戸籍のない産業「スーパーマーケット」
小売業界のトップの若返りが進む。
セブン-イレブン・ジャパン社長に井阪隆一取締役常務執行役員が昇格する。
51歳で、同社初めての生え抜き社長。
この、若い社長のもと、2009年度は1000店の出店計画を持つ。
ローソンの新浪剛史さんが50歳で、同世代。
社長としてのキャリアでは、新浪さんが先輩だが、
互いに競ってほしいものだ。
新浪さんは昨年10月から毎月、自分でコラムを書いている。
タイトルは『新浪です』
井阪さんにも、元気な社長を期待したい。
コンビニは、世界中を見渡しても、日本という国で一番進化を見せている業態。
そのコンビニをリードする二人の経営者には、日本の産業界全体からの期待がかかる。
さて、商人舎ホームページ、面白い記事が増えている。
先日ご紹介した杉田幸夫さんの「BizMaga : The Super ★ Market」。
浅野秀二さんの「アメリカ寄稿」。
(浅野さん、とうとうWBCの原監督采配の件で、土下座してしまいました)
そして金曜日は、「林廣美の今週のお惣菜」
さらに、「スタッフ日記」でも、アメリカ視察セミナーの模様が、コミカルに描かれます。
巻頭テロップの「流通ニュース」は流通業界第一級の速報性と情報量を誇ります。
是非、楽しんでください。勉強してください。
さて、昨日は、成田で日本セルフ・サービス協会主催のチャリティゴルフ大会。
タジキスタン共和国ヌレク第17小中学校支援基金に、私も寄付し、参加した。
その後、夕方、東京に戻って、
アークス社長の横山清さんと、懇談。
前日の同協会通常総会からずっとご一緒。
全国スーパーマーケット協会理事長にして日本セルフ・サービス協会名誉会長。
まず、日航ホテルで、二人だけの対談。
それから場所を移して、お酒を飲みながら続き。
ところは、銀座の長崎料理店「吉宗」。
吉宗から、アークス執行役の古川公一さん(写真後ろ中央)、
さらに『食品商業』編集長・山本恭広さん(写真左端)、
『販売革新』編集長の宮崎文隆さん(右端)が加わって、にぎやかな懇談。
ここでのテーマは、
「スーパーマーケットは戸籍のない産業」ということ。
これ、私の持論。
「戸籍のない産業」という言葉は、横山さんの命名。
総務省統計局から「日本標準産業分類」が出されている。
この分類表によって、日本のすべての行政が行われる。
大分類は、20。
大分類のアルファべットI分類が卸売業・小売業、
すなわちわが商業。
小売業の中に、中分類がある。さらにその下に小分類、細分類がある。
少々長くなるが、小売業の中分類・小分類・細分類を全部、掲載する。
中分類が二桁の数字、小分類が三桁、細分類が四桁の数字で管理されている。
56 各種商品小売業
560 管理,補助的経済活動を行う事業所(56各種商品小売業)
5600 主として管理事務を行う本社等
5608 自家用倉庫
5609 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
561 百貨店,総合スーパー
5611 百貨店,総合スーパー
569 その他の各種商品小売業(従業者が常時50人未満のもの)
5699 その他の各種商品小売業(従業者が常時50人未満のもの)
57 織物・衣服・身の回り品小売業
570 管理,補助的経済活動を行う事業所(57織物・衣服・身の回り品小売業)
5700 主として管理事務を行う本社等
5708 自家用倉庫
5709 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
571 呉服・服地・寝具小売業
5711 呉服・服地小売業
5712 寝具小売業
572 男子服小売業
5721 男子服小売業
573 婦人・子供服小売業
5731 婦人服小売業
5732 子供服小売業
574 靴・履物小売業
5741 靴小売業
5742 履物小売業(靴を除く)
579 その他の織物・衣服・身の回り品小売業
5791 かばん・袋物小売業
5792 下着類小売業
5793 洋品雑貨・小間物小売業
5799 他に分類されない織物・衣服・身の回り品小売業
58 飲食料品小売業
580 管理,補助的経済活動を行う事業所(58飲食料品小売業)
5800 主として管理事務を行う本社等
5808 自家用倉庫
5809 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
581 各種食料品小売業
5811 各種食料品小売業
582 野菜・果実小売業
5821 野菜小売業
5822 果実小売業
583 食肉小売業
5831 食肉小売業(卵,鳥肉を除く)
5832 卵・鳥肉小売業
584 鮮魚小売業
5841 鮮魚小売業
585 酒小売業
5851 酒小売業
586 菓子・パン小売業
5861 菓子小売業(製造小売)
5862 菓子小売業(製造小売でないもの)
5863 パン小売業(製造小売)
5864 パン小売業(製造小売でないもの)
589 その他の飲食料品小売業
5891 コンビニエンスストア(飲食料品を中心とするものに限る)
5892 牛乳小売業
5893 飲料小売業(別掲を除く)
5894 茶類小売業
5895 料理品小売業
5896 米穀類小売業
5897 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
5898 乾物小売業
5899 他に分類されない飲食料品小売業
59 機械器具小売業
590 管理,補助的経済活動を行う事業所(59機械器具小売業)
5900 主として管理事務を行う本社等
5908 自家用倉庫
5909 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
591 自動車小売業
5911 自動車(新車)小売業
5912 中古自動車小売業
5913 自動車部分品・附属品小売業
5914 二輪自動車小売業(原動機付自転車を含む)
592 自転車小売業
5921 自転車小売業
593 機械器具小売業(自動車,自転車を除く)
5931 電気機械器具小売業(中古品を除く)
5932 電気事務機械器具小売業(中古品を除く)
5933 中古電気製品小売業
5939 その他の機械器具小売業
60 その他の小売業
600 管理,補助的経済活動を行う事業所(60その他の小売業)
6000 主として管理事務を行う本社等
6008 自家用倉庫
6009 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
601 家具・建具・畳小売業
6011 家具小売業
6012 建具小売業
6013 畳小売業
6014 宗教用具小売業
602 じゅう器小売業
6021 金物小売業
6022 荒物小売業
6023 陶磁器・ガラス器小売業
6029 他に分類されないじゅう器小売業
603 医薬品・化粧品小売業
6031 ドラッグストア
6032 医薬品小売業(調剤薬局を除く)
6033 調剤薬局
6034 化粧品小売業
604 農耕用品小売業
6041 農業用機械器具小売業
6042 苗・種子小売業
6043 肥料・飼料小売業
605 燃料小売業
6051 ガソリンスタンド
6052 燃料小売業(ガソリンスタンドを除く)
606 書籍・文房具小売業
6061 書籍・雑誌小売業(古本を除く)
6062 古本小売業
6063 新聞小売業
6064 紙・文房具小売業
607 スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業
6071 スポーツ用品小売業
6072 がん具・娯楽用品小売業
6073 楽器小売業
608 写真機・時計・眼鏡小売業
6081 写真機・写真材料小売業
6082 時計・眼鏡・光学機械小売業
609 他に分類されない小売業
6091 ホームセンター
6092 たばこ・喫煙具専門小売業
6093 花・植木小売業
6094 建築材料小売業
6095 ジュエリー製品小売業
6096 ペット・ペット用品小売業
6097 骨とう品小売業
6098 中古品小売業(骨とう品を除く)
6099 他に分類されないその他の小売業
61 無店舗小売業
610 管理,補助的経済活動を行う事業所(61無店舗小売業)
6100 主として管理事務を行う本社等
6108 自家用倉庫
6109 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
611 通信販売・訪問販売小売業
6111 無店舗小売業(各種商品小売)
6112 無店舗小売業(織物・衣服・身の回り品小売)
6113 無店舗小売業(飲食料品小売)
6114 無店舗小売業(機械器具小売)
6119 無店舗小売業(その他の小売)
612 自動販売機による小売業
6121 自動販売機による小売業
619 その他の無店舗小売業
6199 その他の無店舗小売業
まず、どこにも「スーパーマーケット」の概念が存在しない。
「561」の小分類は「百貨店,総合スーパー」で、
「5611」の細分類も「百貨店,総合スーパー」
すなわち百貨店と総合スーパーが一緒くたにされている。
私見だが、ここは、
「5611 百貨店」
「5612 総合スーパー」
こうでなくてはいけない。
「589 その他の飲食料品小売業」の細分類の一番初めに、
「5891 コンビニエンスストア(飲食料品を中心とするものに限る)」がある。
「603 医薬品・化粧品小売業」の筆頭に「6031 ドラッグストア」がある。
「6032 医薬品小売業(調剤薬局を除く)」
「6033 調剤薬局」「6034 化粧品小売業」と続く。
そして、「609 他に分類されない小売業」の頭に、
「6091 ホームセンター」が出てくる。
しかし「スーパーマーケット」の言葉はどこにもない。
日本の標準産業分類の中に位置づけられない小売業。
しかし17兆0535億円の最大の年商を占める業態。
それが「戸籍のないスーパーマーケット」である。
横山さんも私も、このスーパーマーケットに、
戸籍を得ようと努力する。
そのことで、心を一つにした。
この標準産業分類に、名称が入ることで、
政府の政令や地方自治体の条例の中に、
「スーパーマーケット」の言葉が使われるようになる。
これは大事なことだ。
一昨昨日、社団法人全国スーパーマーケット協会が正式に機関決定し、
一昨日、社団法人日本セルフ・サービス協会が通常総会で採決した。
両者の合併を。
これは、スーパーマーケットの戸籍獲得への推進力となる。
横山さんは、その歴史的な会合で、
「スーパーマーケットの新しい時代」を宣言した。
とても誇らしそうだったし、うれしそうだった。
私も、このことには、尽力したいと考えている。
「スーパーマーケットが戸籍を得る」
このブログを読んでくださっているスーパーマーケット関係者の皆さん、
一緒にやりましょう。
さらに百貨店の皆さん、総合スーパーの皆さん、
それぞれが立派に独立した業態であることを、
産業の戸籍簿上で示しましょう。
私は、これは「商業の現代化」に確実に貢献すると思っている。
食品卸売業界にも、食品製造業界にも、いい影響をもたらすし、
農林水産省をはじめとする行政府にも、理解が得られやすくなる。
そして輸出頼みから内需発掘に移行しなければならない日本経済に対しても、
さらに日本の自給率向上国民運動にも貢献する。
「食」を提供する小売業態の中の「スーパーマーケット」が、
戸籍を持つことは。
有意義な一夜だった。
<結城義晴>
3 件のコメント
自分には、とてもとても遠くて大きな話に感じますが…。。。
自分の出来る事を頑張ります(*^_^*)
ナンバさん、いつもありがとう。
ナンバさんにとって、遠くの話ではありません。
大きな話でもありません。
自分の仕事、自分の売り場、自分のお店、自分の会社。
それらが日本の産業界のどこにどう位置付けられているか。
とても大切な、自分のことです。
それを知ることだけでも、自己確認に役立ちます。
自己を確認して、自分の売り場の充実に励む。
全体の中での自己の立ち位置を確認することは、
長い人生の中で、大いに役立ちます。
そんな意味に、受け取ってください。
前略 初めてメールします。
商人舎の結城義晴さんにお聞きしたい事がありますが、よろしくお願いいたします。
私は茨城県で農家を営む傍ら、農業生産物(果実や野菜)の絶対的優位高品質を生み出す栽培技術体系の研究農場(8ha,25000坪)や、従来のメーカーでは追従出来ない最先端の選果選別機等の全国JAに普及する企業を経営しています。
将来の量販店を更に発展さ消費者に支持されていく為には、現場で生産物を供給している農業生産技術の研究開発がなくてはあり得ないと思います。しかし、昨今の量販店や異業種企業が莫大な投資をして農業に参入しても、露地野菜などはやや前進しても、果菜特に最大消費量と大きな消費幅を持つトマト等の投資は150億円もつぎ込みながらその殆どが失敗するか、赤字を解消する目途さえ見えない現状です。それは何故か?と言えば、消費者が求めてやまない高品質の生産物の値ごろ感ある生産物誕生に開発投資を怠り、誰でも容易に栽培でき、短時間で習得出来る普通のトマトに莫大で超豪華なハウス設備を立てる事が農業投資と錯覚をしてしまっています。私は、その企業姿勢では、企業的農業は生まれないと悟り、ダントツな品種とその栽培体系を確立させるため8年間、自己資金と、脆弱な融資に頼り、悪戦苦闘して1昨年その技術体系を完成させました。これにより全国的にそのトマトの陳列で消費者を呼び込める可能性を秘めた商品を誕生させ、試験的に販売を開始しました。私はこの品種や栽培技術体系で冬春栽培は平地ハウスで、夏秋栽培は800m以上の高地で投資金額が極めて少なくて済む雨避けハウスで年間通年での栽培が可能になり、大きな事業になると確信しています。これこそが、ただ生産者から物を仕入る量販店ではなく、自らが農業に投資をして現場企業とともに消費者の期待に応える産物を提供する戦略的企業の社会的責任ではないでしょうか?
商人舎の結城義晴さんにこのメールをご紹介していただければ幸いです。よろしくお願いしたします。KEKグループ日本協同企画株式会社宮田和男前略