アメリカGDP急速回復を支える小売業・サービス業に学べ
今年7・8・9月期のアメリカの国内総生産。
その米国GDP実質成長率が、
年率換算で前期比3.5%プラスとなった。
前期比とは、4・5・6月の第2四半期との比較のこと。
その第2四半期は、第1四半期比マイナス0.7%だったから、
米国は急速に経済が回復していることになる。
これは2007年第3四半期の7・8・9月期以来の高い伸びで、
2008年第2四半期以来のプラス成長。
米国の「戦後最長の不況からの脱出」が論議を呼びそう。
アメリカ経済は2007年12月から、景気後退が続いていた。
それが、2年たたずして、復調したことになる。
アメリカでは、
GDPの約7割を個人消費が占める。
すなわち小売業、サービス業が占める消費支出の比率が高い。
それがアメリカ経済の特徴。
いわゆる内需の貢献度が高い。
その消費支出が3.4%のプラスとなった。
このうち耐久財は22.3%増、非耐久財も2.0%増。
民間住宅投資も23.4%の増加。
もちろん、米国の9月の失業率は9.8%で、
予断を許さない状況。
雇用不安が解消されない中での、
内需と消費の回復。
アメリカ人の楽天的消費スタイルが根底にあるとはいうものの、
彼の地の小売業・サービス業の奮闘が、
この経済回復の兆候をもたらした。
リーマン・ショックは昨年9月のことだった。
米国のGDPは、その9月を含む第2四半期に、
マイナス2.7%と落ち込んで以来、
今年第1四半期の1・2・3月期には、
マイナス6.4%の大きな下落を見せていた。
消費大国アメリカの消費産業。
彼らの自覚とプライドを、
私たち日本の消費産業を担う者も、
見習いたいものだ。
いつまでも、
「不況だ、不振だ」とは言っていられない。
「低価格競争だ、いや価格競争はだめだ」といった、
不毛の論議を続けてもいられない。
「私はこれだ」と信じたことを、
それぞれが貫く。
他力本願でなく、自力で顧客に訴え続ける。
それが自分のカスタマーに響く。
そしてそれが全体として、
国内総生産の7割を占める個人消費を押し上げる。
さて昨日から熱海。
そのニューフジヤホテル。
アイダスグループの研修会。
通称「AG研修会」。
4年ぶりの開催。
ニューフジヤホテルは、もう10年前になるだろうか、
商業界ゼミナールを開催したホテル。
私には、懐かしさいっぱいの地。
到着してすぐに、原稿書き。
いつも慌ただしくて、恐縮。
写真左に写っているのは、小森勝先生。
コンビニエンスストアの専門家。
2時30分、全員揃って、いよいよ開始。
アイダスグループ鈴木國朗代表の開催の挨拶。
そして私のレクチャー。
「変わる潮目の中の経営戦略」
私の持論の全面展開。
4年ぶりのAG研修会。
だから2時間近くの講義となってしまって、
再び恐縮。
私が強調したかったのは、
「廃藩置県以前の藩単位のマーケティング」。
それが日本の場合、ローカルチェーンのサイズにぴたり合致する。
とりわけ食品スーパーマーケットは、
地域食文化との強い絆をもつビジネスだ。
それが「藩の単位のマーケティング」の重要性を示唆している。
だから藩の単位で、
ナンバー1、ナンバー2に入ること。
もしくは藩の単位の中で、
ユニークな食文化を提供し続けること。
その後、全員が10分くらいずつスピーチ。
これがこの研修会の特徴。
そして夕食、入浴。
さらに部屋での懇親会。
ここのところ毎日、このブログに登場する二人。
松井康彦さんと『食品商業』編集長の山本恭広さん。
鈴木先生と荒木祐一郎さん。
荒木さんは、熊本県山鹿市のスーパーマーケット荒木屋の社長。
そして浴衣姿の三人。
左から桑原孝正さんと松浦克幸さん。
桑原さんは㈱セルバ社長。
セルバは山梨県富士吉田に本部をおくスーパーマーケット。
松浦さんはブルーチップ㈱常務取締役。
今年8月の富士登山の話題で盛り上がった。
そう、㈱エコス会長の平富郎さんと私の富士登山の話。
来年は、みんなで登るのか?
たいへんなことになりそう。
それでもこの夜の懇親は、
懐かしさと親密さが、
いっぱいに溢れていた。
私は、小売業の役割の重さを、実感していた。
<結城義晴>