勤労感謝の日の「おかげさまで」とライフ大口店オープン
勤労感謝の日。
そしてアメリカでは、
ブラックフライデー。
朝日、毎日、読売、日経。
さらに産経、中日、北海道、西日本。
東京、京都、静岡、中国、山陽、
そして河北新報、新潟日報、沖縄タイムス。
私がチェックしている新聞のコラム。
それらの中で一番、
勤労感謝の日らしかったコラムは、
東京新聞の「筆洗」と、
中日新聞の「中日春秋」。
実は両紙は提携していて、
同じ文章だ。
「お忙しいですか」
とあいさつされたら、
なんと答えるか。
外国人の返事はそろって、
「不幸にして」
日本では「おかげさまで」
つまり「幸いにも」
わたしもそう答える。
これは作家の塩野七生さんの随筆にある。
外国人が集まるシンポジウムで、
塩野さんは会場に問い掛けた。
そして「不幸にして」と答えた外国人たちに、
日本人は「幸いにも」だと教えるとほぼ全員が、
<口をポカンと開けたのでありました>
「アダムとイブが罰せられて
楽園を追われたため、
人は働かなければ生きていけなくなった」
だから「労働を避けたいもの」と捉える。
日本人の「多忙を尊ぶ心の持ちよう」は、
「農耕民族ゆえだろう」
そして商人(あきんど)の語源。
「”秋にやってくる人”だとする説がある」
これは知識商人として、
知っておかねばならない説だ。
「収穫期に農村を訪ね、商う人だからだ」
「農家の軒先から”おかげさまで”の声が
聞こえる景色を想像してみる」
なるほど商人の原点であり、
マーチャントの精神の源流だ。
コラムの結論。
「外国からの人にせよ、わが国で
“不幸にして”働く人が増えないことを願う。
すでに、生きるために、
やむなく働くお年寄りも多い」
「”お忙しいですか”という声に、
笑って返事ができる世の中がいい」
コラムニストは日本人の良さを、
しみじみと述懐する。
それはいいことだ。
その勤労感謝の日。
横浜の大口。
MEGAドンキUNY大口店が、
フォーマット転換して、
再生された。
目の前のライフ大口店は閑古鳥。
そのライフが今日、
リニューアルオープン。
商人舎流通スーパーニュース。
ライフnews|
ライフ大口店(2層747坪)刷新/食強化でドンキ対策
店舗は地下1階・地上3階建てで、
売場は1階が食品フロア、
2階が衣料品のフロア。
2階にはイートインスペースを設け、
スギ薬局やクリーニングのテナントも入る。
売場面積は747坪。
農産部門の一丁目一番地には、
花が並べられた。
右手壁面にはデリカテッセン。
オープン記念の特売。
しいたけには思わず手が出て、
買わせていただきました。
青果部門とデリカテッセンの次は、
インストアベーカリー。
ちぎりパンdeサンド。
水産部門も畜産部門も、
惣菜部門もグロサリー部門も、
開店日の特別な売場だが、
クォリティ&サービスの店の特長が、
ふんだんに盛り込まれた。
そのうえ、オープン記念特売。
オープン日としては合格。
一方のMEGAドンキUNY。
ピアゴ大口店を改装して、
ユニーとドンキのダブルネーム1号店。
今年2月23日のオープン。
ピアゴ時代の2倍の客数だと言われたが、
今日は逆に閑古鳥。
まあ、当然だ。
しかし、ライフ対策らしきものは、
施されている気配がなかった。
流通スーパーニュースには、
これといった記事に、
【結城義晴の述懐】を書く。
11月19日のライフnewsでも書いた。
「私はこの店の商圏内に居住している」
「MEGAドンキUNYはディスカウント型だから、
ライフはクォリティ&サービス型を、
さらに強調する。そんな競争構図となる」
その通りだった。
「近隣にはいなげやが撤退して
オーケーが出店していて、
全体にディスカウント基調が強い。
だからライフは
クォリティ&サービスタイプといっても、
強力なディスカウントを
仕掛けてくるに違いない」
「ドンキは案外、
“安くない”側面も持っているし、
食品に関しては絞り込み型だから、
丹念にそれを調査して、
アメリカの競争のように
“価格比較告知”などしても面白いなどと、
無責任にも考えていた」
それはしていなかった。
「ライフが、
クォリティ&サービス&ディスカウントを
完成させれば、それはそれで
ライフの新しい強みが出ると思うが」
今日、現場を見て、
あらためてその通りだと思った。
米国北カリフォルニアの、
ナゲットマーケット。
19店舗のインディペンデント企業だ。
しかし毎年毎年、必ず、
「働きがいのある企業ランキング」に、
ランクインする。
そのナゲットマーケットが、
力強く標榜するのが、
「アクチュアリー・ロープライス」
その意味は、
「外見と違って、本当に安い」
ファサードや店内は、
息をのむほど美しいし、
ファンタスティックだ。
しかし、価格は安い。
ウォルマートやウィンコフーズには
やはりかなわない。
しかしセーフウェイやレイリーズなど、
同じスーパーマーケットには、
絶対に勝つ。
そのアクチュアリー・ロープライスを、
ライフ大口店は実現しようとしている。
「競争は砥石だ」
(株)エコス会長の平富郎さんの口癖。
MEGAドンキUNYとライフ。
顧客の立場にとってみれば。
競争は確かに面白いし、ご利益がある。
両者ともに、
「おかげさまで」の精神を、
存分に発揮してもらいたいものだ。
そこにこそ、
「勤労感謝の日」オープンの意義がある。
〈結城義晴〉