伊藤忠&ユニー連携と21世紀の総合商社・小売業のカタチ
一日ごとに、ほんの少しずつ寒くなる。
このほんの少しずつが、いい。
それが日本の秋。
ほんの少しずつ、変わる。
そのほんの少し変わるのを、楽しむ。
季節の変化とは、そういうものだし、
ほんの少しずつ寒くなる秋と、
ほんの少しずつ暖かくなっていく春は、
この少しずつの変化が、日本らしくて、
日本人に好まれる。
さて今日は、
総合商社の話。
商社は、広い意味では、商業に入るし、
さらにその本質は、卸売り業である。
輸出入の貿易と国内への物資の流通・販売を業務の中心にする。
業種を超えた幅広い商品・サービスを取り扱うのが「総合商社」。
一定の業種内に特化したのが「専門商社」で、
こちらは限りなく「卸売り業」に近い。
その総合商社が、小売業に出資し、
総合商社を主語にすれば、系列化が進んでいる。
2009年現在、一般的に「総合商社」に分類されているのは7社。
①三菱商事 通称「商事」
②三井物産 通称「物産」
③伊藤忠商事 通称「伊藤忠」
④住友商事 通称「住商」
⑤丸紅 通称「丸紅」
それに⑥豊田通商。
2006年トーメンを吸収合併。
そして⑦双日。
2004年、ニチメンと日商岩井の合併で誕生。
1970年代まではこの7社関連に、
兼松江商、安宅産業が加わっていた。
安宅産業は破綻し、
兼松は、専門商社に商売替えした。
私は、もっともっと総合商社の淘汰と、
一方での専門化が進むと考えている。
寡占から複占へ。
総合を名乗る者の数は、減っていく。
最後には、二者になる。
そのかわり、専門商社が、
専門の領域ごとに、確立され、機能していく。
さて、ユニーに伊藤忠が出資する。
3%の出資で、金融関係を除く筆頭株主になる。
伊藤忠によるユニーの系列化。
あるいは、ユニーが伊藤忠の力を活用して、
大手小売業の系列化を進める。
ユニーには、コンビニのサークルKサンクス がある。
伊藤忠は、ファミリーマートの所有者。
まずこのコンビニ連携が進む。
さらにユニーは、プライべートブランド開発で、
関西のイズミヤ、四国のフジと連携している。
この三者に、伊藤忠が絡んでくる。
総合商社は、
こういったプロジェクトに絡むのが仕事。
絡んで何を得るかは、いまいち、
明確でないことも多いが。
一方、三菱商事は、小売業・卸売業に積極的に絡んでいる。
商事が小売業第一位イオンの筆頭株主になったのは昨年末。
コンビニ第二位のローソンのオーナー。
イオン参加のコンビニ、ミニストップは、
従ってローソンとの連携が視野に入っている。
食品スーパーマーケット第一位のライフコーポレーションも、
食品卸売り業の菱食、明治屋商事なども、
三菱商事の傘下に入っている。
三井物産とセブン&アイ・ホールディングスの提携は、
長くて、厚くて、濃い。
住友商事は、ご存知、サミットの100%親会社。
マミーマートも、そして関西スーパーマーケットも、
住友商事が株式を所有している。
ダイエーは、丸紅に約30%の資本を持たれ、
さらにイオンが20%を所有する。
こんな中、小売業間の接触が、
総合商社の繋がりを誘発することになる。
イオンとダイエーとの統合は、
商事と丸紅を結びつける。
イオンの電子マネー「ワオン」は、
伊藤忠系のファミリーマートとの提携が進むから、
ここでは商事と伊藤忠。
さまざまな連携が進みつつ、
総合商社と小売業、その業態別に、
合従連衡は、確実に形を成していく。
私は、21世紀の最初の20年くらいに、
このあたりの姿が鮮明になると考えている。
今日、発表されるユニーと伊藤忠の提携は、
その歴史の一コマである。
<結城義晴>