五木寛之の「山河破れて国あり」の山河を取り戻すのは「民」の力
始まった。
「盛岡さんさ踊り」
「青森ねぶた祭り」
東北に祭りがやってくる。
「自ら、盛り上がれ!」
今月の商人舎標語。
日経新聞に五木寛之さん登場。
「半世紀に及ぶ執筆歴を持ち、
今なお第一線で文筆活動をしている作家、詩人」
日経はこう、紹介する。
「12歳で迎えた敗戦は大事件だった。
その前と後では、ものの見方が変わってしまった」
同じように、「ものの考え方、感じ方も、
3月11日以前と以後とでは、がらっと変わった」
「だから私は、『第二の敗戦』と受け止めています」
1945年の敗戦。
2011年の第二の敗戦。
「66年前の敗戦の時は、
杜甫の詩の『国破れて山河あり』という状況だった。
国は敗れたが、日本の里はあった」
「いま私たちに突きつけられているのは、
『山河破れて国あり』という現実」
「何より悲劇的な問題は、
汚染が目に見えないことだ。
依然として山は緑で海は青い。
見た目は美しくて平和でも、
内部で恐ろしい事態が進行している」
「『山河破れて国なし』と言う人もいるかもしれない。
ただ、原発の再開も、復興の予算も今も国が決定する。
今も国はあるんです」
「今ほど公に対する不信、
国を愛するということに対する危惧の念が
深まっている時代はない」
「戦後日本人は、昭和天皇の玉音放送のように、
堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍び、
焼け跡の中から復興をめざし国民一丸となってやってきた。
今、大変な大きな亀裂が、ぽっかり口を開けている」
五木さん、悲観的。
大きな亀裂が、口をあけている。
それを私たちは埋めなければならない。
汚染牛肉の出荷停止問題は、
岩手県から栃木県まで広がった。
厚生労働省の対応は、
「臭いものに蓋」の観あり。
同じく日経新聞。
「イトーヨーカ堂は国産牛肉の納入業者7社に、
全頭について放射性物質の検査をするよう要請」
「10日からは店頭に並ぶ牛肉全てが検査済みとなる」
「イズミヤも取引先に全頭検査を要請」
ライフコーポレーションは自社で検査機器を導入する。
「約1000万円を投じて放射性物質の測定器を導入し、
9月からの検査実施を目指す」
「首都圏の店舗へ 牛肉を加工・配送しているセンターに設置し、
仕入れた国産牛肉の一部を抜き取り検査する」
既報の通りイオンは、第三者機関に、
トップバリュ国産牛肉の全頭検査をスタートさせている。
昨日、㈱関西スーパーマーケットの井上保社長と話した。
「うちも検査機器を7台購入しました」
関西スーパーも「民」の力で、
商品の信用を保証しようと試みた。
公的機関は顧客からは全く信用がない。
だから民間が信用保証しなければならなくなった。
五木さんのいう「公に対する不信」
「大きな亀裂」
「民」が、それを埋める仕事をする。
日本ハムも、「青森県の食肉加工場と物流センターで、
東北産の牛肉の放射性物質の自主検査を始めた」
「スペクトルサーベイメーターという機械を持ち込んで、検査」
「異常値が出た肉については、
茨城県つくば市にある中央研究所で再検査し、
国の暫定規制値の半分の1キログラムあたり250ベクレルを超えた場合、
公的機関に検査を依頼する」
メーカー、卸売業、小売業。
その連携で、消費者に訴えかけねばならない。
五木さんのいう「山河」を回復させねばならない。
日経新聞「第40回日本の卸売業調査」。
2010年度の売上高は調査635社で33兆9849億円。
2009年度比1.5%増。
2年ぶりのプラス。
営業利益も10.0%伸長。
4年ぶりに好転。
「2011年度は東日本大震災の影響が出るものの、
大手卸の再編や中国市場への進出をバネに、
回復基調が続く見通し」
食品卸が全体の4割強を占める。
その食品は売上高の伸び率2.0%。
医薬品卸は3割弱だが3.6%増。
「三菱商事系の食品卸4社が経営統合し、三菱食品が誕生」
「国分や日本アクセスなど他の大手食品卸も
M&Aに取り組むなど業界再編が進む」
さらに「中国市場開拓も活発」
日経は「再編による効率化や新規市場開拓が成長のカギ」と総括する。
ただし「民」の力とは規模だけではない。
流通の「毛細血管」も、重要な「民」の力である。
「民」の力の総和によって、
「破れた山河」は取り戻される。
「民」の力の総和が、
「公」を動かすに違いない。
<結城義晴>
追伸
今日からブログ小説『ジョージ君、アメリカに行く』がスタート。
わが商人舎、海外特別顧問の浅野秀二さんが
若き頃の物語をエンターテインメント小説として書き綴ります。
ぜひ、楽しんでお読みください。