日経MJと第35回日本の飲食業調査「マクドナルド1位」の意味
日経MJが第35回「日本の飲食業調査」を発表した。
MJとは、マーケティング・ジャーナルの略。
商業・サービス業の専門新聞として、
高い価値をもつ。
旧知の白鳥記者が、デスクになって、
ますます快調。
月曜日、水曜日、金曜日の週3回発刊だが、
私は、毎日出してほしいと思う。
もちろん、ビジネス新聞だから、
ウィークエンドは休刊でいい。
週5回発刊。
ビジネスマンのライフサイクルにぴたりのマーケティング新聞。
それだけで日経MJは、必需のメディアになる。
現在のままでは、残念ながら、
日本経済新聞本誌の付録。
今日の「第35回日本の飲食業調査」も、
日経本誌は一面のカコミ記事で、
「外食の32%値下げ計画」と、いいとこ取り。
そして10面で、「マクドナルド首位」と報じている。
本誌でお知らせしているから、
MJの告知・販売に協力している。
そんなイメージ。
しかし、私は32年も、
マーケティング・ジャーナルの世界にいるから良く分かるが、
日本のフードサービスの世界は、
実は、日本の消費者の大きな動きを先導するほどの意味を持つ。
だからこそ、日経MJの役目は大きい。
「専門」こそ、これからの時代を切り拓くもの。
「スペシャルティ」にこそ、ドラッカーのいう「ナレッジ」がある。
21世紀は、このスペシャルティとナレッジがリードする。
「専門」の世界にこそ、「知識商人」が生まれる。
もともと日経新聞も、専門紙だった。
だから特徴が鮮明。
スタンスも明快。
日経MJは、日経よりも、もっと、
詳細で、厳密で、継続した情報・知識を提供できる。
すなわち「徹底した専門性」というポジションである。
さて今回の外食調査。
売上高第一位は、日本マクドナルド。
年商4064億円で、2.9%の前年伸び。
前年1位のすかいらーくを抜いた。
すかいらーくは第2位で、
マイナス4.1%の3852億円。
これが日経本誌も見出しにする企業問題の最大の話題。
ファストフードが、ファミリーレストランを抜いた。
こう読み取ることができる。
そしてマクドナルドは、
昨年来の外食大不況の中で、一人勝ちのイメージをつくっている。
ファッション分野で、ユニクロ一人勝ちと同様の現象。
もちろん第3位のゼンショーも年商3105億円で、
9.9%の伸び。
ゼンショーは多業態を展開している。
「すき屋」が代表だが、ライフサイクルの短い外食分野で、
「マルチ・フォーマット戦略」の有用性を示した。
一方、マクドナルドは、
「シングル・フォーマット」であり、
「シングル・バナー」。
(バナーとは、店舗のブランドのこと)
このシングル・フォーマット、シングル・バナーで、
好成績を維持することは、極めて難しい。
しかし難しいことをできる唯一の企業だからこそ、
第1位の価値がある。
そして、シングル・フォーマット、シングル・バナーで伸び続けるには、
以下の考え方が、不可欠。
「コモディティと
ノンコモディティ&プレミアムの
プロフィット・ミックス」
私の持論。
私の持論を、マクドナルドが証明してくれている。
日経MJの大特集は、「3軽」をキーワードにしている。
「手軽」「気軽」「身軽」。
手軽は、ファストフードの「早くて手軽」
気軽は、低価格の「安くて気軽」
身軽は、事業コストを低くする「外注で身軽」
この「3軽」はまさしくマーケティング的なキーワードだが、
マーケティングには操作的なそれと、
構造的なものとがある。
私は、あくまで、原理的・構造的なマーケティングを目指している。
どちらのマーケティングも、
フードサービスが、日本の消費を先導していることを、
ベースに考えられているが。
<結城義晴>