伊藤雅俊イトーヨーカ堂創業者が語った「経営の真髄、商いの心」
12月4日、夕方、18時30分。
東京・目黒区松見坂、イタリアレストラン「グースト」。
日本セルフ・サービス協会の会長・名誉会長を囲む忘年会。
私にとっては、生涯、忘れられぬ年を忘れようという会か。
協会会長(紀ノ国屋社長)の増井徳太郎ご夫妻。
名誉会長(アークス社長)の横山清さん。
<このたび目出度く藍綬褒章を受章されました>
副会長(スズキヤ社長)の中村洋子さん
同副会長(あおき会長)の青木巌さんご夫妻、
㈱パレ社長の田村弘一さん。
そして、特別ゲストは伊藤雅俊さんご夫妻。
ご存知、イトーヨーカ堂グループの創業者で、
セブン&アイホールディングス名誉会長。
それに協会専務理事・三浦正樹さんと私。
レストラン・グーストは、小松岳史さんが開いたイタリア料理の店。
スペインとイタリアで修行した元アパレルマン。
客席20人くらいの小さなレストランを借り切っての、
ゆったりとしたひととき。
増井徳太郎さんご夫妻。
さて、食事を取りながらの話題は、
世界中を飛び回った。
経営の真髄を垣間見ることも出来た。
青木巌さんご夫妻。
この夜は、奥様が不在の横山さんが、
自ら狂言回しの役を演じてくださり、
従って、ユーモアの中に、
本質的な問題点が明らかになる、といった趣向。
「酒の所為です。お許しください」と、
断った上で、伊藤さんにも、どんどん質問を浴びせかける。
伊藤さんも、それに答えつつ、
逆に横山さんから、次々に話を引き出す。
横山清さんと中村洋子さん。
ご夫妻ではありません。
突如、横山さんから私に、
昨今の「値上げ問題」に関するコメントを求める刃が振ってくる。
藍綬褒章、本当におめでとうございます。
そんなスリリングで、楽しい忘年会だった。
伊藤雅俊さんご夫妻。
伊藤語録を少々。
「アメリカのドロシー・レーン、私は大好きです。
かつて20店を超えたところで一度潰れた。
今、3店だけれど、お客の顔が見えている。
お客の顔が見えることが、一番良いんじゃないですかね」
伊藤さんは、「オーナーシップ経営」こそ最強である、という考え。
私も、ある面、ローカルスーパーマーケットなどは、
「オーナーシップ経営最強論」を唱えるものだ。
ただし、創業オーナーが交替期に差し掛かっている。
最強でないオーナーシップ経営は危うい。
強いオーナーの存在が、「オーナーシップ経営」の肝となるのだ。
そして、伊藤さんは、「個店経営主義者」。
「各店仕入れをやっていらっしゃる会社がいい。
各店仕入れをやらないと、人間が伸びない」
ウェグマンやHEバット、パブリックスなど、
極めて詳しい。
この秋、私がアメリカを訪れて解説したHEバットの経営戦略。
「オーナーシップ経営の迅速さ」
「イーチストアの強さ」
HEバットは304店舗、112億ドルで、
この二つを実現させている。
伊藤さんの経営に対する考えも、このあたりに収斂しつつある。
「本質的なことをやっていれば、大丈夫」
これが伊藤雅俊の信念である。
最後に、「商人に必要なこと」。
「才覚というのがある。
これがないと駄目ですね。
ただし、才覚だけでも上手くいかない。
そろばんがないといけない」
ごもっとも。
82歳の「商いの心」を見た一夜だった。
追伸 お料理紹介。
海の幸の前菜。北海道昆布森産カキ、根室産帆立貝とタスマニアサーモンのタルタル、真アジのマリネ、槍イカのソテー、江戸前穴子と焼ナス。
根室産毛ガニと菜花のタオリーニ。
ご馳走様でした。
料理も、会話も。
心より感謝。
<結城義晴>
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「商いの心」はこの世界に入った私にとって
ありがたいバイブルです。何度も読み返して
やっとその言葉の意味を知ると言う出来の悪い
あきんどな私ですが…
今の商いの姿から感じらるこれからの事を
伺ってみたかったです。
伊藤雅俊さんの「商いの心」。
我が日本商業全体の歴史的財産です。
しかし、まだまだ伊藤さん、枯れていない。
好奇心は強く、観察眼は鋭い。
情報のレベルは、日本有数。
情報を、自らの哲学の上で、
転がしていらっしゃる。
その転がし方に、感銘を受ける。
渥美俊一先生にも使わせていただいた賛辞、
「化け物級」を伊藤さんにも適用させていただこう。
多謝☆