高くてスケルトン方式。
左手を見るとチェックスタンドが、
ずらりと並ぶ。
右を見ると、
「フードサービス部門」と呼ぶ、
惣菜デリ売場。
そのフードサービス部門は、
手前にセルフデリ。
顧客はここで自由に選んで、
イートインコーナーで食事する。
そのフードサービスの最後に、
ザ・バーガー・バー。
1人前10ドルのハンバーガーショップ。
正面の青果部門の奥は、
スーパーマーケットでは、
最大レベルの花売場。
その奥に新しい売場。
「デリカテッセン」のパネル。
そしてデリ・ミート&チーズの、
「フレッシュ・スライス・デイリー」
加工肉とチーズを毎日スライスする。
それをビニールパックに入れて、
商品がよく見えるようにし、
ジップロックをつけている。
天井近くには模型の列車。
そしてコモディティ商品で、
コンシステント・ロープライスの展開。
一貫して低価格。
ウォルマートのEDLPと同じ。
ファミリーパックは大容量パック。
これはコストコに対抗する手段。
99セントのパネルにスポットを当てる。
価格が目立つ。
コモディティにはシンプルなパネル。
そして1ガロン2.34ドル。
3.8リットル100円換算で234円、
1ドル120円としても280円。
ウォルマートやアルディと比較しても、
最安値を出している。
店舗左サイドは、
ディスカウンターかと思うほど。
ウェグマンズはレース型競争にも、
コンテスト型競争にも、
どちらにも勝とうとしている。
それがマーケットリーダーの闘い方だ。
続いて、
ショップライト。
ボランタリーチェーンだが、
このニューヨーク都市圏で、
最大のシェアを持つ。
127店舗で22.7%の占拠率。
エントランスも楽しい。
入口にはファーマシーがある。
そしてこの密度のある空間。
左手の青果部門は、
やはりオーガニックが目立つ。
ウェグマンズほどではないが、
青果部門も豊富な品揃えだ。
青果の右手には、ケーキ売場。
お好みのデコレーションをしてくれる。
デリカテッセンとサンドイッチは、
ボアーズヘッド。
人気のブランドだ。
そしてウェグマンズと同じコーナー。
加工肉とチーズのデイリー・スライス。
シーフード部門ではケースの上に、
氷を敷き詰めて販売する。
チーズ売場も品ぞろえ豊富だ。
セルフデリもウェグマンズレベル。
ブループリントのホットドックとサラダ。
ストリート料理は作りたてを提供する。
スモークハウスには、
ブリスケットもある。
ジュースとスムージー・バー。
その横にコンブチャのバルク売場。
ホールフーズにもあったが、
今、ブームの兆しがある。
そして精肉の対面コーナーには、
「クラフト・ブッチャー」のネーミング。
売場の最後に宅配のコーナー。
もう、どんな店でも、
ネット宅配は必須となってきた。
シーゾナル売場には大型テレビが、
ポップアップで販売されている。
ショップライト、
素晴らしい店だ。
一夜明けて、
ニューヨーク3日目。
朝からマンハッタンのブロードウェイ。
歩いて南下しつつ、とんがり店舗を見る。
ゼイバーズ。
入口には圧巻のチーズ売場。
スモークフィッシュ売場には、
日曜日の朝から顧客が殺到する。
惣菜もゼイバーズの味があって、
その独特の味に顧客がついている。
コーヒーは好きなブランドを、
ミックスもしてくれる。
そして2階のキッチン用品売場。
専門性もあって素人でも楽しめる品ぞろえ。
ゼイバーズから歩いて5分。
まず、シタレラ。
マンハッタンとその周辺に7店あるが、
高いブランド力を持つ。
精肉も高い品質。
その隣に、
フェアウェイマーケット。
高い陳列の青果部門。
野菜と果物に取り囲まれた感覚になる。
根菜から柑橘類へ。
果物も美しくて高い陳列。
このフェアウェイマーケットでも、
朝から惣菜に顧客が並ぶ。
チーズ売場も独特な雰囲気をもつ。
コーヒー売場は、
ひきたてを買うことができる。
鮮魚は鮮度が命。
それが氷を敷き詰めた売場に、
しっかりと並ぶ。
精肉の対面売場。
縦陳列でこれも選りすぐりのアイテム。
2階はオーガニック商品ばかり集める。
この売場はオーガニックだけの野菜・果物。
奥の乳製品売場も、
オーガニックだけ。
バルク商品は顧客自身が、
環境に対応していると、
自己満足できる売り方である。
フェアウェイ本店は、
昔ながらの売り方だが、
「古いものは新しい」のコンセプトを、
地で行く売場づくりだ。
ブロードウェイ最後の店は、
トレーダー・ジョー。
地下1・2階の変則的な売り方を追求した店。
マンハッタンを描いた壁面。
デモンストレーションのコーナーは、
必ず人がついて、新商品の味を、
顧客に伝える。
地下2階にはパン売場や日用雑貨がある。
この店は酒は置いていない。
法律で禁じられているからだ。
トレーダー・ジョーの加工食品は、
9割まで増えている。
その1品1品にトレーダー・ジョーの魂が、
くっきりと盛り込まれている。
ニューヨーク大都市圏の、
とんがり店舗を見てきた。
コンテスト型競争の中の、
マーケットニッチャー。
市場占拠率は低いけれど、
顧客の頭の中にくっきりと位置を占める。
これがポジショニングである。
それは店全体に「ブランド」力があること、
日本流にいえば「暖簾があること」。
そのためには地味な努力が何より必要だ。
マインドシェアは、
スタンドプレーからは生まれない。
ではみなさん、今週も、
地味な努力を。
Good Monday!
〈結城義晴〉