結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2007年08月07日(火曜日)

結城義晴オピニオン8‐7「イオン価格凍結宣言」

これは「コモディティリテーラー」宣言だ。

今日2007年8月7日(火曜日)から、
年末の12月31日まで、
イオンは100アイテムの必需品の、
「価格凍結」をスタートさせた。

直営の総合スーパージャスコや
スーパーマーケットのマックスバリュなど約380店で。

先の台風の直撃で、野菜は高騰。
キャベツなど2倍にも跳ね上がった売価に、
顧客の悲鳴が聞こえるよう。
もちろんこの間の、原材料費のアップで、
デフレが終焉したかといった論調が広がる。
このタイミングを捉えた「生活応援宣言」。

まさにイオンとしてはジャストミート。

イオンが断行した「価格凍結宣言」という点において、
私は大きな評価をしたい。

これはイオンがナンバーワン企業として、
自ら「コモディティリテーラー」であることを宣言したものである。

どんな国においても、ほとんど例外なく、
売上げナンバーワン小売業は、
「コモディティリテーラー」である。
コモディティグッズこそ、マスを形成する商品群である。
だから売上げ第1位となる。

考えてみると、当たり前のことだが、
それをイオンが「宣言」したわけだ。
そのタイミングが、8月7日であったことに、
私は、二重丸の評価をする。

誤解して欲しくないのは、
イオンが実行した「価格凍結」だから、
評価するということだ。
これに3800品目の「トップバリュ」を、
うまく結びつけようという手法もよし。

一方、このイオンのアクションに対して、
競争企業、競合店舗はいかに対応すべきか。

第1に、
イオンに対抗して、
「コモディティ重点型」を志向しようという企業は、
当然ながら、イオンを上回るインパクトで、
顧客の価格意識に迫るべきである。

いや、
「イオンよ騒ぐな、我はもうずっとエブリデーロープライスなり」
と、胸を張っているかもしれない。
このくらいでないと、
「コモディティリテーラー」は名乗れない。
なぜなら「コモディティグッズ」は、
価格こそ大切な価値だからである。

第2に、
「ノンコモディティ重点型」企業は、
イオンのアクション自体、
無視すべきであろう。
われ関せず、を決め込むことだ。

しかし、イオンの「価格凍結宣言」が
底流に流れる時流であることを無視せよというのではない。
コモディティグッズは淡々とご奉仕する。
ノンコモディティグッズをさらに充実させ、
豊かな暮らしを提案し続けるべきである。
わが店が、全体で提供し続けるものは、
イオンとはまったく違うのですよ、
と自らのカスタマーに無言の説得をするのである。

そのどちらでもない企業はどうするか。
自らの、基本方針を再確認すべきチャンスと捉えることだ。

「志定まれば、気盛んなり」
私が尊敬する将来性に溢れたコンサルタントが、
つい最近、私に贈ってくれた言葉だ。
この吉田松陰の言葉を、中途半端な企業に差し上げよう。

誰かが「価格凍結」すると、
全員が追随する。
かつてはこんな展開が常套であった。
だから周りを見て、
誰かの指示を待つ、という姿勢が残っているのも理解は出来る。

しかし私は、いま、
それぞれの企業が意思を明確にしなければ、
生き残ってはいけない時代になったと思う。
「自分がない企業」にはサバイバルはない。
「差異性」を表現できない店には、明日はない。

イオンは、「価格凍結」という自分らしさを、
宣言したのである。

だからイオンに対抗するには、
「自分らしさ」を「宣言しない」で表現することだと、私は思う。

ただし、価格高騰現象を、
「売上げが上がる」などと、
ほくそ笑んでいる企業や店は、
もう、市場から退場を迫られるに違いない。
これだけははっきりしている。


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