「一味同心」と「商業社会学」
2006年10月から11月の「20日〆行動日誌」
■こんがらがった糸が不思議に解け始めたり、ずっと前に何気なくやっていたことが突然、役に立ったり。54年も生きていると、そんなことが起こります。今月は不思議な月でした。いや不思議なことの、始まりの月でした。
■10月23日(月)8時、月曜ミーティング&マネジャー会議。午後、ペガサスビルで㈱商業界と日本リテイリングセンター(JRC)の合同研究会。商業界側は編集長以上の編集・出版担当者、JRC側は渥美俊一先生をはじめとする事務局。おもしろい取り合わせで、渥美先生に感謝。24日(火)、GM会議。26日(木)、夕方、ブルーチップへ。宮本洋一常務、執行役員の松浦克幸、伊藤義明さんから同社特別プロジェクトのヒアリング。ブルーチップの電子マネー「ビーム」は、まさに「千客万来」のコンセプトとピタリ一致。私の持論と合致。その後、品川で懇親。楽しかった。27日(金)早朝、業態開発プロジェクト会議。その後、奈良誠君来社。私の教え子の一人。午後、川口信雄顧問とミーティング。29日(日)夕方、東京虎ノ門ワイン専門店の「カーヴドリラックス」。早稲田大学商学部産業社会学研究・壽里茂ゼミ稲門会総会の打ち合わせ。私の後輩・内藤邦夫君は有名なワインのインポーター兼同店オーナー社長。そして私たちの会の事務局長。議論しつつ9人でワイン15本空けた。三日酔い。
■30日(月)月曜ミーティング。その後、2月ゼミナール予算会議。31日(火)と11月1日(水)、赤坂の山王病院で人間ドック。例年は新年早々、あるいは2月ゼミナールが終了した後の、3月、4月といった時期が私の人間ドックシーズンでした。しかし今年は、同時期に予定していたものが仕事の関係で次々に延期となり、その後、網膜剥離の手術や中期三カ年計画策定、58期決算、プロジェクト発足、組織改革などに追われて、結局、11月となってしまいました。えてしてこんな時に、取り返しのつかない病気になったりすることが多いものですが、さて、どうなることやら。3週間後に、事実が判明します。三日酔いが気になりつつ、検査。
■1日は、夕方、山王病院から、秋葉原へ。コメリ会長・捧賢一さんの『微笑佛――商いのうた』の出版記念祝賀会。捧さんが書き溜めた短歌集。㈱商業界から発刊。当社としては初めてのことですが、水準の高い作品ばかりの短歌集として、全国主要書店に並べました。特に新潟県内の書店には、大量に並べていただきました。手にとってごらんください。私は出版人として、こういった本を発刊し、その発行者となることを誇りとします。ご挨拶は、金子兜太さん、黒田杏子さん、坪内稔典さん、和湖長六さんといった俳句会の重鎮と、渥美俊一先生、早稲田大学大学院教授の松田修一先生、藤原秀次郎しまむら会長、似鳥昭雄ニトリ社長、鏡味順一郎カーマ会長といった学会、チェーンストア&ホームセンター業界のお歴々という組み合わせ。捧さんと親しい小椋佳さんの歌唱にも胸を打たれた。捧さんの短歌にメロディをつけて歌ったものだ。まさに「微笑する仏」を体現したような捧さんの感謝のご挨拶も良かった。私は捧さんの歌をひとつだけ朗読して、挨拶に代えた。「父母とともに水田を育てきて店に変えゆく己を見つむ」。その後帰社して、シニアマネジャー会議。
■6日(月)8時、もう定着した月曜ミーティング。7日(火)、東京會舘。イオン常務堤是見さんと面談。私が㈱商業界に入社して、『販売革新』編集部に配属され、1年後に企画開催した「チェーンストア新人座談会」にジャスコの新入社員を代表して選抜され、出席してくれたのが堤さんでした。28年前のことになります。その堤さんが今、日本最大小売業の常務。私はその日本の流通業を応援する㈱商業界の社長。イオンに限らず、みんな私の同志みたいなものなのです。夕方、品川でIT関係の打ち合わせ。8日(水)夜、ベリテ前社長・大久保仁雄さんと暗闇坂で再出発の一献。9日(木)、8時30分、業態開発プロジェクトのミーティング。午後、神奈川県藤沢市の善行へ。ユータカラヤ本部訪問。年商200億円に届こうかという優良企業の本部が、農家を改装したままの建物。高木秀雄社長の経営理念が本部のあり方にもくっきりと表れている。ご子息で、取締役の勇輔君にも面談。さわやかな後継者。応援します。10日(金)、午後、アイセック(株)訪問。土屋健一社長は私の大学時代のサークルの先輩。小倉生まれの玄海育ち。夕方、ニューフォーマット研究所の日野真克君の独立10周年記念パーティ参加。商業界の理念を何度も口にしてくれて、これも嬉しかった。応援します。
■11日(土)午後、早稲田へ。リーガロイヤルホテル。私の恩師・早稲田大学名誉教授・壽里茂先生の瑞宝中綬章受賞と傘寿を兼ねたお祝いの会。先生のゼミ・産業社会学研究の卒業生は525人を数える。そのうちの100人ほどが参加。今回、ゼミOB会を、正式に稲門会に登録。正式名称は「壽里茂ゼミ稲門会」。ホームページもあります。先述の内藤君の司会の下、早稲田大学応援団などの出演もあって、盛り上がった。とりわけ壽里先生の江戸っ子のエスプリが効いた話は、泣けた。笑えた。壽里茂、健在なり。私たちに提示してくださった言葉は「一味同心」。最後に私は、幹事会から推されて、この会の代表幹事に就任。皆様、よろしくお願いします。壽里先生のゼミの端っこに落ちこぼれそうに在籍し、無頼派を気取りつつ、世の中を斜めから見て、それでも卒業してから何とか㈱商業界に入社し、今に至る。「産業社会学」が「商業社会学」へと姿をくっきりさせるプロセスを見てきて、それを振り返る。糸はこれから本格的に解ける予感。いや私自身で本腰を入れて、解く。不思議なことです。
■13日(月)、月曜ミーティング。午後、銀座。パチンコトラスティボード有識者懇談会。今回は連合会長・高木剛さんのご発言もあって、いよいよこの会は佳境を迎えます。私も大賛成。頑張りましょう。15日(水)、プロジェクトリーダー会議。16日(木)夕方、兵庫県尼崎市へ。尼崎商人塾で講演。講演会の後、参加者とともに深夜まで熱い懇談会。17日(金)夕方、帰浜。19日(日)、人間ドックの結果通知到着。食事管理・体調管理の厳命下る。糸は解けた。私の身体に関しては、ハッキリした。週が変わって20日(月)、月曜ミーティングから始まるさまざまな会議。このミーティングは前の週の事業・業務の進行を確認しつつ、この週の事業・業務の推進を図るもの。1週間のスピードをつけるために、最初にエンジンをふかすようなもの。もっと元気良くやりましょう。
■そしてこの1週間は、大変な1週間となった。<つづく>
〈結城義晴〉