全日食チェーン「第9次5カ年計画」の凄さとボランタリーチェーンとしての蛻変
日本チェーンストア協会の9月販売統計。
とうとう食品まで、
マイナス2.3%の前年同月比割れになった。
衣料品はマイナス5.2%。
住居関連はマイナス2.2%。
サービスだけがプラスで3.5%。
全体では既存店ベースでマイナス2.2%。
これはまあ、そんなものだろうとは、皆、思うだろう。
日本チェーンストア協会は、
総合スーパーの協会といってよい。
その販売統計は、総合的な消費指標となる。
食品全体でみると、外食費が激減してきた。
その分が内食・中食に回っていた。
「節約・倹約。もったいない」の傾向が、
こんな形で、チェーンストア協会の食品の売上高に表れていた。
2月から、8カ月連続で、食品の販売実績は前年をクリアしてきた。
しかし9月にとうとうそれもダウンとなった。
本格的な消費低迷期に突入してきた。
実体経済に強く影響が出てきた。
そう受け止めるべきだろう。
心してかかるべき2008年終盤である。
だから昨日の日本ハム社長・小林浩さんの指摘のような、
品種別・品目別の吟味峻別が大切となる。
小売りの神は細部に宿る。
これである。
さて、この不況期に気を吐くグループがある。
昨22日、東京・台場、ホテルグランパシフィック。
毎年恒例の「全日食躍進チェーン大会」。
盛大に開催される。
「第9次5カ年計画樹立記念」と銘打たれ、
例年にも増した一段と力のこもった大会。
午後2時から記念講演。
評論家の大宅映子さん。
「変わらなきゃ、これからの日本」
「蛻変」や「自ら、変われ!」と、
偶然にも主張は同じ。
その後3時30分から「躍進チェーン大会」
大会会長で全日本食品社長の齋藤充弘さんが力強いご挨拶。
何しろ、齋藤さん、自信にあふれている。
「ボランタリーチェーンの時代だ!」
齋藤さんの語り、
2000人以上も集まった日本の食品産業関係者に、
強いインパクトを与えた。
8月5日のこのブログにもご登場いただいた。
商人舎・商人ねっとコラボ企画のCDオーディオセミナー。
その第2回ゲストで、前年比143%の絶好調ぶりをご披露願った。
その勢いは、3カ月経過しても衰えを知らない。
世界の経済は、この間、乱高下に次ぐ乱高下。
でも全日食チェーンは、勢いを増すばかり。
その日本最大のボランタリーチェーンが、
第9次の5カ年計画を発表。
これが終了し、次の5カ年計画を出せば、50年。
5カ年計画をここまで続ける企業や組織は、あまりない。
全日食チェーンの良い意味での「しつこさ」がよく出ている。
その5つのスローガン。
1.情報化を駆使して、
店頭指導体制の確立を行う
2.食品スーパーとしての新たなるビジネスモデ
ルの普及を行う
3.真に一元化されたチェーンシステムの
稼働を目指す
4.小さな本部を堅持する
5.更なる加盟店組織活動の醸成を行い、
VCピープル精神を堅持する
さらに平成20年度のスローガンは8つあるが、
これが、いい。
①店頭売上高昨対105%を達成する
②“新・商品政策”店頭実施率80%を達成する
③“新・発注システム”加盟店普及率50%を達
成する
④VC-POS加盟店導入率70%を達成する
この8つのスローガンの凄さ、
お分かりになるだろうか。
4つの達成目標が、明確な数値化を伴っているのだ。
ボランタリーチェーンで、この数値を言い切れるところは少ない。
⑤生鮮加工センターの全国への普及を行う
(+5カ所)
⑥新業態“生鮮・総菜シンジケートモデルと
1+5モデル”の普及を行う(+10店)
⑦小さな本部を堅持する(400名体制の堅持)
どうだろう、すべて数字で表現する。
そして最後に、
⑧活力ある加盟店組織活動の醸成を行う
「うっすらとですが本部にも、加盟店にも、
光が射してきたように感じております。
この薄明りを本物にすべく、本部・加盟店みんな仲良く朗らかに、
(以和為貴)スクラムを組んで本年も進んで行きたい」
齋藤さんの決意表明は、見事だった。
「以和為貴」は全日食チェーンの社是。
和を以って貴しと為す。
第3部が祝賀会。
その間に、ロビーで弦楽四重奏。
祝賀会の最初のご挨拶は、
全日食チェーン商業協同組合連合会の江刺公夫副理事長。
全日食チェーンの幹部は、皆、スピーチがうまい。
江刺さんも、自主性を生かしつつ、
「新しいビジネスモデルづくり」に励むと宣言。
農林水産省、経済産業省の官僚の挨拶のあと、
社団法人日本ボランタリー・チェーン協会・宮下正房会長のご挨拶。
「ボランタリーチェーンのいいところ、
フランチャイズチェーンのいいところ。
両方を合わせてボランチャイズ・チェーンという人がいる。
全日食チェーンはそれになってきた」
「座布団一枚!」
しかし、全日食チェーンは、小さな本部にこだわる。
だから、あくまで真のボランタリーチェーンであると、私は思う。
むしろ、全日食チェーンは、「蛻変」しつつあるのだと考える。
殻を脱ぎ捨てようとしているのだ。
懇親会では本当に多くの人々と、懇親した。
もちろん、齋藤充弘さん、
連合会会長の田中彰さん。
お二人は、商人舎の発起人、商人舎ファミリー。
菱食相談役の廣田正さんも商人舎ファミリー。
そしてほんとうに久しぶりに、
名門・明治屋の磯野計一さんにお会いできて、
私、うれしかった。
現在、取締役相談役。
思わず、固い握手。
お元気そう。
米国ウィスコンシンの夜のこと、
新丸ビルオープンの日のこと。
いろいろなことを思い出した。
磯野さんもすっきりして、蛻変したみたいだった。
今日も、いい一日だった。
いい人に会えた。
夕べに、感謝。
<結城義晴>
1 件のコメント
江刺公夫様
作田 孝でございます。
エンドーチェーン福島店で開店当時、大変お世話になりました。
是非ともお会いしたく思います。