京都市「コンビニ営業規制」断念のオクシモロン
バンクーバーオリンピックも、
いよいよ佳境。
日本列島は、春模様。
そして花粉がとび廻る。
「大川に吹きあがられし桜かな」
(小林一茶)
もうじきそんな光景がやってくる。
ワシントンでの米国下院公聴会。
リコール問題に関する豊田章男社長の証言。
「行動を通じて伝える」
まさに「Practice comes first!」
実践躬行・実行第一。
今年の商人舎標語。
このスローガンを、
追い込まれた場面ではなく、
勢いに乗った局面で活用したい。
ヨーロッパでは、ユーロが急落。
ギリシャの財政不安にスペインの経済力の弱さが、
EU全体の足を引っ張る。
私には、15年ほど前から、
ギリシャ人のアレキサンダーという友人がいた。
シアル・ドールの国際審査委員。
小錦のような風体で、ズバリと言いたいことを言う。
40代でなくなってしまったが、
彼が生きていたら、
やはりズバリズバリと発言したに違いない。
ヨーロッパ、とくに南欧の経済は、
早急に回復しそうもない。
それがヨーロッパ全域に広がる。
まさに正念場。
さて日本、こちらも正念場。
だからだろうか、毎日のように社長交替のニュース。
私よりも若い社長の登場が相次ぐ。
ある意味でいいことだ。
その社長たちに望むこと。
正々堂々。
公明正大。
自主自律。
社会貢献。
さて外食産業の売上高は、
戻ってきた。
社団法人日本フードサービス協会の発表。
正会員478社、6万4000店、
総年商5兆7000億円の集計だから意味がある。
1月の数値は前年同月比売上高プラス1.8%。
客数プラス5.9%。
客単価は相変わらずマイナス3.9%。
ずっと悪かったファミリーレストランが0.2%のプラス。
14カ月ぶりというから1年2カ月ぶりの前年同月比の増加。
ファストフードは好調で4.9%プラス。
プラスもマイナスも自分の数値を基準にしている。
自分を超えること。
だから、それぞれのカテゴリーの人々は、
ホッとしていると同時にうれしいに違いない。
「外食産業は、食品産業の水先案内人」
私はずっと言い続けてきた。
水先案内に勢いが出れば、
食品産業全体に勢いがつく。
それがいい。
日経MJ調べの衣料品専門店1月売上実績。
既存店の有力企業ごとの数値が調査されている。
ユニクロはマイナス7.2%。
これが基準。
だから、衣料品は全体にいいわけではない。
ジーンズのライトオンはマイナス21.1%。
ジーンズメイトもマイナス17.8%。
西松屋チェーンはマイナス9.6%。
青山商事はマイナス5.0%。
AOKIホールディングスはマイナス3.3%。
ハニーズマイナス3.9%。
そしてだんだん良くなるポイントはマイナス1.2%。
しまむらがマイナス0.6%。
最後にユナイテッドアローズがプラスの0.8%。
1月になり晴れのファッションの時期を迎えたことなど、
季節指数の影響もあるだろう。
しかし、なんだかみんな、
少しずつ元気が出てきた感じ。
いいぞ、いいぞ。
その意気だ。
私は、そう言いたくなる。
東武ストアは全店の改装に踏み切る。
イズミヤも6割の店舗を改装する。
いい判断。
実践躬行。
さて、これは考えさせられるニュース。
京都市のコンビニ規制。
門川大作市長が任期中の規制導入を断念した。
朝日は取り上げず、日経が記事にした。
「環境にやさしいライフスタイルを考える市民会議」
京都市のコンビニ深夜規制を議論する会議体。
この会議も3月の最終提言案に「コンビニ規制」を、
盛り込まない見通し。
市は、「午後11時から翌日7時までの営業自粛」を、
意図していた。
それに猛反発していた業界側が、勝ったことになる。
市民の声として日経が取り上げているのは、
「利便性が損なわれる」
「経済発展の阻害要因となる」
といった声。
環境と便利さ、経済性。
まさしくオクシモロンの問題だが、
今回の判断、リアリズムの勝利と相成った。
私は、もともと、
「地球にやさしい」といった表現を好まない。
東京工業大学大学院生命理工学研究所准教授・丹治保准先生の言葉。
(財)有機質資源再生センターの年次総会。
「『地球にやさしい』
この言葉、私は大嫌いです。
たとえ何発、原爆が落ちようとも、
地球自体は何ともない。
地球にとって優しいことは、
むしろ人間がいなくなること。
大切なのは、人間が住む環境なのです」
人間が主役。
その人間の住む環境を考える。
その時、便利さや経済性は不可欠。
もちろん、だからといって、
環境問題を無視したり、
CO2を無差別に排出して良いなどという哲学は、
通用しないが。
時代は大きく変わろうとしている。
しかし、一気に変わりはしない。
あちらを立てればこちらが立たず、
こちらを立てればあちらが立たず。
オクシモロンの行きつ戻りつの思考と議論と思案の末、
多くのことが変わり始める。
多くのことが、オクシモロンの議論の末、
一斉に変わるから、変わったと感じる。
しかし一つ一つの現象には、
京都市でのコンビニの営業時間規制のような経緯がある。
それを軽く見てはいけない。
会社の中でも、店の中でも、
オクシモロンの問題解決があふれかえっている。
だから、考え、話し合い、また考える。
この姿勢を失ってはいけない。
私たちは、人間なのだから。
<結城義晴>
[追伸]
今日アップされた商人舎ページ。
「林廣美の今週のお惣菜」
<お弁当用ビーフステーキ>
おいしそう。
お試しあれ。