結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2008年08月05日(火曜日)

全日本食品㈱社長齋藤充弘さんと143%増の秘密を語り合う

薬販売の展開、急である。

CFSコーポレーションと統合を目指していた
アインファーマシーズ、
セブン&アイ・ホールディングスと提携。

アインファーマシーズは、
調剤薬局として日本最大手。
調剤最大手とは、何を意味するか。
薬剤師を最大級に抱えているということ。

今後、大衆薬(OTC)を中心とする販売において、
必ず駐在していなければならない登録販売者候補を、
大量に養成する可能性を持っているということ。

もちろん販売ノウハウや、取引先、顧客ネットワークなどに、
しっかりと基盤を持っているということ。

そのアインファーマシーズとセブン&アイが提携。

大きな出来事だ。

こちらの最後の目標は、
全国1万2000店のセブン-イレブンで、OTCを販売すること。

先日来日したコーネル大学名誉教授ジーン・ジャーマン先生は、
「日本のコンビ二は、
アメリカのドラッグストアの機能を果たしている」

こともなげに言った。

私もかねがね、そう思っていたから、
もちろん、その通り、と賛成した。

8月下旬から、登録販売者試験が、
全国で実施される。
10月まで。

その後、来年明けてから、再び試験が始まる。

そして来春から、いよいよ本格化する。

9月、10月の政府条例で細目が決定して、
薬の販売に新しい時代がやってくる。

さて、昨日は、
東京・入谷の全日食チェーン本部へ。

全日本食品㈱社長の齋藤充弘さんと対談。
斎藤充弘さん1
商人ねっとと商人舎のコラボレーションで、
商品化が進んでいる「CDオーディオセミナー」の第2弾録音。

第一回は、ライフコーポレーション社長の岩崎高治さん。
オーソドックスな経営革新の物語で、
とても良い内容だった。

今回は、日本のボランタリーチェーンのリーダー齋藤さんと、
ボランタリーチェーンおよび商売の本質を語り合う。

全日食チェーンは、現在、加盟店が増えている。
北海道から沖縄まで1800店。
それに、全日食のシステムを活用したり、
商品供給を受けたりしている店舗が、500店。

合計で、2300店の組織となっている。

30坪や50坪の小型店から、
300坪、500坪のスーパーマーケットまで、
加盟店の店舗規模は様々だが、
中心は150坪くらい。

この加盟店をサポートするシステムが、
全日食ならではのもの。
100人のスーパーバイザーが、
週1回ほど加盟店をめぐり、
経営指導する。

ボランタリーチェーンは、
自発的連鎖店、
あるいは任意連鎖店という。

同一資本の元に、
多店舗展開されるのがレギュラーチェーン。

明確な契約の上で、
本部がビジネスパッケージや、
商品・ノウハウの供給をするのが、
フランチャイズチェーン。

これらに対して、
店舗が自由意志で協力し合うのが、
ボランタリーチェーン。

ただし全日食チェーンは、
全品供給・自前物流を貫徹している。

ミニスーパーの日本最大のボランタリーチェーン。
それが全日食チェーン。

全日本食品㈱は、
その本部機能を担う会社。

全国に15の協同組合があって、
この組合を中心にチェーン組織が出来上がっている。
全日本食品は、全国にこれも15の支社をもっていて、
チェーン運営を担う。

齋藤さんは、その全日本食品㈱のプロパー社員から
社長になった。
ボランタリーチェーンの世界では、異例の人物。

どんと肝が据わっている。
恐ろしく頭の回転が早い。
その上で、優しい。

さて対談が始まると、現在、
「全日食チェーン絶好調」であることが明らかにされた。
斎藤充弘さん2
この7月の数字。
グロサリーの売上高、前年対比143%。
8月は150%を超えて、160%になろうとしている。

なぜか?

その秘密は、CDオーディオセミナーでどうぞ、
というところだが、ひとつだけ公開。

昨年9月から、齋藤さん、
「新商品施策」と名づけた政策を始めた。

3つの施策。
第一。死に筋。
死に筋を定義し、その商品を明確にして、
徹底的に排除する。
グロサリーは月に3個以下の売れ数、
日配品は、週に3個以下の売れ数、
生鮮食品は、日に3個以下の売れ数、
これらの商品を「死に筋」と決めて、
徹底排除した。

第二。売れ筋。
死に筋以外の商品が売れ筋。
しかし調べてみると、
この売れ筋は売場に並んでいないことが多い。
3分の1は欠品している。
この欠品を、排除した。

第三。売価。
全日食のPOSシステムは優れもので、
これを解析することで、値ごろが分かる。
ボランタリーチェーンであるから、
売価設定は加盟店に任されている。
従って、カップヌードルなど、
58円から158円まで売価が設定されている。
しかし全店のPOSデータをつぶさに見ると、
「この値段なら、お客が買ってくれる売価」が、
1アイテムごとに見えてくる。

それを全店に明示して、販売した。

あなたの店の商品、
なぜこの値段なのか。
1品1品、根拠がありますか?

以前からこの値段?
隣の店がこの値段?
イオンやイトーヨーカ堂がこの値段?
問屋やメーカーがこの値段ですと言う?

全日食では、多くのデータから、
この1品はこの値段という適正価格をはじき出した。
これが、当たった。

だから全日食の定価は、黙っていても、
確実に売れるようになった。

死に筋、売れ筋、値ごろ。

三つの政策で、グロサリーの売上高143%。

齋藤さんのお話、これだけでも十分価値があると思った。
斎藤充弘さん3

心より、感謝。

<結城義晴>


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