百貨店の歳暮商戦スタートと中小企業大企業病の自覚症状
今日10月14日から、百貨店の「歳暮商戦」が始まる。
三越、高島屋、大丸、松坂屋。
といっても、インターネット受注のスタートで、
本格的売場づくりは、11月初旬。
テレビでは、三越の社員が、
揃いの法被姿で「エイ、エイッ、オー」とやっていた。
1000人のレイオフを実行中だから、
気勢は上がらない。
前倒しの歳暮商戦が、
新しい需要を切り拓くかといえば、
それは、自分の未来の先取りにすぎない。
それも、大手どころが一斉に始めるのだから、
他から奪うということにはなりにくい。
アメリカでは、年末まで三段階のプロモーションが展開される。
第一段階のいまは、ハロウィンの真っ盛り。
10月31日を目指して、どの業種・業態・フォーマットでも、
売場をオレンジ色に染めて、必死の売り込み。
サーティワン・アイスクリームは、
日本でも、その名の「31」に引っ掛けて、
ハロウィン・プロモーションを大々的に展開して、
大成功を収めている。
アメリカの第二段階は、サンクスギビングデー。
11月第4木曜日の感謝祭。
今年は、11月26日。
このときアメリカ人は短い休暇を取る。
小売業も、ハロウィンの次には、感謝祭を目指す。
それが終わったら、第三段階のクリスマス。
これが一年の総決算。
ここで、自社の持てる最大限の力を発揮して、
集客と売上げを最大化させる。
この三段階プロモーションの変化を、
一番喜んでいるのが顧客たちだ。
もちろん、コストコは、
9月に入ったらクリスマスツリーを飾り始める。
そして11月末には、
食品など消耗品以外のクリスマス関連品を、
すべて売りきってしまう。
コストコは、一般消費者と業者とを顧客にしている。
だから売り切りのために、
11月にはクリスマスツリーなどの売り切りを図るわけだ。
ウォルマートは、
この三段階をどこよりも劇的に展開すると同時に、
今年10月から、クリスマス商戦を始めた。
子供用の売れ筋人気玩具を10ドルで売り始めた。
モノによっては5割のディスカウントになる。
三段階の変化を展開しつつ、
最終ゴールを印象付ける作戦。
今年末商戦も、終わってみると、
ウォルマートとコストコに凱歌が上がっているに違いない。
三越の「エイ、エイッ、オー」からは、
凱歌は予想しにくいが。
さて、昨日のブログに、投稿があった。
たかしさんからのもの。
「今日の記事は自分の勉強にももちろんなりましたが
自分の会社にものすごい危機感をもちました。
まさに、中小企業大企業病になっている気がしてたまりません」
「自分はバイヤーですが、売上も結局自分たちの100%責任になり、
店舗の責任所在が甘くなっている。
上層部の人たちは部下を叩くだけ叩いて責任を取らない」
「現場の軽視も進み、現場と上層部との意思疎通どころか乖離が進む。
現場従業員のモチベーションの低下、無駄な会議、資料作りや会議の出席など、
売場・部門運営に使われない労働時間が垂れ流しになっている」
「自分の会社は表面は少しずつ大きくなっているけど
内面は悪化の一途をたどっている」
「読んでいたら、思いがあふれてきました」
「是非、この記事を自分の会社の経営陣にも読んで欲しい。
そして、今会社の方向が間違った方に行っていることを、
気づいてほしいと思いました」
切実な訴えに、私も胸が熱くなりました。
トップも幹部も、
こんな商品部や店舗からの声に、
耳を傾けなければなりません。
まさに、サム・ウォルトンの言う通りです。
「地に耳をつけよ」
私は、以下のように返事を書きました。
サム・ウォルトンは言い残しています。
「私たちが大企業になったのは、
大企業のように振る舞わなかったからだ」
だとすると、こう言い換えることができます。
「私たちが大企業病になったのは、
大企業のように振る舞ったからだ」
逆に、こう言い換えることもできます。
「私たちが中小企業で生き残っているのは、
大企業のように振る舞わなかったからだ」
さらに展開すると、
「私たちが中小企業でいられるのは、
中小企業のように振る舞ったからだ」
そして、これを忘れずに。
「大きく志し、小さく考える」
さらに、
「心は燃やせ、頭は冷やせ」
現場の人たちが、意欲を持って働くことができる会社。
それが何より必要です。
歳暮商戦の前倒しの前に、
全員が一致団結できること。
それがあって初めて、
新たな試みは、生きてくるのです。
<結城義晴>
2 件のコメント
結城先生、おはようございます。
たかしです。
僕のコメントを掲載していただいて
本当にありがとうございました。
僕はこのコメントが同じ悩みを持っている
小売業に携わっている人と共有できればいいと思いました。
経営者の方が少しでも現場を理解し
自分たちがどうすべきなのかを知って欲しいと思います。
直接上層部に話をせずに、ここで思いを打ち明けることは
少し後ろめたいような気もしますが、
以前の自分が好きだった会社に戻ってもらえるように
ベクトルが修正されればいいなと思いました。
結城先生に感謝いたします。
ありがとうございました。
お元気様です
先日は鮮魚の件でお返事を頂きましてありがとうございました
私は今 商人舎と商人ネットのCDオーディオセミナーをipodにいれて
毎日のように聞いていますが その中でも特に大久保さんのお話を
何度も何度も繰り返し聞いて頭に叩き込んでいます
それは 今不振の鮮魚部門のマネジメントの質をあげるために
どうすればいいかもがいているからです
部門特性なのか なかなか当社の鮮魚部門ではマネジメントの徹底が
できていないでいますが 結城先生と大久保さんは
マネジメントレベルをあげる方法として
一方的ではなく双方向のコミュニケーションの重要性を
具体例をあげて紹介してくださって 聞けば聞くほど
そうだよなと納得 しかも繰り返し聞けば聞くほど納得していくと
いう感じすらします これがマネジメントの徹底
そして現場が大事だということと お客様が大事だということ
それは どのオーディオセミナーも講師の方も 具体例や言葉は違えど
同じことを仰られて その通りだなあと
たかしさんと同じように 私の勤めている企業も大企業病にかかって
しまっているのでは?と不安になることもありますが
それは中間管理職として現場と本部をつなぐ
パイプ役が どういうどういう仕事をするかによるのだと思い
頑張らねばと思っております
悩み迷うことが多いとは思いますが
諸先輩のお話やアドバイスを聞いて
精進したいと思っております
今度ともご指導賜りますよう
よろしくお願いいたします