結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年01月09日(水曜日)

コンビニ3社「駐車場共有・店舗で競争」の「呉越同舟の論理」

遅き日のつもりて遠き昔かな 
〈与謝蕪村〉

季語は「遅き日」。

日経新聞電子版の「経営者ブログ」
㈱IIJ会長の鈴木幸一さんが、
蕪村の名句を引用。

日々、日暮れの時刻が遅くなっていく。
それが積もりつもって、
遠い昔が思い出される。

今日は夕方から、
商人舎web会議。 IMG_1002

商人舎には3つのサイトがある。

商人舎公式ホームページ、
これが結城義晴の毎日更新宣言ブログ。
さらに月刊商人舎Websiteと、
商人舎流通スーパーニュース。

それらを日々、改善改革する。
そのためにディスカッションする。IMG_1003

1時間半も会議をして、全員写真。
私の隣から、
Webコンサルタントの猪股信吾さん、
不動産コンサルタントの内田憲一郎さん、
㈱プラージュの岩田幸大さん。
そして商人舎編集スタッフの鈴木綾子。
IMG_0999
みんな大活躍中です。

全員が持っているのは、
商人舎発刊の単行本。
明日、発刊。
鈴木哲男著『流通RE戦略』
REは「リ・エンジニアリング」の略。

ご期待ください。
明日、発刊です。

さて、イオンの第3四半期決算。
商人舎流通スーパーニュース。
イオンnews|
営業収益6兆3394億円・2%増/営業利益6%増
第3四半期として、
営業収益・営業利益・経常利益、
いずれも過去最高。
IMG_51418_
しかしイオンリテールも、
マックスバリュ各社も、
まだまだです。

さて昨日の日経新聞の記事。
「競合コンビニ、配送で協業」

本当に新しい時代がやってきた。

セブン‐イレブン・ジャパンと、
ファミリーマート、ローソンの3社。

「店舗に商品を荷下ろしする駐車場を、
共同で借りる取り組みを始める」

背景にあるのが2020年の東京五輪、
そしてパラリンピック。

その期間中は交通渋滞緩和のために、
路上駐車できる場所が制限される。
だから駐車場の確保が難しくなる。

そこで駐車場を共用する。

呉越同舟。

借りる際のルールづくりなどには、
経済産業省が支援する。

他のコンビニやスーパーマーケット、
ドラッグストアや外食店などにも、
この参加を呼びかける。

まず手始めは、千葉県JR津田沼駅前。
セブンとローソンの2社が、
配送トラックの駐車スペースを共用する。

続いてセブンとファミマ。
「別の場所で駐車場をシェアする方向で、
候補地の選定を進めている」

「まず首都圏を中心に共用し、
全国に広げる」

ビッグ3の国内店舗数は、
5万2000店弱。
「全国のコンビニの約9割を占める」

これを「三占」という。
私の造語。

「このうち駐車場がない店舗は、
都心部の駅前や繁華街を中心に
2~3割に上るとみられる」

駐車場のない店舗への配送は、
どの業態にとっても頭痛の種だ。
駐車可能な路上スペースを使う。
それがなければ民間の駐車場を借りる。

近接した店舗同士ならば、
共用するに越したことはない。

もちろん、
物流センターから店舗までの配送は、
従来通り各社がそれぞれ行う。

インフラは共有、
店舗では競争。

これからの競争の定石となるだろう。

経産省とコンビニ5社は共同で、
RFIDの開発実験を展開している。
Radio Frequency Identifier(無線自動識別)。
2025年までに約1000億個の全商品に、
電子タグを貼り付ける目標を掲げる。

キャッシャーレス・レジの実験だ。

日経新聞の結論。
「可能な範囲で組む動きは
今後も相次ぎそうだ」

経産省はコンビニの機能を、
妙に高く評価している。
スーパーマーケットはその分、
割を食っている気もする。

今日の日経ビジネスDigital。
「今日の名言」
今のオペレーションのままだと
お店が回せなくなる時期が
すぐそこまで迫っていると
考えています。
(竹増貞信㈱ローソン社長)

「2025年ごろが節目でしょうか。
24時間、1人で店舗を
回せる仕組みをつくりたい。
それくらいのイメージで進めないと、
環境の変化に追いつけないでしょう」

外食産業などで、
「ワンオペ」と略して使われる。
1人オペレーション。

しかしこれは本来、
コンビニエンスストアの原則から、
大きく外れることになる。

いや鈴木敏文セブン&アイ前会長が、
定めたコンビニの鉄則を破る。

日経新聞には同じ趣旨の記事がある。
「同業種、広がる共同物流」

「同業種のライバルが物流や配送で
連携する動きは活発だ」

⑴医薬品物流連合。
医薬品メーカーの3分の1が参加。
製薬10社程度を束ねるプラットフォーム。
日本通運が構築する。

⑵国内食品大手5社は、
全国規模の共同物流会社を設立する。
味の素やハウス食品グループ本社など。

⑶ビール大手4社は17年9月から、
北海道で製品の共同輸送を始めた。
アサヒビールやキリンビールなど。

⑷アパレルの2社。
ワールドとTSIホールディングスが、
18年9月に商品の共同配送を始めた。
同じ商業施設に出店している店舗が対象。
関東の1都6県の39カ所から開始する。

背景には深刻なドライバー不足がある。

こちらも呉越同舟。

「呉越同舟」とは一般に、
「仲の悪いもの同士が協力すること」
とされる。

しかし「孫子」の兵法では、
「宿敵同士でも、
乗り合わせた舟が大嵐に合えば、
協力することになる」
という意味だ。

したがって孫子は、
「仲の悪いもの同士を協力させるには
共通の目的を持たせる」とする。
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これからは「呉越同舟の時代」

M&Aや経営統合、企業同盟にも、
この「呉越同舟の論理」は働いている。

積もりつもった「遠き昔」のことではない。

〈結城義晴〉


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