コーネル・ジャパン講義、サミットのLSPの真髄を体験する
ロンドンで行われている金融サミット。
日米欧に新興国を加えた20の国家と地域の首脳会議。
「遅くても2010年末まで」に、
「世界経済成長率4%までの回復」を宣言した。
期日を切ること、
数値目標を掲げること。
ここに先進国首脳が一致協力する。
各国は景気対策や金融規制の強化などに全力を尽くす。
人類の志と知恵に、期待したい。
私は言い続けている。
「2010年まで無呼吸泳法でいこう。
2010年には、展望が開けてくる」
その方向になってきた。
しかし今年、来年と厳しい環境が続く。
この厳しさに耐えなければ、
2010年はない。
さて、昨日は、コーネル大学RMPジャパン4月の2日目の講義。
朝、8時にサミット松戸新田店に集合。
3班に分かれて、
サミットのレイバースケジューリングの早朝作業を勉強。
私は、30年前に、関西スーパー広田店で、
1週間の実習を経験した。
素晴らしいオペレーションが展開されていた。
それが私の小売業体験の原点である。
サミットの2009年のオペレーションシステムも、
原理・原則は変わらない。
しかし、明らかに格段の進化を見せていた。
松戸新田店は、1年半前のオープン。
近隣型ショッピングセンターの核店舗。
グリーンマークシティー松戸新田という名称。
ドラッグストアのトモズ、
ファッションのコルモピア、
書店のブックスゴロー、
そして総合クリニックのドクターランド松戸、
外食のくら寿司などが入ったショッピングセンター。
そのサミットの年商は、2年目に26億円を達成しそうな勢い。
青果と鮮魚、
精肉と惣菜、
日配、加工食品、菓子、雑貨。
三つのグループに分かれて、
サミット店舗サポート部LSPグループのメンバーから現場でレクチャーを受けた。
サミットのオペレーションで最も特徴があること。
すなわち、「差異」。
それは、作業者が動かないこと。
商品は動く。
しかし人は動かない。
だから8時から10時までの早朝作業といえども、
極めて静かである。
人が動かず、製造に集中する。
だから人時売上高が上がる。
これは、見なければ分からない。
コーネル大学リテール・マネジメント・オブ・ジャパンの第1期生にとっては、
この体験が何よりの勉強になったことだと思う。
「差異が価値を生む」
商人舎の今月の標語。
月初めから、サミットのオペレーションで、
「差異」を示してもらった。
開店まで、勉強。
最後にレジチェックスタンドのミーティング。
テキパキとしていて、元気。
みんなで見ていて、最後に拍手が起こるほど。
恥ずかしながら、私、涙が出てきた。
そしてサミットの皆さんも入ってもらって、全員で記念写真。
その後、昨日の松戸商工会議所会議室。
10時30分から、質疑応答。
サミットからは、
取締役経営企画室の工藤静夫さん、
広報の中村佳之さん、
ブロック長の田村さん、
松戸新田店店長の小池伸治さん、
そして今回の主役・店舗サポート部LSPグループマネジャーの赤羽義貴さん。
LSPグループ青果担当の椎名さん。
率直に、正直に、一所懸命に答えてくださった。
サミットのレイバースケジューリングプログラムは、
進化し続けている。
人事部に属していたものが、
4月1日から店舗サポート部に格上げされ、
その中にLSPグループができた。
これは機能的にはトップマネジメント直轄の「ラインスタッフ」である。
組織的にも、一定の完成の域に達したことを示す。
そのLSPグループの課題。
商品分野別にいえば、惣菜とベーカリー。
青果、鮮魚、精肉、グロサリー(日配、加工食品、菓子、日用雑貨)、
そしてチェックスタンドは、完成に近い。
もちろん日々、改善の努力は怠らないが。
質疑応答の最後に首席講師の荒井伸也先生の総評と解説。
サミットのレイバースケジューリングをつくった経営者だけに、
この解説は、サミットの人々にも勉強になったはず。
人が動かない。
商品が動く。
それが驚くべき整然さをもつスーパーマーケットの作業体系の基礎になっている。
何度も言うが、これこそ「差異が価値を生む」
サミットの皆さんに心から感謝。
その後、高野保夫先生のまとめの講義。
そして、荒井先生、高野先生と私がパネルディスカッションしつつ、
学生との質疑応答。
第1期生の企業でも、
レイバースケジューリングや作業システム改革に取り組んでいるところは多い。
その報告もあって、全員の収穫は大きかった。
今月も、いい講座だった。
すべての皆さんに心から感謝。
取り分けて、工藤さんと赤羽さんには、
感謝の意を表明したい。
<結城義晴>
6 件のコメント
結城義晴先生の「CDオーディオ・セミナー 第1回 (株)ライフコーポレーションの岩崎社長との対談、大変、勉強になり、参考になりました。
そのCDの中で、結城先生は、「オペーレーションが大事で、オペーレーションがダメだと、例えば、アルバートソンのように一挙にダメになってしまう。」というようなことを、おっしゃっています。
アルバートソンのオペーレーションのどこがダメだったのでしょうか?
アルバートソンといえば、むしろ、オペーレーションや、レイバー・スケジューリングのお手本のように言われていたと思いますが、それが、なぜ?
また、オペーレーション以外に、アルバートソンがダメになった理由があれば、知りたいのですが。
ご教示、願います。
スーパーマーケット従業員様、ご質問ありがとうございます。
CDオーディオセミナーのご愛聴にも感謝いたします。
アルバートソンは、私も、大好きな企業でした。
オーソドックスで、正々堂々とした商売をしていて、
それでいて成績が良い。
私がオーディオセミナーで言ったのは、次のようなことです。
「アメリカやヨーロッパでも、
優れた企業、優れたスーパーマーケットというのは、
このオペレーション面の充実が、やっぱり、図られている。
そしてそのオペレーションが崩れてくると、
例えばアルバーソンのように、一挙にだめになってくる」
アルバートソンのオペレーションシステムは、
全米でも最も優れたもののひとつでした。
システムや仕組みは。
しかし残念ながら、1998年に、アメリカンストアーズという会社を、
買収してから、アルバートソンは崩れていきました。
自分より規模の大きな会社を買収したのです。
買収後わかったことは、アメリカンストアーズの経営内容が、
ひどく悪いということでした。
そこでなんとかアメリカンストアーズの立て直しをしつつ、
全体として、規模のメリットも享受しようとしたのですが、
それがうまくいきませんでした。
ではなぜ、アメリカンストアーズを買収したのか。
ウォルマートが、食品スーパーマーケットを始めたからでした。
ウォルマートが食品を始めると、
食品スーパーマーケットはやられてしまうのではないか。
そんな危機感がアメリカ中の、大手スーパーマーケット企業に蔓延しました。
その結果として、規模には規模で対抗しよう、
ウォルマートが食品スーパーとして大きくなる前に、
巨大な企業をつくっておこうと、たいていのトップが考えました。
アルバートソンのトップマネジメントも同様でした。
しかしアルバートソンの社風は、もともと、
M&Aを次々に仕掛けて大きくなるというものではありませんでした。
オペレーションに優れた会社というのは、
一挙に規模を大きくすると、そのオペレーションが崩れていくのです。
チェーンストアの仕組みは鎖のようなもので、
鎖の一つの輪が崩れると、全体にきしみが出てくる。
それがアルバートソンに出てきました。
一群の悪い店があると、会社は良い店の収益や人材を、
悪い一群の店に投入して、何とか立て直そうとします。
しかしその結果、良い店のレベルまで落ちてしまうのです。
そしてアルバートソンは、2000年台の中頃から、
一挙に、オペレーションが崩れてしまいました。
ワークスケジューリングの仕組みはあっても、
それを使う人材が店に投入されない。
そこであわてて、悪い地域の店舗をまとめて売却しようとしましたが、
それも間に合いませんでした。
結局、規模を追いかけてはいけない企業が、
規模を大きくしようとしたことの間違いが、
この企業を駄目にしてしまったのです。
オペレーションの仕組みができていないから、
会社が駄目になっていくのではなく、
会社の方針が間違ってしまい、それがオペレーションに表れ、
オペレーションが破たんすると、売り場や商品が駄目になり、
お客さまが来なくなり、店が死んでしまう。
この悪循環に陥って、アルバートソンは破たんしました。
残念で仕方ありませんでしたが、それが事実です。
もっともっと書きたいことがあるのですが、
ここでは、こんなところでやめておきます。
ご質問どうもありがとう。
私は1990年後半に、米国視察ツアーでアルバートンソンの店舗見学の機会を得ました。印象に残っているのは、牛乳をバックヤードから補充する什器(当時日本で少なかった。)や、バックヤードの補充商品に夜間の補充担当者の名前が記入されたいたことや、なによりも店舗の説明をしてくれた女性の副店長が、私たち見学者に説明をしながらも、その手は商品の前出作業をし続けていたことです。
私の知る限り、日本のスーパーマーケットでも 仕事の出来る担当者は、私と商談しながらも、その手は商品の前出作業をしていました。
「東西を問わず基本は一緒なんだ」と関心したことを思い出しました。
こんにちは(*^_^*)
サミット松戸新田さんは、毎朝晩、電車から見てます(笑)。
が…
途中下車して、入った事ナイんです…。
今度、行ってみようと思います。
いまちゃん、ありがとう。
思い出しますね、懐かしいですね。
アルバートソンに関しては、いろいろな思い出があります。
スーパーマーケットは、売れれば売れるほど、
経営が易しくなる。
その逆になると、難しく、難しくなります。
それが恐いですね。
ナンバさん、ありがとう。
良く勉強していて、しかも自分で考えて、成長のあとが見えます。
私もとてもうれしく思います。
サミットは、ベーカリーにLSPが導入されていません。
現在検討中です。
惣菜には入っていますが、まだまだ改善の途上にあります。
だから惣菜とベーカリーを比較して観察してみる。
そんなことも面白いですよ。