「失ったものは、何もない」柳井正さんの言葉
ファーストリテイリング会長兼社長。
柳井正さんの言葉。
9月4日、事業戦略説明会で語った。
米国バーニーズのM&Aが頓挫したことに対するコメント。
負けん気に関しては、
右に出るものが見当たらないほどの,
柳井さんだが、
この言葉は、
負けん気から発せられたものではない。
本当の気持ちです。
結局は、オイルマネーのドバイ政府系投資会社が、
バーニーズを買収することになったのですが、
「米国市場やラグジュアリー市場で、わが社の知名度は高まった」
ファーストリテイリングはすでに
「セオリー」の買収など実績を持っています。
だから、バーニーズに関して、
「これだけのキャッシュを注ぎ込めるぞ」
と、内外に示したことは、
むしろ宣伝効果があった、という総括。
われわれは、こういった企業に対しても、
M&Aの意思があるぞ、というアピールもできた。
欧米、とりわけ米国産業社会には、
きわめてドライなビジネス観があります。
「ドライ商法」といいます。
「ドライ商法」の反対の言葉は、「ウェット商法」。
日本は「ウェット商法」の巣窟。
「ドライ商法」であるから、
それが次の準備となり、バネとなる。
柳井さんは、
「フランスのコントワー・デ・コトニエ級以上のブランド」
に狙いをつけていくことを表明。
バネとしているのです。
私は、ずっと言い続けています。
企業や人間は、階段状に成長する。
どんな場合にも、停滞する時期と飛躍する時期は、交互にやってきます。
この停滞期をどう位置づけるか、
停滞期にどう次への準備をするか。
これによって、飛躍の伸びシロが大きく違ってくる。
停滞期を、「後始末」にしてしまうと、
たとえ次の飛躍があったとしても、
それは小さい。
停滞期を、「準備」や「バネ」にすると、
大きな飛躍が待っている。
「バーニーズ」の件は、
同社の停滞期を表わすものではありませんが、
彼がこれを「バネ」にしようと決断したことは確かです。
ユニクロは、
12月のパリを手始めに、
ロンドン、北京、ソウルなどに大型店を、
出店させていきます。
国内のM&Aも積極化していきます。
失敗や頓挫、停滞を、
「準備」に当てられるか。
それとも「後始末」に終始するか。
これによって、
企業と人間の、
将来は決まるのです。
「空白が、人間に箔をつける」
西端春枝さんの言葉の意味するところとつながってきます。
<結城義晴>
【写真は、毎日新聞より】
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Posted by 田村 洋三 at 2007年09月05日 19:11
ビルの階段には躍り場がありますが、延々と続く踊り場の無い階段があるとすれば何と恐ろしい階段か。
企業も人生も同じような踊り場があります。躍り場はとても必要な場です。
Posted by 結城義晴 at 2007年09月06日 01:04
私、40歳代には、ずっと、小学生に、
ソフトボールを教えていました。
どんな子供にも、成長の踊り場がありました。
どんな子供も、階段状に成長していきました。
踊り場にくると、親もコーチも、焦り出します。
それが子供に、伝染します。
大人が結果を求めるのです。
そこをじっと辛抱させるのが、
私の役目でした。
監督の仕事でした。
辛抱していると、びっくりするくらい、
目に見えて、成長するものです。
それが喜びでした。
今は、そのチームの代表を務めています。
チームの名を「竹の子」といいます。