日本スーパーマーケット協会総会パネルディスカッションとオール日本スーパーマーケット協会チェッカーフェスティバル
7月10日、忙しい日だった。
午前中、横浜・商人舎オフィスで、
企画会議。
8月、9月、10月と、
為になって、なおかつ面白いセミナーや研修会が、
続々と発表されます。
お楽しみに。
そのあと、帝国ホテルへ。
日本スーパーマーケット協会第9回通常総会と、
総会後の恒例・パネルディスカッション。
一昨年を除いて私は、ずっとコーディネーターを務めている。
パネラーは、協会の正副会長の皆さん。
今年のテーマは、
「商品と価格の問題を徹底議論する」
私の提起は、「食糧と燃料」そして環境の問題山積のとき、
日本のスーパーマーケットはどう考え、どう進むのか。
まさに「潮目が変わった」とき、
しかしその「潮目が読めないとき」
この「オクシモロン」の問題解決をいかに実行するのか、というもの。
今回も、真っ向から議論してもらうつもりで、臨んだ。
日本スーパーマーケット協会会長の清水信次さん。
ご存知、ライフコーポレーション会長。
「食糧や石油よりも、人口問題のほうが、重大なテーマ。
地球の人口は2000年前は、1億人だった。
1000年前は、2億人。
200年前は10億人で、100年前は20億人。
この100年で20億人が67億人になってしまった。
店舗に適正規模があるように、
地球の人口にも適正規模がある。
それは25億人という調査がある」
「人口問題と共にファンドマネーの、
つまり金の問題も大きい」
「日本人は、もっと貧乏になったほうがいい。
贅沢すぎるし、謙虚さがなくなった。
30年前まではよかったが、この30年でおかしくなった」
いつもの清水ワールドが展開され、会場から拍手がまき起こった。
協会副会長で、エコス会長の平富郎さん。
「美味しいものが、必ずしも高いわけではないし、
安くておいしいものもある。
種無しブドウや桃がそうだ。
鰯も秋刀魚も。
それを知って、探して、お客に売るのが我々の仕事」
「無駄が多すぎる。
無駄を省けば、個々の企業が持っている文化の中で、
生産性と効率もあがる」
「生鮮食品はプライベートブランド。
機械でつくるものは、安さが必要。
水と太陽でつくるものを中心に商売するのが我々の仕事」
名言。脱帽。
平さんは、本当の「知識商人のあり様」を自ら語ってくれた。
協会副会長でオークワ会長の大桑堉嗣さん。
日本流通産業の社長でもある。
だから商品と価格の問題に関しては、数字でご報告くださった。
「二チリウは16社と3生協の、
2兆8000億円のグループ。
そのうち2400億円強がグループのプライベートブランド」
「食品で800品目、住関連で1700品目、衣料品で3000品目の、
くらしモアというPBをもつ。
それがオークワの場合、18.1%を占める。
これを20%までもっていく。
大手に対して、我々が団結して、このPBで闘う。
それが現在の戦略」
力強いし、自信に満ちている。
ニチリウ加盟企業の好調さを背景にしているからでもある。
協会副会長で全日本食品社長の齋藤充弘さん。
ボランタリーチェーンの全日食チェーンの総帥。
齋藤さんの話は、データに基づいていて、
しかも示唆に富む。
「仕入れの時代から、調達の時代に変わった」
名言。座布団三枚。
「加工食品に関して、売価と商品の売れ方には関連性がある。
我々は100万件のデータを持って、それを解析している。
ボランタリーチェーンの加盟店は、それぞれ勝手に値付けする。
しかし値上げに関しては、保存の利かないものは、
1カ月で店頭売価が上がってくる。
保存の利くものは、ぴったり3カ月で値が上がってくる」
つまり生鮮食品や日配品は、値上げがあっても買われ、
加工食品は、3カ月かかるということか。
「メーカーのトップに言った。
値上げを飲まないと言い張る小売業には、
売らなくて良いんじゃないの?」
齋藤さんらしい、挑発的なご発言。
私、こういうところが大好きだ。
さて、今回は席順でも、総括の役回りになってくださった副会長。
ヤオコー会長の川野幸夫さん。
いつも理論的。
そして説得力がある。
貫いてきたものがある上に、
19期連続増収増益。
貫いてきたからこそ、この実績をつくったのだと思う。
「パラダイムの転換のとき、我々はいかに供給責任を果たすか」
「変化適応業であると同時に、変化指導業である」
「今、集荷能力が大切。
日頃の態度がリトマス試験紙となる」
「サプライチェーン全体が運命共同体となる時代」
「コモディティ商品とライフスタイル商品があって、
コモディティは価格が大事、
ライフスタイルは個々のお店ごとの値ごろが大事。
だから商売のコンセプトがなければいけない」
川野さんの席順に感謝した。
席順をつくったのは、協会事務局長の江口法生さんと私だが。
さて最後に私がまとめた。
製・配・販のコラボレーションからハーモニーへの条件。
①共通のゴールを持つ
②サプライチェーン全体で一つのターゲット顧客を持つ
③メーカー、卸、小売は共通の言語を持つべき
④共通の情報を持つ
⑤共通の指標を持つ
⑥ジョイント・スコア・カードをつくる
⑦人材を育成する
⑧シングルチームとなる
⑨ルーティンベースで仕事する
⑩すべての会社をかかわらせることは難しくなる
600人を超えた聴衆の皆さんに、ご清聴を感謝したい。
拍手のなか、降壇するパネラーの皆さん。
ありがとうございました。
今年も、稀に見るパネルディスカッションでした。
私は、心より楽しみました。
さてその後の記念パーティ。
同協会会長の清水信次さんのご挨拶。
ピンでステージに立つと、
パネルディスカッション以上に映える。
毒舌とユーモア、そして日本と日本人に対する大きくて深い愛。
日本のスーパーマーケット業界は、
絶対に清水さんを中心にまとまらなくてはいけない。
特に政治・行政に対しては。
私は、そう思う。
ご来賓の挨拶は、参議院議長・江田五月さん。
清水さんからの突然のご指名。
それでも気持ちよく、祝辞を語ってくれた。
経済産業大臣の甘利明さん。
流通通の政治家らしく、勘所を押さえたご挨拶。
私、ユータカラヤの高木勇輔君の結婚式でご一緒した。
忙しいのに、40分も、席についていた。
協会発足時から事務局長、専務理事として、
尽力された並木利昭さんがご退任の挨拶。
素晴らしい。
とはいっても、協会を去るわけではなく、
ライフコーポレーションの人事本部長として、
実務に戻るわけで、
並木さんの実力が、いよいよ、現場で発揮される。
期待、大。
代わって、倉田新専務理事もご挨拶。
よろしくお願いします。
乾杯のご発声は、準会員を代表して、
国分社長の國分勘兵衛さん。
パネルディスカッションのことを引き合いに出してくださった。
パネラーともども感謝。
懇親会では、様々な皆さんより、
お褒めの言葉を頂いた。
ここには、お名前を上げることができず、
恐縮。
でも、どんどんご連絡ください。
商人舎も結城義晴も、
いつも、
ずっと、
オープンマインドです。
伊藤ハム社長・河西力さん、伊藤ハムの面々と懇談。
1時間ほどで、懇親パーティを辞して、
横浜みなとみらい・東急ベイホテルへ。
こちらはオール日本スーパーマーケット協会。
部外者には、分かりにくいかもしれないが、
「オール日本」と「日本」、それから「全国」と、
三つの名のつくスーパーマーケット協会があるのです。
それに日本セルフ・サービス協会も、
スーパーマーケットに関する協会。
さてこちらのオール日本は、チェッカーフェスティバル。
チェッカーコンテストが発展して、
レース型のスポーツのような競争から、
アート型の芸術祭のようなものになった。
それでも41人のフェスティバル参加者のうち、
6人の優秀賞が決まると、
みな、涙、涙。
本人はもとより、応援団の同僚、チェッカートレーナー、
そして担当の取締役から社長まで。
北海道の、ある社長さんの目に涙。
私、しっかり見てしまった。
優秀者には、同協会会長の荒井伸也さんから、
表彰状とトロフィーと記念品の贈呈。
荒井さんは、総評を語った。
「チェッカーの一人ひとりの接客応対に、
その企業のカルチャーが映し出されている」
やはり鋭い観察眼。
私もまったく同感。
だからアートなのだ。
芸術なのである。
チェッカーの仕事は、
芸術的パフォーマンスとなる。
高次元に達すると。
そしてチェッカーさんに、
お客がつく。
芸術のファン、あるいはアーティストのパトロンである。
だからチェックスタンドの仕事は、
セルフサービスの小売業、外食産業にとって、
とても重要なのである。
北野祐次名誉会長を挟んで、
荒井会長と私。
クールビズで、恐縮。
パーティの最後に、
優秀賞に輝いた京都のマツモトのクルーと記念写真。
心より、おめでとう。
私も、皆さんのファンです。
その後、荒井さん、とりせん社長の前原章宏さん、
関西スーパーマーケット社長の井上保さん、
アルプス社長の松本清さん、
あづま食品社長の黒崎英機さんらと懇親。
今日は、楽しかった。
気持ちよかった。
無性に、感謝したくなった。
<結城義晴>