世界GDPの2割・米国小売業年間売上高史上初の減
とうとうというか、やはりというか。
米国経済の中で重要な意味を持つ消費が、減じた。
消費の動向を示すのが、小売業売上高。
それを調査し発表するのが、米国商務省。
日本でいえば、経済産業省。
その商務省の14日発表。
2008年通年の小売業売上高は、
4兆4783億ドル(わかりやすく100円で換算すると447兆8300億円)。
この統計が始まった1992年以来、初めての前年割れ。
この米国小売業売上高は、
アメリカ合衆国の国内総生産の7割を占める。
そしてこの米国の7割を占める小売業の年商は、
世界のGDPの2割を占める。
世界経済に、ストレートに影響を与える。
「たいへんだ」という前に、米国小売業の凄さが、実感されるが、
それが初の落ち込み。
米国の日本との最大の違いは、彼の地は人口が増加している国ということ。
日本は少子高齢化に向かって人口減少過程にある国。
その人口増加の世界最大の国家で、
小売業売上高が下がって、世界経済に深刻な影響が出る。
この発表の影響もあって、ニューヨーク株式相場は、ダウ平均で300ドル下げた。
この米国小売業売上高ダウンは、
2008年最後の12月クリスマス商戦の激減によって決定づけられた。
米国小売業協会の発表では、
12月商戦は前年同月比でマイナス2.8%。
日本以上に大きな消費が見込める12月商戦。
小売り各社とも、当然、サブプライムローン問題以後落ち込んだ売上高対策を駆使したが、
この惨敗。
しかしその上で驚くべきことは、
ウォルマートは、その12月商戦でも、
大手小売業の中で唯一、売上げを伸ばした。
全体が縮小する中で、ただひとり、伸びる。
ますます、ウォルマートの存在感が高まる。
ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんは言った。
「アメリカ国民の3分の2が、
週末にウォルマートで買い物している。
凄いことです」
これは、客数主義を物語っている。
いまこそ、レジ通過の客数、
この店に実際にお金を落としてくれるお客様の数、
それが何よりも大切なバロメーターとなる。
お客様の、店への信頼を意味するからだ。
「1社独占だ」と騒ぐのは間違っている。
ウォルマートは今年度、年商4100億ドルに近づく。
4兆4783万ドルの米国小売業総売上高の1割に迫る。
世界のGDPのなんと、2%。
1945年にサム・ウォルトンという一人の男が創業した会社が、
それを成し遂げている。
小売業は、全体でみると、
大中小さまざまな店と企業によって構成され、
その大中小さまざまなフォーマットの全体によって、
消費が形成されている。
そこには大には大の、小には小の、役割がある。
しかし、大も小も、それなりに客数を伸ばしていることが大切だ。
まとめておこう。
第1に、客数主義の重要さ。
それは顧客とマーケットからの信頼を形成するからだ。
第2に、全体がシュリンクする中で伸びると、
その企業、その店、その部門の重要度は、
伸びた数値の累乗くらいの重みを持ってくる。
さて、昨日は、朝から、東京神田の日本セルフ・サービス協会。
協会副会長の村山紘一さんの相談事。
村山さんは、福岡県のスーパーマーケット「スピナ」の元社長で現在、
九州電力㈱の監査役。
村山さんのご紹介で、
㈱九電工経営企画部部長の檜垣博紀さんと、
施設開発のお話。
私も福岡出身。
微力ながら、お手伝いします。
その後、協会会長の増井徳太郎さんとランチミーティング。
急ぎ、西新宿の伊藤園本社へ。
秋の大陳コンテスト審査委員会。
本庄大介副社長、江島祥仁副社長、本庄周介専務に、
『食品商業』山本恭広編集長を交えた審査委員団。
企業賞賞金300万円、
店舗賞大賞賞金200万円。
決まりました。
おめでとう。
暗い話ばかりではいけない、
明るい話で終わりたい。
そして私たちには、いつも、必ず、
明るい未来が開けている。
<結城義晴>