朝日・読売・日経「日米首脳会談」への三者三様と商業の差異性
「バラクとユキオ」
ファーストネームで呼び合う仲になった日米トップ。
しかし、新聞各紙の今回の来日の評価に、
かなりの温度差がある。
朝日新聞は、社説見出しで、
「新しい同盟像描く起点に」と、
非常に前向きに捉える。
「日米関係をきしませている普天間問題は先送りした。
しかし、そのことはこの会談の意義を損なうものではない」
「同盟の根幹にかかわる問題だという認識に立って、
首相にはその言葉通りの取り組みを求めたい」
読売新聞の社説見出しは、提案型。
「同盟深化へ『普天間』の決着急げ」
「同盟を深化させるという以上、
米海兵隊普天間飛行場の移設問題は避けて通れない。
政府は、いたずらに問題を先送りせず、
今年中に現行計画の推進を決断し、決着させるべきだ」
一方日経新聞は手厳しいし、ちょっとエキセントリック。
社説見出しは「首脳会談が覆い隠した日米同盟の現実」
「遅くとも年内に解決できなければ、
既に始まっている日米同盟の空洞化は止まらない」
脅迫的な言質で、
他の記事の見出しでは「新協議 同床異夢も」と批判的。
三紙三様。
朝日の「取り組みを求めたい」
読売の「決着させるべきだ」
日経は「解決できなければ…」
この三種類の言い回しによって、
新聞の現政権へのスタンスがよくわかる。
私は、新聞が異なる主張をもつことは、良いと思う。
ただし、各新聞の読者が、
私の読んでいる新聞はこんな根本主張を持っていると、
知っていなければならない。
それを鮮明に読者にお知らせするのは、
各新聞の使命でもある。
このことは、
小売業やサービス業の店にも同様に突きつけられている。
同じ業態、同じ業種の店舗は、
異なる主張を持つべきだ。
私の店にきてくださるお客様には、
こんな生活をご提案します。
こんな暮らしを保証します。
節約の暮らし、
豊かで楽しい生活、
ゆったりとした気分、
スピーディなライフスタイル。
それぞれが違っていて、いい。
違っていることに価値がある。
みんな同じことのほうが、危険ではある。
戦前の新聞が、
こぞって戦争を賛美したことを、
思い浮かべねばならない。
小売業が、サービス業が、
卸売業、製造業が、
生活財の提供業が、
すべて、同質の生活を提案する状態が生まれたとしたら、
それは、戦前の大マスコミの「大政翼賛」と同じである。
生活者の生活を破壊し、
産業を破滅させる。
三大新聞の「日米首脳会談」への異なる評価。
あなたはどれを選ぶか。
そして商業、サービス業に従事するあなたは、
あなたの顧客たちから選ばれていることを、
知るべきであるし、喜ぶべきである。
ただし、あなたと他との違いがなければ、
十把一絡げに見られていて、
それは生活者の暮らしを破壊し、
産業を破滅させる方向に進んでいると、
受け止めるべきである。
<結城義晴>