日本の労働力人口が6割を切った中での「百貨店120店説」
飛び石連休の間の金曜日。
私、このシチュエーションが大好きです。
1998年の祝日法改正で、
ハッピーマンデー制度が導入され、
土曜・日曜との3連続祝日が増えたけれど、
祭日が木曜日で、金曜日が仕事、
そして土曜日・日曜日と休暇になる。
いい感じです。
といっても、今の私には、祭日も土曜もないけれど。
日曜日は比較的に、ゆっくりすることができますが、
それでも必ず、原稿書きやレジュメづくり、レポート読み、
もちろんブログアップの仕事があります。
それでも、飛び石連休の間の出勤・登校の日は、
なんとなく、心が躍る。
お客様のそんな気分、読み取って、
仕事に勤しみたいものです。
さて、今朝の日経新聞。
一面に「労働力人口6割切る」の見出し。
労働力人口とは、
「15歳以上の人口のうち、
実際に就業している『就業者』数と、
働く意欲があって仕事を探している『完全失業者』数の総数」
それが昨2009年、59.9%となった。
比較可能な統計がある1953年以降、
初めて6割を下回った。
しかも2年連続。
団塊の世代の現役引退と、
就職活動をしない世代拡大の、
相乗効果によって、
国際的に見ても低レベルの労働力人口となった。
国際労働機関(ILO)の発表では、
同じ2009年段階で、
中国が73.7%、
アメリカ65.0%。
EUが59.1%。
EUも低いけれど、しかし、徐々にではあるが増えている。
労働力人口が減っているのは、日本だけだといいます。
2009年に日本は、前年比0.5%マイナス。
中国は1.0%プラス、
アメリカは0.4%プラス、
EUも0.1%ですがプラス。
政府は、59%台で止まるとの見解、
しかし国際労働機関の予測では、
2020年の日本の労働力人口56.3%まで減る。
商業・サービス業の雇用力が、
この数値の低下を押し止めねばならない。
それができるのも商業・サービス業なのです。
「商業の現代化」には、
雇用力が大事な要素となります。
朝日新聞の「声」の欄。
スウェーデン人のトミー・ジャクソンさんの投稿。
日本の消費税や所得税の低さに、
来日したばかりの頃はうらやましかったそうです。
しかし、税金を払っていても、
「本当に困ったときに何もしてもらえない」。
「奇妙なことではないだろうか。
教育のために巨額のお金を払うとは」
「日本の人口が減ってきているのは、
この問題が大きな理由だろう」
ジャクソンさんは、こう指摘しています。
それでもジャクソンさんは、日本に来て、
仕事をしている。
もちろん彼にも何らかの事情はあるのでしょうが、
日本は彼にとって、就労するにふさわしい国となります。
ジャクソンさん自身は、日本の就労人口の勘定には入らないけれど、
こういった労働力は、これからの日本にとって必要。
さて、10日水曜日の日経新聞一面記事。
「百貨店どう生き残る」
このなかでJ・フロントリテイリングの奥田務社長のコメント。
同社は、大丸と松坂屋を傘下に置くホールディングカンパニー。
「百貨店の数は今後、
人口100万人に1店ぐらいまで絞り込まれる」
記事は続ける。
「奥田社長の指摘通りだと百貨店は120店に減る計算だ」
一昨日、食品流通研究会会長の井口征昭さんは、この記事を指して、
「結城理論通りですね」と言ってくださった。
私が書き続け、指摘し続けている見解と、
奥田社長のコメントが一致してきた。
しかし私は、言い続けています。
「衰退業態は立地が限定される」
百貨店の社会的存在価値が極端に低くなるわけではない。
120店の百貨店は依然、顧客にとって欠かせない存在であるし、
繁盛するに違いない。
今、必要なことは、
第一に、その地区で一番巨大な面積。
第二に、その地区で最も便利な立地。
第三に、その地区で最も先鋭的なマーチャンダイジング。
これらの相関係数を導き出してみる。
その最大値を示す、その地区の1店に顧客が集中し、
他の店には、空いていることが好きな顧客しか足を運ばなくなる。
新宿、池袋、日本橋、銀座、梅田エトセトラ。
商圏人口が500万人、1000万人のエリアでは、
1位、2位の店に客が集中するが、
他は閑古鳥が鳴くに違いない。
とりわけ、売り場面積が雌雄を決するだろう。
マーチャンダイジングやマーケティングは、
コモディティ化の傾向を免れないから。
もちろん、百貨店ほど、
ロイヤルカスタマーをつかんでいる業態はないから、
それぞれのロイヤルカスタマーは変わらず、
購買してくれるだろうけれど。
百貨店も、総合スーパーも、
日本の消費人口や労働力人口の推移に、
敏感に反応してしまうところに、
田村正紀先生が指摘する「業態の盛衰」がある。
<結城義晴>