「冬なのに春みたいに暖かい日」の武藤麻代の「健康経営支援」
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
動物園に行ってみて
ゾウの前などすわりこんで
パンでもかじりたくなるのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
ゆくさき不明の汽車にのり
荷物のようにがたごとと
はこばれてゆきたいと思うのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
世界の平和のために
戦争をなくすために生きてゆこうと
心の底から思うのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
ネコと見つめあって
愛をたしかめあうことだって
できるのです
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
冬なのに
春みたいに
あたたかい日には
〈詩・鈴木順子〉
朝から東京・浜松町。
今日の東京タワー。
妙に大きく見える。
昨日のスーパームーンの
所為ではないだろうに。
いつもの芝大神宮。
冬なのに春みたいに暖かい日。
㈱True Dataの取締役会。
企業経営はいつもいつも、
新しい難題が次々にやってきて、
それを超えていくこと。
米倉裕之社長以下全員が今年度は、
ビッグデータ事業の橋頭保を築いて、
次の難題に臨む。
帰社して、こちらも暖かい横浜。
夕方、訪れてくれたのが、
武藤麻代さん。
立教大学大学院修士課程修了のマスター。
結城ゼミでは第4期生の私の愛弟子。
2012年度の修士論文は、
「能動的消費者を経営資源とした
発展型ビジネスデザイン研究」
英語のタイトルは、
“Study of Evolving Business Design
using Proactive Consumers’ Capabilities
as an Operating Resource”
7万5154字のすごい論文だった。
今でも私の手元にある。
修士論文でありながら、
ビジネスデザイン提案となっている。
その武藤麻代さんが、
昨年4月に起業した。
オールスプラウツ。
all-sprouts。
“sprouts”は新芽のこと。
アメリカの大躍進企業。
Sprouts Farmers Market。
2017年12月決算で、
年商46億6500万ドル(4665億円)で、
前年比15.3%の二桁の成長。
武藤さんの会社名はその「スプラウツ」。
起業した会社は、
修士論文のテーマそのまま。
マーケットをけん引する消費者は、
5つのカテゴリーに分けられる。
⑴広義のオピニオンリーダー
⑵狭義のオピニオンリーダー
⑶マーケットメイブン(市場の達人)
⑷リードユーザー
⑸プロシューマー
これらには先行研究がある。
その先行研究を丁寧にトレースして、
「能動的消費者」を定義した。
その「能動的消費者」を経営資源として、
独自の展開を見せる3事業体を、
定性調査し、分析を試みた。
その中に、
㈱ドゥ・ハウスがあったし、
㈱いいねいいねドットコムがあった。
武藤麻代は、
その自身の修士論文のシナリオに沿って、
会社を興し、活動を続けた。
そして今、「健康経営」を支援し、
「健康経営実践プログラム」を提供する。
健康経営優良法人2018は、
「ホワイト500」と称される。
イオンもセブン&アイも、
このホワイト500の認定企業だ。
小売業を代表する健康優良法人だ。
関西スーパーマーケットは、
「わが社の健康宣言」を発している。
武藤さんの「オールスプラウツ」は、
その健康経営の支援をする会社だ。
月刊商人舎webコンテンツの連載。
武藤麻代の「衣食同源の現場訪問」。
2014年1月10日に新連載として始まった。
前年の春、武藤は立教大学院を修了して、
経営管理学修士となっていた。
今から5年程前、私はがんを患いました。
深夜まで残業し、
タクシーで家に帰っては、
翌朝生気を失ったような面持ちで
出社する毎日。
今思えば病んでしまうのも、
至極当然の生活環境だったかもしれません。
青天の霹靂ともいうべき出来事に、
戸惑う間もなく、私は、
がんと向き合うことになります。
がんの告知、セカンドオピニオン、
治療手段の選択、入院生活、
手術、リハビリ、そして現場復帰。
書き連ねると実に、
シンプルなプロセスです。
しかしこれが一筋縄ではいかない。
傾聴し、疑問に思い、他者の意見を求め、
自ら見極め、判断する。
幸いにして、納得のいく情報や、
医療のスペシャリストとの信頼関係、
その他周囲のバックアップが、
がんと真摯に向き合う姿勢を
私に持たせてくれました。
体と対話し、日々の変化を、
事実として受け入れて、
1つだけ、何か1つだけ、
できることをこなしたのです。
常に抱く、
多忙な生活に戻ることへの恐怖心。
「同じ環境に身を置けば、
また体が病んでしまうかもしれない」
当時の心の動きは現在も、
強い印象として残ります。
1つだけ、何か1つだけ。
健康を取り戻すために、
無理せず自らできること。
その時取り組んでみたのが、
「食の改善」でした。
誰にとっても身近な「食」。
1つだけ、何か1つだけ変えてみる。
1つだけ、何か1つだけ加えてみる。
栄養価の高い雑穀を知り、
オーガニックの食材を手に取り、
食してみる。
五感を使って、
ヘルスリテラシーを高めてみる。
その繰り返しが、
現在の私を形成しています。
医療における消費者の視点で
見えたモノもありました。
情報の非対称性、パターナリズム、
医療者と患者のコミュニケーション。
いざ当事者になってみると、
医療の現実はまだまだ厳しいと
実感したのです。
一方で、「病気は医者が治すもの」と
思っている患者・患者家族も少なくない。
医療者と消費者における
需要と供給のアンバランスを
どうにかできないものか。
医療者と消費者のフラットな関係。
自らの体は自ら創り守る消費者が、
マジョリティになる社会。
1つだけ、何か1つだけ、
こうした理想を現実にするため、
一消費者である私が事業者として
能動的に市場経済へ参画できないか。
小さなきっかけから
描いてしまった壮大なビジョンは、
いつしか私の機動力となり、
私に「仕事と学業」という
二足の草鞋を履かせたのでした――。
学業を終えて、
武藤麻代は起業した。
それが『学びの食卓』プロデュース。
いまは「合同会社オールスプラウツ」
勉強家の武藤は、
次々に資格を取った。
健康経営アドバイザー。
健康食育シニアマスター。
商人舎に連載を書き続けた。
それが連なって第28回は、
「健康経営をキーワードに」
月刊商人舎であらためて特集しましょう。
これからは「健康経営」の時代です。
武藤麻代がそれをお手伝いします。
結城義晴の実印を押して、
それを保証します。
冬なのに春みたいに暖かい日に。
〈結城義晴〉