企業倒産をセルフ・メディケーションが救う
また暗いニュースかもしれないが、
昨年の企業倒産件数は戦後最多の1万5646件。
負債総額1000万円以上の倒産。
その総額は12兆2919億円。
9月以降に多発。
そして今年は、昨年以上の倒産件数となる見込み。
東京商工リサーチの調査。
上場企業の倒産も33件で、
大企業も中小企業も、
倒産から逃れることはできない。
リサーチ会社が発表したその倒産の原因。
第1が、販売不振。
第2が、運転資金の欠乏。
二つの理由は、根本的に異なる。
資金繰りができなくなって倒産する。
その理由は、売上高の低下。
これが理由。
売上げは、伸びていても、
場合によっては、資金が調達できなければ、
企業は倒産する。
先日のコーネル大学RMPジャパンの講義で、
三つのことを強調した。
第一が、会社は自ら試算表をつくらねばならないこと。
第二が、実地棚卸しを正確にしなければならないこと。
そして第三が、脱税をしないこと。
これは、倒産しないための、
最低の条件でもある。
脱税する姿勢が、経営への真摯さを、奪い取る。
それが倒産を呼び起こす。
さて、昨日は、東京・虎ノ門で、
CDオーディオセミナーの収録。
ゲストは、「新薬事法」の渦中にいる宗像守さん。
商人ねっとと商人舎のコラボレーション企画。
毎月1セットのCDで勉強してもらう商品。
声のセミナー。
ただし、講演録ではない。
私とゲストとの対談。
対談の中に、問題意識と緊張感のコラボレーションが、
巻き起こる。
それが、不思議なものを生み出す。
「CDオーディオセミナー」はそんな商品で、
私は、完全に一つのメディアであると考えている。
つまり私が30年間携わってきた雑誌と全く同じ「媒体」。
雑誌よりも「単行本」に近いメディア。
それが90分ほどの声のセミナーになっているから、
タイムセービングで勉強できる。
今回のゲストの宗像守さんは、
日本チェーンドラッグストア協会事務総長。
今年6月から施行される「改正薬事法」を改正にこぎつけた中心人物。
宗像さんの、ミッションは、
「セルフ・メディケーション」にある。
厚生労働省が試算するところによると、
2015年には、日本の医療費は69億円に膨張する。
現在は34億円。
それを、ドラッグストアを中心に、
スーパーマーケット、
ホームセンターやコンビニが、
イノベーションを遂げることによって、
55兆円まで抑えることができる。
国家財政にかかわる仕事である。
そのミッションを達成させるのが、
セルフ・メディケーションであり、
そのために50年ぶりの薬事法改正がある。
宗像さんは、商業運動家であり、
革命家・革新者である。
その意味では、私が尊敬する同志でもある。
宗像さんとの対談は、熱を帯び、
互いに早口となり、論議が展開し、
あっという間に1時間半が経過した。
今回は、聞き手の述懐を長めにコメント。
近日中に、このホームページの「結城義晴の人・店・商品」で詳細を掲載予定。
ご期待いただきたい。
宗像さんとの話の最後に出てきたが、
倒産が増えたり、不況に陥ったりすると、
お客様にご奉仕しようという商売の内容が、
同質化してくる。
コモディティの価格一辺倒になってくる。
もちろんそれも必要だ。
しかし、それでは規模の論理だけになってしまう。
お客様の求めるノンコモディティの需要。
それが、不況の中でも増えている。
爆発的な増大があるわけでも、
マス・マーケットが忽然と生まれるわけでもないが、
全消費の2%、3%のマーケットの中に、
重要なノンコモディティが存在する。
同質化競争のレッド・オーシャンからの脱却は、
今年こそ、商業のミッションとなる。
<結城義晴>