『小売業界大研究』の見本刷りと日米小売業の明暗
サンフランシスコから帰国して、
時差を感じる間もなく、
ちょっとうれしいことが、二つ。
ひとつは、今夜の「報道ステーション」へのビデオ出演。
昨日、一昨日とこのブログには、
木曜日と間違えて書いてしまった。
もう訂正されているが、
間違った表記をご覧の方には申し訳ない。
今夜9時54分からのテレビ朝日系です。
東京キー局なら地上デジタルで5チャンネル。
多分、番組後半の特集だろうから、
30~40分経過してからの時間帯だと思う。
どう編集されているかわからないが、
まあ顔見せといった感じでしょう。
横浜の商人舎オフィスで収録しましたから、
事務所の雰囲気もわかります。
ご覧ください。
もうひとつは、単行本の見本が刷り上がってきたこと。
『小売業界大研究』(結城義晴著・産学社刊)
学生や新入社員向けの本で、
「業界もの」というジャンルに入る。
フリージャーナリストの故辻和成さんが執筆する予定で、
プロットまでつくっていた。
その辻さんが、2007年12月8日(土曜日)に、
逝ってしまった。
享年55歳で、私と同年の同志。
その結果、宙に浮いていた企画を、
フリー編集者の二宮護さんが、
私に持ってきてくれた。
ちょうど㈱商業界社長を退任したばかりで、
商人舎をつくる直前のこと。
その後、私は2008年2月1日に商人舎を立ち上げ、
2008年6月6日、コーネルジャパンが発足し、副学長に就任。
さらに昨2009年4月から立教大学大学院教授の職について、
執筆は遅れに遅れた。
結局、発刊は今年4月10日だが、全国の書店には4月1日には並ぶ予定。
私はこの本を辻和成さんに捧げている。
だから喜びもひとしお。
この本のまえがきに、私はこう、記している。
「この本は、これから小売業に入ろうとする若い人、
すでに小売業に従事する若い人、
21世紀の国民生活を支える『志』を有する若い人のために、
書かれました」
さて、アメリカ商務省の消費財売上高調査。
2月の売上高(自動車、ガソリン、レストランを含む)は、
前年同月比プラスの4.1%。
さらに全米小売業協会発表2月の売上高。
前年同月比プラス1.7%。
アメリカの消費は、確実に戻ってきた。
それを実感して帰ってきた。
ウォルマート、コストコをはじめとして、
ウィンコ・フーズ、フード4レスといったディスカウント系は、
どの企業も好調だったが、
オーガニック・スーパーマーケットのホールフーズの回復が、
消費全体の復活トレンドを示した。
これに対して日本の三大調査。
日本百貨店協会の2月の売上高概況。
前年同月比マイナス5.4%。
24カ月連続減少は相変わらず。
一方、日本チェーンストア協会。
2月の総合スーパー売上高、
前年同月比マイナス2.4%。
食料品販売額が2.8%減、
衣料品2.0%減、
住関連品1.9%減で、
サービスは34.6%減。
さらに日本フランチャイズチェーン協会。
コンビニエンスストア10社の2月統計調査。
既存店ベースの売上高マイナス4.7%。
これは9カ月連続の減少。
既存店ベースの客数はマイナス2.1%。
8カ月連続の減少。
客単価はマイナス2.6%、
こちらはもっと長く、15カ月連続減少。
日米商業の2月実績は、明と暗に分かれた。
両者を見て、触れて、感じて、
考えること。
第一は、ここでもアメリカが先行していること。
先に不況に陥って、先に脱した。
1945年の太平洋戦争後も、
アメリカのほうがベビーブームを先行させたし、
団塊の世代のベビーブーマーもアメリカが先。
その意味では、アメリカを見ておくことは、いい。
第二は、アメリカ人のドライ商法の強さ、復活のスピリット。
多国籍民族は、試練に強い。
西部劇でもアクション映画でも、
叩かれ続けて、逆転する。
第三は、アメリカの優良小売企業が、
カスタマーをつかんでいること。
自社の固定客、常連客、信奉顧客。
それが、復活を早めた。
マーケティングの三原則。
①セグメンテーション
②ターゲティング
③ポジショニング
これは一言でいえば、
ロイヤルカスタマーづくり。
かつて西友副社長の上野光平先生が主張したこと。
「私の店」論。
お客様から「私の店」と思っていただくことへのひたむきな努力。
いま必要なのは、それです。
<結城義晴>