「異常値」を生み出す三つの要素を考える
商人舎ホームページ、充実してきました。
トップ画面は、変わりません。
結城義晴のBlog[毎日更新宣言]。
中川昭一財務大臣のように酔っぱらわず、
ひどい病気にもならず、
幸いなことに事故にもあわず、
毎日、書き続けています。
充実してきたというのは、トップ記事以外のブログの種類と内容です。
ページ右側に、「Today!」「New!」といった赤い字の表示が出ます。
これは、最新の記事のお知らせです。
「Today!」は24時間以内にアップした記事。
「New!」は3日以内の記事。
鮮度のある記事です。
是非、のぞいてみてください。
例えば今日は、
「杉山昭次郎のときどきエッセイ」が、
埼玉県飯能の隠遁先生から新着しました。
「結城義晴の人・企業・店」というブログには、
「2009スーパーマーケット・トレードショー」のブース紹介が、
商人舎商品探偵団の「独断コンテスト」として掲載されています。
「結城義晴の知識商人対談」では、
ライフコーポレーション社長の岩崎高治さんの巻が、
面白いところに入ってきました。
この対談は、商人ねっとと商人舎の協働企画。
私とゲストとの対談を、
CDオーディオセミナーとして販売しているものですが、
そのコンパクト活字版。
「コンピュータリテラシー研究会」のブログも、
プラネット玉生弘昌社長と當仲寛哲研究会座長の対談が、
佳境に入ってきました。
そのほかに「エコバッグ研究会」
「林廣美の今週の惣菜」
「商業経営問題研究会」
みな、まじめだったり、役に立ったり、
面白かったりするブログです。
さて、先の中川昭一財務相の「酩酊会見」。
昨日書いたように、騒がれています。
ついに中川財務相、辞意を表明してしまった。
しかしテレビというのは、凄い。
ありのままに、露わに、事実を映し出す。
私は、何度も、笑いました。
見るたびに、腹を抱えて笑いました。
涙を流して、笑いました。
どう繕っても「酔っぱらいの記者会見」。
それが、国際政治舞台の脇の記者会見に現れた。
笑えない内容ですが、可笑しい。
まあ、これが笑いの本質というものでしょう。
自分をさらけ出して、
自分を捨てるところに、
「笑い」はある。
図らずも、それが、見えた。
一方、日本の昨年10月から12月のGDP12.7%の激減。
サブプライムローン問題発祥の源・アメリカ合衆国はマイナス3.8%。
イギリスが5.9%減で、EUのユーロ圏諸国のトータルが5.7%減。
お隣の韓国は3.4%。
この国内総生産の減少10%前後の傾向は、
今年1月から3月までの四半期にも、さらにそのあとにも続く。
欧米諸国に比べて日本の落ち込みが大きいのは、
外需頼み、輸出頼りの経済構造だったから。
いわば他力本願。
だから「小売流通業・サービス業が21世紀の日本を救う」
この考え方が、必須。
内需の発掘のチャネルが小売流通業・サービス業だからです。
この件に関して、思うところがありますので、
書いておきましょう。
スーパーマーケット・トレードショーのセミナー。
「店長が変わるとこんなに数字が変わるのはなぜだろう?」
パネルディスカッションのヤオコーの大塚明さんと、
元ヨークベニマルの加藤津代志さんが出てくださった。
私がコーディネーターを務めた。
その、結論のようなスローガンの一つとして、
「異常値への挑戦」というコンセプトが出た。
この「異常値」と「挑戦」に関して。
「異常値への挑戦」自体は、よろしい。
しかし、「異常値」というならば、
「通常値」や「正常値」もある。
このことを考えておかねばならない。
なぜ、異常値を出せるのか。
異常値は、どう導きだすのか。
考えられる第一のことは、「他から取る」
小売業店舗には、商圏があります。
その同一商圏内の競合他社から奪う。
同業種・同業態から。
あるいは異業種・異業態・異産業から。
もうひとつは、自店の商圏を拡大して、
商圏外から取る。
これも、「他から取る」の一つ。
日本の小売業のほとんどは、
オーバーストア状況にあります。
お客様の数よりも、店の数が多いこと。
スーパーマーケットや総合スーパー、ドラッグストアは、
激戦です。
だから「異常値」は競争に勝利することによって、
生まれることが多い。
しかし、やがて淘汰が進む。
そんな商圏では異常値は生まれにくいし、
異常値の幅は小さい。
第二は、「お客様から取る」。
ひとつは、丁寧にお客様の買い忘れを防ぐ。
提案によって、潜在意識、無意識の購買を喚起する。
これはマーケティングの基本。
結果的にお客様からも喜ばれる。
だから、「一人あたり買い上げアイテム数を増やす」
ペガサスクラブ渥美俊一先生が盛んに提唱されている考え方。
暮らしを豊かにするご提案。
そして最後に第三に考えられるのは、「自分から取る」。
自社、自店の未来売り上げから先取りする。
あるいは、自店内他部門から奪う。
隣接している商圏に自社の店舗がある場合は、
自社内競合となる。
会社の中に競争意識を意図的につくって、
それを起爆剤にして売上げを伸ばす作戦がありますが、
この第三の要素は、それだけでは成立しない。
結果として、競争意識が、高いレベルをつくって、
第一、第二の需要を生み出す。
だから「異常値」はこの三つの要素が重ね合わされて、
生まれるものなのです。
しかし、高いレベルの商品と売り場とサービスになったら、
それを「正常値」にしてゆくことが大切です。
正常のオペレーションによって、
「異常に見える高い数値」を導き出す。
異常値は、長くは続かない。
一瞬のことです。
なぜなら「異常値」だから。
異常値を、正常値に置き換える。
ウォルマートなどは、他と比べると、
「異常値」に思える数値を生み出し、
それをわざわざ「物量の波動」が小さくなるようにして、
営業を設計します。
限界への挑戦を続けるのではなく、
「高いレベルの正常値」としていく。
二本の異常値で「吊り橋」をつりあげるようにして、
そのつり橋を少しずつ高くしていく。
これが「吊り橋理論」です。
日本の経済は輸出産業によって、潤ってきました。
だから猛烈に輸出を増やしてきた。
場合によっては、日本国民よりも、輸出先の人々の方が、
はるかに豊かで安い日本製品を享受したりして。
大きな視点で考えると、
この外需頼みの経済から、
自分の足元のお客様の内需を喚起する方向に、
転換するときがやってきました。
このことと、「異常値を正常値にしていく行為」とは、
どこかでつながっているように感じられるのです。
「奪い取る」マーケティングと、
「耕し育てる」マーケティング。
新しい時代の到来が、予見されます。
<結城義晴>
[追伸]
いま、雪の金沢。
今朝、このブログを書き終えて、
アップのボタンを押したとたん、
すべてが消えてしまいました。
長いものを書いた日に限って、
消えてしまう。
二度目のこと。
大ショック。
空港でも、機内でも、
クルマの中でも、
書き続けて、
いま、皆さんに、
ご覧いただくことができました。
遅くなってすみません。
ご愛読感謝します。
2 件のコメント
初めまして。風生と申します。
現在、物流企業で商品管理の業務に従事しています。
確実な商品管理法を模索してインターネットを検索していると、御社のホームページに辿りつきました。チェーンストア理論や、時々のブログでアップされてます陳列画像など、業態も違い、商材も違いますが参考になる事象も多く含まれており、日々、楽しく拝見しております。本日の異常値を高い正常値に、論は個人・会社を問わず管理の高度化に参考になり、一筆感想を書かせて頂きました。今後もブログを楽しく拝見させていただきます。頑張って下さい。
風生さま、ご投稿ありがとう。
意外なところからのご指摘。
嬉しい限りです。
いつも、根本のところから、ものを考えたいと思っています。
そうすると、色々な事柄が関連し、
共通しているのだと、気付かされます。
それが実は、大切なのだと思います。
ひとつのことに精通して専門家になるというのは、
実は根本のところで、違う世界につながってゆくことにもなる。
不思議ではあるけれど、面白いことです。