トップマネジメントリレー対談【5】ライフコーポレーション社長岩崎高冶さん
結城義晴の述懐「デジャヴのごとき君なりき」
「スーパーマーケット売上高、日本1企業」
――私は、ライフコーポレーションが、
このことを、もっともっと誇りにしてよいと思う。
世界の消費マーケットを見渡すと、
現在アメリカについで第2位の日本。
いずれ中国に抜かれてしまうだろうが。
その世界第2位の日本の、
その中で圧倒的な2大消費市場である東京圏と近畿圏に
食品スーパーマーケットのチェーン網を敷くライフ。
怒涛の進撃によって、一挙にこの地位を築いた。
創業者の清水信次会長の「機を見るに敏」なる感覚には恐れ入る。
そして食品に関しては、われわれの想像以上に、経済性を渇望する。
従って実は、スーパーマーケットは、この保守性と経済性において、
徹底的に顧客から支持をいただくことによって、
安定経営をすることができるのである。
このとき、2大消費地のドミナントエリアは、強みを発揮するはずである。
私は、ライフという会社と幹部、社員が、
この「清水信次の恩恵の使い道」を、
もっと自覚すべきであると考えている。
清水さんが選んだ後継者は、そのことを知っている。
私は、岩崎高冶氏に出会って、
30年ほど前に、同じような感覚を抱いたことを思い出した。
「デジャヴ」といわれるものだ。
「既視感」と訳される。
もちろん、私自身が30歳ほど年齢を重ねてしまってはいるが。
お相手は、ちょうど40歳だった、
当時、サミット常務取締役の荒井伸也氏である。
経営者としてのタイプは、まったく違う。
逆とさえ言えるかもしれない。
直面している課題は、これまた、異なる。
しかし、総合商社を飛び出して、
スーパーマーケットに一生を捧げようとしている瞬間の、
40歳台初めの男が醸し出す空気には、共通するものがある。
不思議なことに、直面する課題は違うかもしれないが、
その本質は、飛び上がって驚くほど、共通している。
問題解決の方法論と結果が、どのように展開されるかは、
これからの岩崎COOの腕の見せ所だ。
2000年9月、私は、韓国ソウルの流通視察セミナーをコーディネートした。
このとき岩崎さんは、ライフの先輩幹部たちとともに参加してくれた。
まだ、30歳をちょっと回った年ごろだった。
素直で、謙虚で、勉強熱心で、そして夢に燃えていた。
それは今も変わらない。
いや、むしろ、大きくなっている。
この間の伸びが、私に、岩崎高冶の、
経営者としての今後の飛躍的な成長を予感させてくれる。
<㈱商業界社長 結城義晴>