7兆5000億円惣菜市場に物申す「生で食べさせよ」提案
10月18日、東京丸ビル8階。
『惣菜デリ情報満載便』100号記念セミナーが開催された。
日本フードサービス専門学院発行。
ご存知、林廣美先生が主催。
巻頭には、林先生の言葉がある。
「惣菜ビジネスはまだまだ発展拡大する。
揚げ物、焼き物、弁当、サラダという
単純なカテゴリー分類から始まった惣菜ビジネスが、
中華メニュー、エスニック、イタリアン、デザートなどなど
新しいカテゴリーを飲み込んで、
拡大発展を続けて売上げを押し上げている」
そしてこう予測する。
「これからの惣菜新カテゴリーは“オーガニック”だろう」
私も、このセミナーの最後に、
スペシャルゲストとして、林先生とのトークに出講。
勉強になった。
100号記念といえば、
発刊開始は9年前。
私が『食品商業』編集長を務めていた頃。
当時の惣菜産業の市場規模は、5兆8000億円。
現在、7兆5000億円。
当然といえば当然だろうが、
これこそ消費トレンドの大潮流で、
少子高齢化社会といえども、
この傾向はとどまるところを知らない。
まだまだ伸びる。
他のマーケットは縮んで、このマーケットが伸びる。
だから、マーケットシェアは、さらに大きくなる。
社会的使命が、重くもなる。
そこで、安全性と健康の問題が、クローズアップされる。
「食育」やオーガニックが、重要課題となる。
100号記念セミナーは、こんな切り口で開催された。
まず、社団法人日本惣菜協会会長・石田彌氏。
「食生活向上に寄与する中食事業の未来に大切なもの」
農林水産省消費安全局情報官補佐食育推進班・勝野美江氏。
「食事バランスガイドの実践」
さらに日本医療栄養センター所長・井上正子氏。
「一歩リードする、健康メニュー提案」
そして、『惣菜デリ情報満載便』編集長・井原美恵子氏。
「取材を通して考えるこれからの商品開発」
1万3000メニュー分析から見た商品ニーズは、面白かった。
さて、最後が、林先生と私のセッション。
林先生は「生を食べる」という主張。
これ、優れた感覚。
生に近い形で、食べてもらうという提案。
青果ならば、サラダ。
魚も、刺身やカルパッチョなど。
肉でもタタキ。
日配でも、そのまま食べてもらう商品だらけである。
そう考えると、
スーパーマーケットで販売する生鮮3品、日配は、
みな惣菜となる。
それが「食育」に直結する。
「高い値段のトマトはなかなか買われない。
しかし、高い塩や油は、喜んで買ってくれる。
だから、新鮮なトマトに、
おいしい塩をぶっ掛けて食べてもらう。
この提案」
惣菜デリ第一人者の林博美が主張する「生で食べさせる」。
このパラドックス。林式。
私の主張は、以下。
「テーマは資源。
資源は最大限活用すべき」
食育は、現在、国是ともいうべきテーマ資源である。
2005年に『食育基本法』が制定された。
少子高齢化社会は進行している。
アメリカのオーガニック・ブレイクを見る限り、
日本市場にもこの影響は、必ず出る。
アメリカでは、オーガニック商品が急ピッチで生産されている。
3年後には、彼の国で、それは在庫過剰になる。
そして、日本に入ってくる。それが、「食育」というテーマ資源と結び合う。
いまや、私の確信に近い市場予測。
漫才にたとえて、
林廣美、ボケ。
結城義晴、ツッコミ。
このセッションであったはずが、
終始、林先生に質問を浴びせられ、
私が、答えるという展開。
でも、勉強になったし、面白かった。
わざわざ聴きに来てくださった皆さんに、感謝。
中央化学㈱川勝利一さんと㈱むすんでひらいての原田政照社長には、
特に感謝。
もちろん林先生、竹石忠さんにも心より感謝。
<結城義晴>