ジジとマオとヨナ[2010日曜版⑨]
今週のことです。
たしか金曜日だったとおもいます。
ボクは、チェンバロのうえ。
あさから、
顔をあらっていました。
耳のうしろが、
かゆい。
顔のほうも、
ていねいに。
とても、いい気持ち。
もういちど、
ていねいに。
耳のうしろ。
もうすこし、
うえまで。
よい、っしょ。
あ~、キモチいいキブン。
えっ。
たいせつなことが、
おこっていました。
オリンピック。
フィギアスケート。
ボクも、だいすきです。
マオ。
アサダ・マオ。
そしてヨナ。
キム・ヨナ。
どちらもすきになりました。
どちらもオーエンしたくなりました。
ユウキヨシハルのおとうさん、
「コンテスト型競争」といいます。
その反対は、「レース型競争」。
これからのジダイは、
コンテスト型になるらしい。
レース型はだれかひとりが、
いちばんになる。
でも、コンテスト型は、
それぞれのちがいが、
「価値」をうむ。
ヨナの価値。
マオの価値。
だからボクも、
ふたりともすきで、
ふたりともオーエンする。
ひとも、おみせも、
コンテスト型になる。
なるほど。
おとうさんも、
いいことをいいます。
ところで、
ボクの価値、
ボクのちがい。
いったいなんでしょう。
ボクに価値が、
あるのでしょうか。
ボクもコンテスト型社会で、
生きていけるのでしょうか。
ゆっくりと、
考えてみたいとおもいます。
時間はあるのですから。
<『ジジの気分』(未刊)より>