顧客も我々も日々「あちらを立てればこちらが立たず」の判断をしている
鳩山内閣が2010年税制改正大綱を決定。
「控除から手当てへ」の民主党の考えは一歩進んだ。
しかし、その裏付けとなる財源は、
確保されてはいない。
国債に頼るしかない。
問題は先送りされた。
もっとも、税制を変えたり、
方針を転換させるだけでは、
問題解決になるはずもない。
現下の景気低落状況を食い止めるという緊急課題には、
何らかの手は打たれねばならない。
現在の国情は、
「あちらを立てればこちらが立たず」。
どの国も、このオクシモロンの問題解決に直面している。
どの企業も、「あちらを立てればこちらが立たず」は変わらない。
だからこそ、
現在は、こちらを立てる。
明日は、1週間後は、あちらを立てる。
そして1カ月後、3カ月後、半年後は、これを立てる。
そういった意思決定が要求される。
それを、難しい仕事と考えるか、
これこそ、リーダー本来の仕事だと思うか。
鳩山由紀夫、バラク・オバマに限らず、
小さな店の店長や部門責任者にも、
そんな判断が求められている。
ただし、この困難な判断をするとき、
一貫して見ていなければならない対象がある。
鳩山、オバマは国民であり、
社長、店長、部門長は自分の顧客である。
顧客を見つめながら、
難しいオクシモロンの意思決定をしていく。
これが経営や仕事のだいご味というものだ。
もうひとつ大事なこと。
税制をはじめとして、
何らかの制度変更がなされたときには、
必ず商売やビジネス上のチャンスが訪れる。
黙って見過ごすものには、危機が迫る。
だからこそ、丁寧に、こまめに、
情報をつかんでおくこと。
自分では手立てがわからない場合も、
マーケットをじっくり見つめておく。
だれかが、どこかで、チャンスを活かしている。
それを見つける。
「イノベーティブ・イミテーション戦略」。
セオドア・レビットが説いている。
さて、日本チェーンストア協会から、
11月の実績が発表された。
同協会加盟企業数68社、8185店。
新聞各紙には「全国のスーパー」と表現されているが、
主に総合スーパーの11月の実績と考えたほうがいい。
その既存店前年同月比は、マイナス8.0%。
総販売額は1兆320億円。
食料品販売額はマイナス6.0%、
衣料品はマイナス14.4%、
住関連品はマイナス9.2%。
住関連には加盟企業で絶好調のニトリが含まれているから、
総合スーパーの住関連も二桁マイナスくらいになるか。
サービスまで、マイナス6.8%。
一方、一昨日発表。
11月のコンビニエンスストア統計調査月報。
既存店前年同月比売上高はマイナス6.3%の5851億3500万円。
6カ月連続減少。
総合スーパーもコンビニも、落ち込んだ。
さらに日本百貨店協会発表。
86社・271店舗の11月の売上概況。
前年同月比マイナス11.8%で、21カ月連続減少。
総合スーパーにコンビニ、さらに百貨店も落ち込んだわけ。
しかし、
国内自動車メーカー8社の11月の国内生産台数。
前年同月比でプラスの1.2%。
1年2カ月ぶりのプラス。
これはリーマンショックの2008年9月以来のこと。
トヨタは13.5%増、日産は20.5%増。
食料品などに比べると高額品の乗用車でも、
生産され、購買されている。
この事実をしっかりと把握しておかねばならない。
顧客自身が「あちらを立てればこちらが立たず」の判断を、
日々重ねているのだ。
自分が顧客の立場に立って考えると、
それはよくわかる。
お客様も難しい判断をしている。
我々も難しい判断をする。
両者が同期した店や企業に、
売上げと利益がもたらされる。
その意味で、自分の顧客と一体となっていると考えたら、
元気も出てくるというものだ。
鳩山、オバマも、
国民と一体であることを実感できれば、
元気が出てくるというものだ。
以上、天皇誕生日の結城義晴の考察。
<結城義晴>