月刊商人舎2月号「幸せの時間管理」とNYCブロードウェイの大変化
月刊商人舎2月号。
発刊しました。
ニューヨークに来ているので、
刷り上がった雑誌を、
手にすることはできませんが。
特集は、
幸せの「時間管理」
タイムマネジメントとMHコントロール
今月号も、
ずっとやりたかったテーマです。
[Cover Message]
「時間」は有限である。誰に対しても、どんな組織に対しても、時間は公平に与えられている。しかし、ゲーテは楽観的である。「うまく使えば、時間はいつも十分にある」。ピーター・ドラッカーはやや悲観的だ。「時間こそは、最もユニークで乏しい資源である」。人生においても、企業経営においても、「時間」こそが最も有益で、唯一の資源である。しかしそれはいつも、誰にとっても乏しい。「働き方改革」が喧伝される今、「時間管理」こそ最優先されるべき経営課題である。そしてこの経営的命題としての「時間管理」を適正にしようとするとき、経営者自身のタイムマネジメントと現場オペレーターのマンアワーコントロールとを、別次元の問題と捉えてはならない。経営者は人手不足と人時生産性を問題にするのに、自らのタイムマネジメントはおろそかであることが多い。そんな企業に限って、マンアワーの効率が低い。企業全体で、組織内のそれぞれの役割に合わせて、謙虚に「時間」という資源に向き合うべきである。それを組織風土とするべきである。天に唾するごときテーマだからこそ、真摯に検証しなければならない。幸せの「時間管理」を求めて。
その目次。
ピーター・ドラッカー、
ヘンリー・ミンツバーグ、
マイケル・ポーター。
現代マネジメントの巨匠たちの、
「時間管理」の考え方を、
わかりやすく、しかし丁寧に、
ダイジェストした。
もちろん商人舎の視点で。
サミットのLSPも徹底取材。
それから特別企画は、
「上田惇生を悼む」
上田先生を師と仰ぐ二人、
川勝利一さんと結城義晴が、
評伝を書きました。
私は編集後記に書いた。
「上田惇生先生を亡くした。
流通業界の”ドラッカーの分身”に
ならねばと、固く決意した」
ご冥福を祈ります。
さて、ニューヨーク。
㈱ロピアのニューヨーク研修。
3日目は朝のイベントと講義のあと、
ホールフーズへ。
コロンバスサークルの大繁盛店。
タイムワーナービルのエントランスには、
花でできた豚のモニュメントが登場。
店舗は横長の変形。
エスカレーターを挟んで、
左翼が生鮮3部門を中心とする市場、
右翼がデリカテッセンやビールバー、
イートインスペース、そしてレジなど。
オレンジのみごとなカラーリング。
ホールフーズには、
専門のVMDコンサルタントがいる。
VMDはビジュアルマーチャンダイジング。
詳細は、鈴木哲男著。
『流通RE戦略』に書いてある。
店舗右翼のデリは対面で販売。
寿司、ピザ、デリカテッセンなどが、
ショップ形式で並ぶ。
Specialtyと名付けられたチーズ売場。
チーズとワインとチョコレートを、
「スペシャルティ」とくくる。
しかしニューヨークでは、
ワインやハードリカーは、
別棟で販売しなければならない。
この店にはない。
インストアベーカリーの売場。
ネコ足の木製什器が面白い。
什器使いはホールフーズの真骨頂。
レジ前のHBC売場。
コロンバスサークルの店は、
ホールフーズの中の最高峰。
一度は訪れたい。
ブロードウェイ沿いには、
ゼイバース。
たった1店だが、
週に4万人の顧客がやってくる。
物販店舗の隣には、
コーヒーやサンドイッチのショップ。
もう、時代を超えて、
「グロサラント」をやっている。
店に入ると、
両サイドがチーズ売場。
圧巻の品揃えだ。
すごい品揃えだが私の言葉はいつも、
「売れるから並べている!」
スモークフィッシュは、
ゼイバースのオリジナル商品。
1934年の創業当初からの人気商品だ。
パン売場も大人気。
焼成は近くの工場でするが、
焼きたての香りが売場を包む。
ゼイバースの代名詞は、
コーヒーコーナー。
ロピアのメンバーも、
引き立ての豆をゲット。
階段の壁面にはゼイバースのグッズ。
デザインがいいので結構、売れる。
ゼイバースから徒歩で南下すると、
ウェストサイドマーケット‥‥
があるはずだが撤退していた。
さらに行くと、シタレラ。
ニューヨークデリの専門店。
こちらは大丈夫。
2層の店舗で、1階は生鮮とデリ。
小さな店だが固定客がついていて、
それなりに繁盛している。
青果に強いフェアウェイ。
道路に面して山積みされた果物。
入り口脇には葉物野菜のコーナー。
しかし青果部門をぐるっと回って驚いた。
圧倒的だった根菜類などの立体陳列が、
普通の陳列に変わっていた。
什器も変わっていた。
フェアウェイに何かが起こっている。
そしてフェアウェイ2階は、
カフェやHBC売場が閉じていて改装中。
全体に客数も少ない印象だ。
その理由は競争相手の存在だけではない。
消費そのものが変わっているのだ。
月曜の昼前なのに、
すでにレジ待ちの長い行列。
フロアを1周している。
トレーダー・ジョーの集客力はすさまじい。
入り口に置かれた宅配商品。
マンハッタンだけで、
宅配サービスを行ってきた。
しかし3月1日には、中止する。
宅配は売れれば売れるほど、
利益を蝕む。
それが理由だ。
3日目の最後の視察は、
チェルシーマーケット。
ナビスコ工場跡地の商業施設。
春節シーズンで、
館内にはこんな飾りつけ。
ニューヨークはホテルも商業施設も、
中国客歓迎一辺倒だ。
ロピア研修で、
チェルシーマーケットを訪れる、
一番の目的は、
ロブスタープレース。
鮮魚店だが、
ロブスターや寿司を食べさせてくれる。
内食と外食が融合された店。
いちばん奥のロブスター・バー。
生とボイル商品を販売するだけでなく、
その場で茹でたてを食べさせる。
カウンターで寿司も食べられる。
私はシェフのおまかせ寿司と、
ビールをいただいた。
40ドル也。
新鮮で美味。大満足。
マンハッタンで五本の指に入るだろう。
観光スポットだからということもあるが、
食中心のテナント揃えになってきた。
アパレルファッションが低迷して、
フードにシフトする。
それは世界的なTrendだ。
そのトレンド変化の大潮流は、
スピードアップしている。
フェアウェイの生鮮の縮小。
隣のウェストサイドマーケットの閉鎖。
トレーダー・ジョーの隆盛。
その理由は、
生鮮3部門クライシス!!
昨年の月刊商人舎4月号で指摘した。
少しずつ変化してきて、
いつの間にか大変貌を遂げる。
それがマンハッタンに現れている。
マーケットは動いている。
恐ろしいことに。
(つづきます)
〈結城義晴〉