2008スーパーマーケットトレードショー③「最後の一口の試食」
2月22日、日本最大の食品フェアが終了した。
フランスのSIALもスタート時点では、
フランス小売業協会が主催していた。
フェア自体は隆盛し続けたが、
運営は途中から出版社兼メッセ企業が引き継いだ。
しかしスーパーマーケットトレードショーは、
日本セルフ・サービス協会が主催を続け、
なおかつ21世紀に入ってから、
驚くべき成長を遂げている。
日本のスーパーマーケット業界全体をみると、
成長というよりも淘汰が始まっている。
企業や店舗の淘汰、統合が進行している。
しかしスーパーマーケットトレードショー自体は、
重要性が増している。
これは、次のことを示している。
スーパーマーケットの社会的機能は、
ますます重要になっている。
しかしその機能を担う企業数が、
減少している。
だからスパーマーケットに関連する企業群が、
トレードショーに参集してくる。
エキジビター(出展者)もビジター(来訪者)も、
増加することになる。
私は、これは社会的進化であると考えている。
従って進化の過程で、主体者には、
それを提示する責務が生まれる。
だから日本セルフ・サービス協会は、
今年の協会設立50周年を機に、
「新セルフ・サービス宣言」を発する。
これはセルフ・サービスとスーパーマーケットが、
今後、いかに進化するかという内容を具象化するものである。
さて、この2008のトレードショーの出展社のブースを、
少し見てみよう。
寺岡精工は、毎年、強大なスペースに、
全国の営業マンを参集させて、営業を展開する。
今年は、セルフレジに力を入れた。
さらにネットワークシステム、環境機器を中心に、
ソリューションを揃えた。
岡村製作所のテーマは、省エネルギー・省力化。
バックヤードから冷凍冷蔵ショーケース、ゴンドラまでの、
トータルシステムが特徴。
日進工業は、ショーケースとカートシステムが特徴。
省力化は今年の大テーマとなる。
福島工業では、惣菜の焼き物製造のシステムの説明を受けた。
工程を減らし、時間を減らす様々な工夫が、
スーパーマーケット企業の実験で明らかにされた。
伊藤園は、カテキン緑茶に絞り込んで訴求。
食品や飲料メーカーの、トレードショー戦略は、面白い。
この伊藤園の考え方「絞り込み」が一つ。
この春に向けて伊藤園は、意欲的に開発商品を増やした。
その中からスーパーマーケット・フォーマットにはこれ、
と絞って展開。
一方、国分は、総合化で迫る。
当然ながら総合問屋だけに、その総合性を、
8万人に近い来訪者に、誇示しようとの戦略。
グリコは、タレントを起用して、
驚くべき人だかりをつくっていた。
一流メーカーに対して、
県別のブースの盛況ぶりが今年の特徴。
島根県や静岡県。
北海道も元気。
世界のトレードショーのトレンドは、
中小生産者やローカルブランドが、
檜舞台に登場することにある。
そのためのトレードショーである。
パリのSIALもケルンのアヌーガも、
小さな村のソーゼージやハム、ワインやリキュールが、
世界からのバイヤーに、直接食べてもらい、
直接聞いてもらって、訴求される。
それに意味がある。
日本のスーパーマーケットトレードショーもそうなってきた。
この島根県のブースを見れば、それがよくわかる。
菓子問屋17社が参集したエヌエス。
アイテム数1500、PB商品取引高235億円のグループ。
グループの冨士屋本店社長・谷上浩司さん、
タケイ社長の武井康浩さんと写真。
バリラ・ジャパン社長の豊田安男さんは、
トレードショー主催者VIPスペースに隣接したブースを確保し、
しかも、バリラのパスタ・レストランを開設。
トレードショーのなかで差異性を出すことに成功、と私は見た。
このパスタ・レストランの味、そん所そこらにはない。
そして、その味を、特定顧客に提供した。
しかも、「完食」してもらう作戦。
私は、常々、思っている。
スーパーマーケットで行う「試食」。
一般に、量が少なすぎる。
もっと大目にすべきだ。
だからスーパーマーケットトレードショーの実行委員会でも、
「試食の量は大目にしよう」と呼び掛け続けている。
最も優れた試食は、1食分全部食べてもらうこと。
顧客は、最初の一口においしさを感じる。
しかし最後の一口に満足感を感じるものなのだ。
最初の一口が旨くとも、最後の一口が不味ければ、
リピート客にはなってくれない。
バリラ豊田さんの作戦は、1食全部食べてもらうこと、
すなわち、「最後の一口まで食べてもらう試食」である。
これは、しかし8万人のビジター全員には提供できない。
だから顧客を選ばせて頂いた。
すぐれた「差異化」戦略。
アメリカのホールフーズもウェグマンズも、
フードサービスを併設している。
セルフサービスの店頭で販売しているものと全く同じ商品を、
「完食」してもらう。
最後の一口まで試食してもらう。
それがホールフーズとウェグマンズのフードコートの本当の意味である。
買い物に来てくれたお客様が、
おなかがすいたから食べるところではない。
休むところでもない。
「最後の一口を、自分の金で試食してくれるところ」なのだ。
トレードショーのバリラ・ジャパンのブースは、
それを体現していたのだ。
これ、みんな、私の、勝手な推理。
外れていたら、すみません、豊田さん。
さて、そんなこんなで、トレードショーは終了。
私は3日間駐在。
しかし、開催前夜から、右目に異変をきたし、
病院通い。
初日前夜の午前1時には点滴を受けて、
タクシーでホテルに戻った。
大事な時にすみません。
最終日は、トレードショーが始まる前に、
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんとの、
アポイントが入っていた。
お会いしてから病院に行ったら、
レーザー処置が必要だとか、
手術だとかの騒ぎになった。
何とかそれらをずらしてもらっているうちに、
トレードショー終了。
そしてその後、夕方、学習院大学マネジメントスクールで、
ライフコーポレーション社長岩崎高治さんの講演。
私は冒頭のご挨拶。
これには出なければと、病院から直行。
なんとも慌ただしい3日間だった。
お会いできた人、できなかった人、
ありがとう、ごめんなさい。
来週、柳井正さんの話、
岩崎高治さんの講演、
このブログでご紹介の予定。
乞う、ご期待。
良い週末を。
<結城義晴>
0 件のコメント
目の調子ゎ大丈夫ですか???
あまり無理をしないで下さい。
岩崎社長の話ゎ凄い楽しみです!
目は持病なのです。
岩崎さんの講演、楽しみに。
今月福井の会合で知って以来、残念ながら『毎日』ではありませんが拝見させてもらっています。毎日更新している結城さんに失礼ですね。毎日拝見する様頑張ります。
『体』何物にも変えられない『資本』でもあり貴重な『財産』です。日々お手入れを。
ゴトウさま、ありがとうございます。
「ほぼ日」の糸井さんのような感じ、
それがいいのでしょう。
長いおつきあいを、お願いします。
私の体、仰るように唯一の資本であり、
かけがえのない財産です。
大切にします。
お約束します。
感謝します。