高島屋・阪急阪神百貨店統合破談と立教大学大学院学位授与式
高島屋とH2Oリテイリング、
経営統合破談。
昨日の夕方、発表された。
私は、まず、「困った」と思った。
もう印刷が終わって、配本中の新刊本で、
4大メガデパートのことを論述しているからだ。
本のタイトルは『小売業界大研究』
しかしこの本の中でも、私は、百貨店の統合や規模拡大は、
それほど大きな意味がないことを指摘している。
だから、高島屋と阪急阪神百貨店の交渉決裂は、
両社首脳の冷静な判断と受け止めたい。
などと考えていると、夕方、
『日刊ゲンダイ』の記者から緊急の連絡が、
横浜の商人舎オフィスに入った。
今回の件に対するコメントがほしいという。
最近は、なんだか百貨店評論家になってきた。
ちょうど立教大学大学院の学位授与式に出ていたのだが、
ちょっと抜け出して、研究室で電話インタビューに答えた。
「百貨店には大きく二つの系譜がある。
老舗呉服屋から発達した会社と電鉄系のターミナルデパート。
三越と高島屋は前者の代表で、阪急阪神は後者。
三越と伊勢丹は前者同士、大丸と松坂屋も同じ。
そごうと西武はたすき掛けで、
高島屋と阪急阪神もそれ。
基本的な組織風土や企業体質が異なる」
「高島屋&阪急阪神は、言ってみれば、
三越伊勢丹に対抗する関西連合のような趣があって、
こんな動機で統合しても、問題は起こりやすい」
「さらに百貨店は、
規模の経済が、当てはまらない業態。
家電やドラッグストアのコモディティ重点型の企業ならば、
統合やM&Aにもメリットが生まれるが、
ノンコモディティ重点型の業態では、
デメリットしか生まれない」
「したがって、両者の首脳の判断は、
冷静なものだったと思う」
おおむねこんなことをコメントした。
三越伊勢丹の時から私は、持論を展開していた。
管理コストの削減、
情報システムの共有化によるメリット、
人的資源の有効活用。
こういった項目以外に、
商品の面、売上金額の面で大きくなっても、
それは役に立たない。
お客様の気分になればよくわかる。
従業員の気持ちになればすぐわかる。
高島屋と阪急阪神がひとつになると、
お客様からは選択の幅が狭まる。
阪急と阪神の統合ですら、それはもう既成の事実だが、
顧客無視の所業といえる。
従業員も、合併にはストレスが伴う。
いいことはない。
だから十分議論して、統合を思いとどまったことは、
むしろ評価されるべきだ。
どこかの新聞に「統合の失敗の責任をどうとるか」といった質問が出ていたが、
統合を回避したことこそ、責任をもった判断というべきだ。
私が主張してきたことが理解されつつあって、
それは嬉しい。
さて昨日は、朝から全日食チェーン協同組合の講演会。
齋藤充弘全日本食品社長の講演の後、10時過ぎから90分。
テーマは「ボランタリー・ナレッジ・マーチャントのすすめ」
アメリカから帰ったばかりで、
ちょっと疲れ気味だったが、
話始めて30分も経過すると、
いつもの調子になって、
話は脱線気味。
それでも、その脱線もご好評いただいて、
何とか、予定通り、最後まで語りとおした。
ご清聴を感謝したい。
講演が終わって、田中彰会長と齋藤社長。
お二人ともに商人舎発足の会の発起人。
ありがとうございます。
夕方、6時半から、今度は池袋の立教大学で、
「大学院学位授与式」
結城ゼミのゼミ生諸君。
会場のタッカーホールでは、式典が始まっていた。
理事長先生のご挨拶。
合唱団の讃美歌。
そして学位を授与されたゼミ生諸君と写真。
左から田村直純さん、
柿沼将人さん、
名古屋章さん、
そして星山朋子さん。
心より、おめでとう。
教会に移動して、また写真。
みんなの笑顔がうれしい。
高橋修一郎さんと写真。
写真の後、日刊ゲンダイのインタビューを受けた。
それから、第一食堂で懇親会。
また全員で写真。
一生の付き合いになります。
ほんとうに、おめでとう。
ゼミ生諸君から花束をプレゼントされて、
ほんとうにうれしかった。
いい人生を歩んでください。
いい友を大切にしてください。
<結城義晴>