17日間あめりか漂流記③ [続]一挙12店スライドショー評価○×△
米国小売業は、つくづく大手寡占の状況だと思う。
「寡占」とは数社によって市場のほとんどが占拠されてしまうこと。
それが進むと、2社によって、
あるカテゴリーのほとんどが占有されてくる。
これを私は「複占」と呼ぶ。
さて、その複占企業の店舗のスライドショー続編。
25店を視察評価したものの後編12店。
ただしお断りしておくが、何千店もの中の1店。
しかもある短い期間に駆け足での視察と評価。
当たるも八卦、当たらぬも八卦のつもりで、
ご覧いただきたい。
①ベストバイ ○
アメリカの家電店チェーン第1位。
CESSと呼ぶ。
コンシューマー・エレクトリクス・スペシャルティ・ストア。
全米小売業第11位。
年商359億ドル、店舗数1170店。
アメリカでは、「ウォルマートがやれないことをやれる企業が生き残る」
ベストバイは例えば、この「ギーク・スクワッド」によって、
ウォルマートにできないことをやる。
「オタクチーム」とでも訳したらいいのだろうか。
パソコンに関する専門家が常駐して、
24時間体制で顧客対応する。
スモールオフィス、ホームオフィスのカスタマーには、
不可欠のサービス。
それを1170店で展開するのだ。
②ベッド&バス・ビヨンド○
66億ドル、816店のホームファッションチェーン。
TPOSを売場展開する代表的な企業。
この天井までの陳列、ディスプレーはこの企業の特徴。
一つのコンセプトに基づいたコーナーが、TPOSを表現する。
Time(時)
Place(所)
Occasion(理由)
Style(生活様式)
顧客は、どんなときに、どんな場所で、
どんな理由・どんなきっかけで(どんな場合に)、
どんなライフスタイルで(どんな暮らし方・どんな楽しみ方・どんな生き方を求めて)、
商品やサービスを購入するのか。
この観点から店や売場や商品を考え直すこと。
それがTPOS。
③コストコ◎
全米第4位。602億ドル、488店。
1店平均1億2336万ドル、約150億円。
チェーンストアの「単純化」の極み。
私がいま、一番押すとしたら、ウォルマートよりもコストコだ。
商売に関係なく、コストコは日本でもアメリカでも、
定点観測して欲しい。
どこでも、うまくいっている。
標準化とはこの企業のことを指す言葉。
そのスタンダーディゼーションは、
シンプリフィケーションから生まれる。
売場にそれが出ている。
④ホームデポ△
ホームセンター第1位。
全米第2位。908億ドルで、10兆円超え。2147店。
しかし、次のフォーマット、どうするのだろう。
売場が少し、荒れている感じを持つのは私だけ?
⑤ウォルマートスーパーセンター○
ご存知、3487億ドルの第一人者。
この店も、よく入っていました。
お客様。
ありがとう。
この秋からウォルマートは、
エンド展開に特に力を入れ始めた。
この圧巻のエンドを見よ。
ウォルマートの「マーチャンダイジング」とは、
現場で売り切る力を発揮することを言う。
⑦ロウズ○
ホームセンター第2位。
全米第8位まで上がってきた。
438億ドル、1375店。
ホームデポが男らしさのDIYを強調するのに対して、
女性客も取り込むマーケティングで、ナンバー2を堅持。
家電も上手に品揃えに加えて、コンサルティングセールスに励む。
追うものの強みを生かす。
⑧アルバートソン×
昨年まで、スーパーマーケット第2位。
しかし、3分割されて、売却された。
私はいつも、必ず視察店舗のリストに入れる。
アルバートソンの教訓を忘れないために。
⑨CVSファーマシー△
ドラッグストア第2位のCVSは、
アルバートソンからドラッグ部門を買い取った。
そして全米9位。438億ドル、6202店。
店数ではウォルグリーンを上回る。
しかしこの店、ちょっと広すぎて、
もてあまし気味。
アメリカでは、今、店舗規模の適正化が焦点。
⑩ファミリーダラー△
バラエティストア第2位。
6300店。64億ドル。
この店が、なぜ、利益を出せるのかと、
いつも不思議に思う。
しかし、利益は、経費管理によって生まれる。
1店あたりの利益が出る仕組みならば、6300店は強い。
⑪スミス△
クローガー傘下のスーパーマーケット。
ユタ州、ネバダ州、アリゾナ州、テキサス州など、
南西部のリージョナルチェーン。
かつての「オーソドックス」。
しかし、そのプロモーションはもう、古い。
言い切ってしまっていいのか、迷うが、
言い切ろう。
しかしさすがに生鮮はきちんとしている。
⑫ウォルグリーン○
最後は、ドラッグストア第1位企業。
全米7位。474億ドル、5461店。
この店舗は、ジスにカスタマーを捉えていた。
温かい気分にさせられる店だった。
有難うと言っておこう。
以上、ブログでは2回にわたって展開し、
視察評価は1日で、駆け回った結論。
全米どこに行っても、これらの店を見ることができる。
これらの店で買うことができる。
まさしく社会のインフラを、複占の企業群は形成している。
上野光平言うところの「生活マネジメント」の軸を構築した店店。
それが彼らの存在価値である。
<続く、結城義晴>