結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年03月29日(月曜日)

日経MJ「百貨店は規模を見切り、個店優先」とユニ・チャーム高原慶一朗会長の「こまい会社」

Everyone! Good Monday![vol13]

2010年第13週、3月最終週と4月第1週。
それが今週。


今日は朝から、東京・自由が丘。

「春まっ盛り」であるはずなのに、
東京・横浜は、冬に戻ったかのように寒い。

いわゆる「花冷え」  
桜の花が咲く頃の冷え込みを「花冷え」という。
美しい日本語。

桜を楽しむことは、冬から春への移り変わりを喜ぶこと。
この暖かくなることに対する期待を、若干、裏切られたような気分。
それでいて、花の鋭さをも感じさせる。
実際のところは、この時期は陽気が変わりやすいから、
寒さも温かさもあって、
「花冷え」という言葉は、半分は当たる。

「意外だなあ」という気分とともに、
その意外さが、ピタリ当たっている。
不思議な感覚を呼び起こす「花冷え」。

この感覚まで楽しんでしまおうという貪欲な日本語。

ああ、日本に生まれてよかった。

今週から、本格的な春と桜。
顧客と一緒に楽しみたい。

さて、今朝の日経MJ。
「高島屋・H2O MDにズレ」  

「規模拡大がもたらす効果は、
両者にとって魅力を失っていった」

だから「規模見切り、個店優先」となった。

小売業はその名の通り、
「小」さく「売」る「業(なりわい)」。
本来の小売業の考え方に戻れば、
百貨店とても、規模のデメリットに目覚めるはず。

もちろん小売業にも規模のメリットはある。
それを求めたのがチェーンストア方式。
規模に効果を出すためには、
「小売業の工業化」が不可欠だった。

いわゆる「インダストリアリズム」。  
この効果は、華々しいものだった。

だからほとんどの小売業が錯覚した。

「小売業の工業化」こそ、
永遠の、理想の小売業のあり方だと。

しかし私は、
小売業は「森」のようなものだと思う。
あるいは「人体」のようなもの。

だから大木もあれば、雑木もある。
雑草もあれば、綺麗な花もある。

大動脈・大静脈も必要だし、
毛細血管もなければ生きていけない。

従って、小売業には、
工業的小売業もあれば、
農業的小売業もある。
そして情報業的小売業もある。  

第一次産業型小売業、
第二次産業型小売業、
第三次産業型小売業。  

小売業自体が第三次産業に属するから、
話はややこしくなる。
小売業は融通無碍なところをもっていて、
だから時流をとらえなければならないし、
他産業の「映し身」のようなところをもっていて当然。

20世紀は、工業化社会への疾走だった。
だから小売業も、工業化を果たした。
その象徴が3S1Cの概念。

標準化・単純化・専門化と集中化。

しかし高島屋とH2Oリテイリングの統合断念は、
今一度、小売業の本質に戻れと、私たちに語りかけている。

それが日経MJの巻頭特集に、垣間見える。

それにしても日経MJの月曜版は、
いいポジショニングに居る。

月曜日は、日刊紙がつまらない。
日曜日にニュースが少ないからだ。

それに対して、日経MJは月曜・水曜・金曜に発刊される。
必然的に、月曜版は前週のサマリーになる。
この前の週のまとめがとてもよい。

私は「ウィークリー・マネジメント」を標榜し、お勧めするものだが。
日経MJ月曜版には、その「週頭」ガイダンスの意味がある。

日経本誌の「私の履歴書」。
3月はユニ・チャーム会長の高原慶一朗さんだったが、
「我が社は川之江の言葉で言うなら、
まだまだこまい(小さい)会社だ」  

だから、欧米には本格的には出ない。
プロクター&ギャンブルやキンバリークラークが席巻している。
「同じ土俵に立つことは時期尚早だ。兵站が伸び切ってしまう恐れがある」

「身の程を知ると同時に、錐で穴を開けるように、
一点集中・一点突破で得意分野で進まないといけない」

この「こまい会社」の発想は、
小売業に当てはまる。

今朝の朝刊からもう一つ。
朝日新聞の文化欄の作家・船戸与一さんの言葉。
「歴史は小説の奴隷ではない」  
言いかえると、こうなる。

歴史をフィクションとして表現する場合、
受け手は、それをフィクションとしてとらえなければならないし、
送り手も、それがフィクションであることを伝えておかねばならない。  

船戸さんは小説『新・雨月 戊辰戦役朧夜話』で、
フィクションと史実を、交えつつも、読者にわかるように表現した。

昨夜、NHKで「龍馬伝」を見ていて、
ちょっと違和感を覚えたので、
今朝の船戸さんのコメントに納得。

何らかの説や論が提示されたとき、
盲信してはいけない。

常に、自分の軸をもちつつ、
その論や説を、検証する姿勢をもたねばならない。

それがビジネスの良さであり、面白さ。
検証する時には、当然ながら、
「現場」を通して行う。
特に「こまい会社」を自覚する者には、
これが大切だ。

「神は現場にあり」  

今月も、あと3日。

「すぐやる・かならずやる・できるまでやる」 
この習慣化を果たしたうえで、
新年度の4月に臨みたい。

わが社は2月末決算で、3月が新年度という会社も、
世間は、今、学校では春休み、家庭もそのサイクルであることを再確認して、
今週も、気持ちを新たに臨みたい。

Everyone! Good Monday!  

<結城義晴>  


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