勤労感謝の日に「働くこと」と「正規軍とゲリラ」を蘇らせる
Everybody! Good Monday!
今日は、勤労感謝の日。
働く人と、その働きに、
感謝する日。
「働くこと」
「働くこと」への深い理解が求められている。
働くことの中身。
働くことの実態。
働くことの動機。
働くことの目的。
そして働くことの喜び。
どんな環境の中で働くか。
どんな時間帯に働くか。
どんな制度の中で働くか。
どんな会社で働くか。
そこからどんな働き甲斐が生まれてくるのか。
私たちは誰もが、このことに対して、
自分なりの回答を用意しておかねばならない。
それなくしては、
企業活動も、
組織運営も、
日常生活もまっとうできない。
経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の意味を示さねばならない。
そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の意思を伝えねばならない。
「働くこと」を通じた意思疎通は、
「労働」への
深く、謙虚な理解からしか、
生み出されないのである。
<『メッセージ』(結城義晴著・商業界刊)より>
さて、3日前の注目すべきニュース。
中国共産党は、
21世紀に入って9年経過した現在も、
一党独裁、一党支配をつづけているが、
その共産党が民営企業や非政府組織に働く党員に対して、
通知を出した。
「社内に党組織を設置せよ」
日経新聞の記事。
「党組織の建設作業が薄弱で、党活動に困難が生じている」
「健全な党組織の設立加速」
これまで中国では、
主に国有企業に党組織が設けられてきた。
共産主義社会の中に、
何と市場経済を導入するという離れ業を演じてきた中国だが、
市場経済の発展・成長は、
民営企業への管理不徹底の状況を生み出してしまった。
そこで、民営企業への党組織の設置が不可欠と判断したわけだ。
もちろん、外国資本も、この対象となる。
もちろん、日系企業も、この対象から外れることはない。
「共産主義」とは、読んで字の如く、
「財産の共有」を実現させる思想。
「マルクス主義」は、
生産手段の私的所有を、社会的所有に転換させる社会運動であった。
同時に社会保障制度を充実させる運動のはずであった。
しかし、中国は、社会保障を充実させる前に、
労働者を国営企業から民営企業に大量に移した。
そのための大量解雇を行った。
さらに今、中国共産党は、
民営企業の労働者だけでなく、
民間企業経営者など資本家の入党まで、
加速化させようとしている。
中国に生まれた新階層を党内に取り込み、
体制基盤の強化に努める。
私は、「働くこと」への理解は現在、
どんな国家、どんな体制においても、
不可欠だと思う。
それがなければ、
どんな国家も、どんな会社も、
長続きはしないと思う。
日本の勤労感謝の日、
アメリカのサンクスギビングデー。
だからこそ、
「働くこと」の意味を、
真剣に考えてみたい。
一方、日産自動車のカルロス・ゴーン社長の発言。
同じ日の日経新聞。
「インドや中国に学ばなければならない」
その心は、
「ゼネラル・モーターズの二の舞いを避けるため」
具体的には、
「新興国メーカーとの提携で低価格車の開発などを急ぐ」
カルロス・ゴーン社長は、
「今後、業界再編が本格化する」と語る。
自動車業界は、中国、インドをも巻き込んで、
国際的再編を視野に入れる。
そんなときにも、
「働く人」と「働くこと」への、
真摯で深い理解が、なくてはならない。
経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の意味を示さねばならない。
そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の意思を伝えねばならない。
為政者も経営者も、
正しく、働きに報いなければならない。
国民も労働者も、
正しく、働かねばならない。
20世紀の共産主義の描いた「労働」から、
21世紀の知識社会の「労働」への、
パラダイムの転換が、不可欠である。
最後に再び、『メッセージ』から。
「正規軍とゲリラ」
正規軍は、勝たなければすなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、それで勝ちになる。
ベトナム戦争におけるアメリカ軍は明らかに前者であったし、
ベトコンは確かに後者であった。
古くは共和制時代のローマ軍とカルタゴ軍の間でも、
長らくこの対立関係が続いた。
湾岸戦争ではなぜか、
ブッシュもフセインも、
正規軍とゲリラ軍に分かれつつ、
どちらも勝った気でいた。
減収減益が相次ぐ今。
そして、消費マインドが停滞しきった観のある現在。
「勝たねば負け組」には、つらい逆風が吹く。
「負けねば勝ち組」には、意外にも順風が潜んでいる。
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」
この野村克也の言葉の、勝ちの不思議は「神風」である。
「勝った負けたとさわぐじゃないよ」
こう歌う水前寺清子は、「あとの態度」を大事にする。
これは、「負けに不思議なし」を言っている。
あなたはゲリラか、はたまた正規軍か。
逆風を選ぶか、順風を好むか。
どちらであっても、小売流通業は常に、
不思議の神風を感じる機会にめぐまれている。
ビジネスそのものが、不思議の神風を知るために為されている。
しかし、そのとき、これだけは忘れてはならない。
労働法無視のゲリラになるな。
顧客不在の正規軍になるな。
今日は、勤労感謝の日。
働く人と、その働きに、
感謝する日。
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>
4 件のコメント
毎日、楽しみにブログを拝見してります。世界・アジア・日本、そして都市・地方、この中で日々の消費活動があり、それらは密接にかかわっている、ということを結城先生のブログを継続して読む中で実感しています。今日のブログも示唆に富むものでした。人口減少・物々交換?の浸透によってマーケットが縮小する中、どういうサイズで採算を合わせるのかが難しくなっているように感じます。会社サイズ・店サイズ・展開エリアサイズ・部門管理サイズ等、これまであたりまえだったいろいろなものを、新たなパラダイムで見直す必要があるのでしょうか。私は結城先生の「幸せ基準」という言葉が好きです。このことが働く側にも、経営側にも突き付けられている感じがしております。売上を追い、利益を合わせるとの感覚が強かったのですが、価値を提供し、適正な利益をいただくと考えれば、売上の持つ意味がこれまでと変わってくるのでしょうか。「幸せ基準」をキーワードに少し考えてみたいと思います。
最新のCDオーディオセミナー拝聴いたしました
村井さんの環境経営のお話など 大変勉強になりました
そして時代の流れの早い今日において 前の13週比
あるいは前の4週比のお話はまさにその通りだと
思いました 愛聴者としてはもっともっと多くの
方に聴いて欲しいと思っております
薫のバイオリン弾様、いつもありがとう。
「幸せ基準」が個人のレベルから、
会社のレベル、地域のレベル、
そして国家のレベルになってきたような気がします。
これは、確かに進化といえます。
しかし、部分的には、ひどく後進的なところが残っています。
この面では「後進の先進性」の考え方は、適用できません。
少しずつ、最大多数が理解しなければなりません。
そのために、一人ひとりが、毎日、
小さな一歩を、繰り返す。
一緒にやりましょう。
宮澤賢治の故郷から様、ご投稿、感謝。
村井哲之さんとの対談は、スリリングでした。
面白かった。
仕事の成果は、前年対比の売上高や粗利益だけで、
判断してはいけません。
もちろんそういった指標を全面否定することもありません。
しかし私は、直近の13週、直近の4週との比較が、
実に効果的だと思います。
アメリカの上場企業は、
四半期決算を公開しますが、
そこに出てくるのは直近、四半期との比較、
現在までの4週の実績との比較です。
これはアメリカ人のリアリティなのです。
リアリティとは、「役に立つ」ということです。
前年対比実績を「補助線」として使って、
直近四半期実績との比較を「実線」として使う。
こんな経営や現場運営が望まれていると、
私は思います。
宮澤賢治の故郷から様、ありがとう。