効率性と安定性の二律背反の中の「継ぎはぎ現実主義」
「チャーチル英首相はかつて、
『民主主義は最悪のシステムだが、
これに勝るシステムはない』と言った。
経済では資本主義がそうだ」
東京大学教授・岩井克人さんの言葉。
(今日の日本経済新聞のインタビュー記事)
まさにその通り。
「規制を強化しながら、何とか資本主義を守るしかない」
「これがベストというものはないかもしれないが、
継ぎはぎしながら規制を加えていくという現実主義しかない」
私も、経営者を経験したので、
実感としてよく分かるが、
この国際経済の舵取りは、
企業経営と酷似している。
企業経営の原理そのものだ。
岩井さんは、このインタビューの冒頭で言う。
「資本主義は二律背反の性格を持っている」
それは「効率性と安定性」。
「市場の自主性に任せるほど、
経済は効率化するが、
不安定さは増す。
市場にゆだねる部分を抑えれば、
経済は安定するが、
効率は悪くなる」
これは、私が頻繁に使う「オクシモロン」である。
オクシモロンとは、ギリシャ語で、
「愚かな賢さ」といった意味の造語。
転じて、「創造的破壊」や「へたうま」といった、
新しい革新的な概念を示すこととなった。
だから「継ぎはぎの現実主義」しかない。
ピーター・ドラッカー先生は、
ずっと前から言い切っている。
「ブルジョア資本主義もマルクス社会主義も、
経済至上主義ということでは同類だ」
だから「知識社会のナレッジ・ワーカー」の登場が待たれる。
それを私は「知識商人」と呼ぶ。
知識商人はいつも、
「オクシモロン」の問題解決に、
迫られる。
そしてその解決の方法は、
「継ぎはぎの現実主義」である。
12月の売上げ速報値が出た。
これも日経新聞。
百貨店は、前年同月比全滅。
伊勢丹マイナス10.0%。
高島屋マイナス10.2%。
大丸マイナス9.0%。
経営がしっかりしていて、
比較的好調な百貨店3社ですらこの状況。
衣料品チェーンも全滅。
例外の1社を除いて。
しまむらマイナス7.7%。
ポイントはマイナス7.6%。
西松屋チェーンもマイナス6.3%。
ハニーズは何とマイナス19.9%。
その例外は、ご存知ファーストリテイリング。
ユニクロはプラスの10.3%。
不況・不振だの、
曜日回りが悪いだの、
言い訳が先行するが、
こんなときにも伸ばしている会社がある。
柳井正会長兼社長は、強調する。
「品切れは売り残しより、よくない」
ヒートテックが、品切れ続出の現象を捉えたもの。
ヒートテックは、発熱保温肌着。
昨年の秋から冬のシーズンで2800万枚つくったが、
それが品切れした。
伸ばしている会社の問題解決は、
「現実主義・現場主義」である。
それへの徹底である。
徹底とは、
①細かく
②厳しく
③続けること。
すなわち、
詳細、
厳密、
継続。
そして現実主義の徹底。
これが本年の大きな考え方となる。
くれぐれも今年、同質競争に陥らないことを、
付け加えたい。
<結城義晴>
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