恩藏直人早大教授の「五つの顧客価値増大」と結城義晴「利益を上げる五つの方法」
ひと雨ごとにあたたかく、
ひと雨ごとに春がくる。
今週の横浜は、
まさにそんな感じ。
一昨日は、
完全徹夜。
だから昨夜は、
泥のように眠った。
そして今日、
単行本の集中校正の日。
勘案の仕事が、
もうじき終わる。
さて、日経MJが連載を展開。
「食品スーパー逆風下の活路」
デスクの白鳥和生さんが、
見出しを付けた。
「PB脱『粗製乱造』に転換。
質と割安感の両立 重要に」
この中で、甲府のいちやまマートの「美味安心」と、
ベイシアのPBの事例が最後に出てくる。
美味安心は、添加物を使わないPB。
ベイシアは、イオン、セブン&アイより1~2割安いPB。
「単に低価格PBをつくれば売れる時代は終わった。
いかにこの店にしかない商品としてPB開発を進めるか」
日経MJは、
こう結論付ける。
「顧客のニーズと、
自社店舗の個性」
両者の見極めが重要と、
日経MJは結論付ける。
もちろんここでいう「顧客」は、
自社のカスタマー。
自社のカスタマーのニーズに対応することで、
自社店舗のオリジナリティが出てくる。
いちやまマートの立地にも、
ベイシアの政策を喜ぶ客はいる。
ベイシアの商勢圏にも、
いちやまマートの美味安心を渇望する客はいる。
どんな顧客を、
わが社のターゲットにするか。
そのこと自体が、
自社の個性となる。
これをマーケティングでは、
「ターゲティング」という。
そして自社の戦略をマーケットの中で明確にすることを、
「ポジショニング」という。
プライベートブランド開発においても、
ターゲティングとポジショニングが必須。
それを最も丁寧に組織的に展開しているのが、
イギリス第一位の小売業テスコ。
1000万人のクラブカード保持者から得られた情報をもとに、
多様なテスコ・ブランドを開発している。
この時、開発の考え方には、
五つの方法がある。
五つの方法しかない。
そう考えたほうがいい。
早稲田大学商学学術院・恩藏直人教授の指摘。
二つの概念による五つの方法。
まず、顧客の得るものを「顧客のベネフィット」と呼ぶ。
顧客の失うものを「顧客のコスト」とする。
「ベネフィット÷コスト」。
これが「顧客価値」。
顧客価値を増大させる方法。
考え方は五つある。
第一は、ベネフィットを上げ、
コストを下げる方法。
顧客価値は最大化される。
ブルーオーシャン戦略はこの考え方。
第二は、ベネフィットを変えずに、
コストを下げる方法。
第三は、コストを変えずに、
ベネフィットを上げる方法。
ここまでは、わかりやすい。
しかし、あと二つ考え方がある。
第四は、コストも上がるが、
ベネフィットをさらに大幅に上げる方法。
質の提供とは、
この方法を意味する。
美味安心は、
この第四の考え方によって生まれた商品。
そして第五は、ベネフィットをあえて下げる。
しかしコストはもっと大幅に下げる。
ベイシアのプライベートブランドは、
この第五の考え方によって出来上がっている。
恩藏直人教授の
「顧客価値」を拡大する五つの考え方。
これに私は、重ねて考える。
「利益を上げる五つの法」
第一は、「利は元にある」
仕入れ調達説。
第二は、「利は売りにあり」
薄利多売説。
第三は、「利は内にあり」
経費削減説。
第四は、「利はこの品にあり」
商品開発説。
そして第五は、「利は他の品にあり」
プロダクト・ミックス説。
顧客価値増大の五つの考え方と、
利益を上げる五つの法。
この考え方の組み合わせが、
イノベーションを実現させる。
<結城義晴>
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