ローカルスーパーマーケットHEBの新店にスーパーセンターの可能性を見る
テキサスに入って三晩。
あっという間に過ぎた。
こうして浦島太郎になってしまうのかという錯覚すら覚える。
さて昨日の続き。
HEBの最新店に訪れた。
私はこの店を名付けた。
「HEBプラス・マイナス」
HEBの正式名称は、
HEバット・グロサリー・カンパニー。
年商150億ドル(1ドル100円換算で1兆5000億円)、
店舗数317、従業員4万5000人のテキサス有数の企業。
1905年の創業で、フローレンス・バットという女性が夫とともに、
テキサス州カービルで総合食品店を開いたのが始まり。
グロサリーストアといった。
その息子のハワード・バット、孫のチャールズ・バットと受け継がれ、
順調に成長してきたが、100億ドルを超えるにもかかわらず、
非上場。
そのHEBの「対ウォルマート作戦」のフォーマットが、
このHEBプラス。
入口をはいってみよう。
「カート・フォー・カート」と掲示がある。
反対には「アイル・フォー・アイル」
全ての通路にカートで入って、買物しよう。
ほかにこんなに安い店はない。
そんなアピールがある。
まず、HEBの最有力部門の青果。
いかがだろう。
青果部門の面積の広さ、品目の多さ、その鮮度、価格で、
スーパーマーケットの勝負は決まる。
圧倒的なパワーの青果売り場。
これでは、ウォルマートもかなわない。
そう、ウォルマート対策の第一は生鮮、とりわけ青果である。
HEB はこの店でもそれを見せつけている。
だからバナナもこんなに売れている。
青果から鮮魚、精肉の対面売り場へ。
ウォルマートはこの部門、対面では売らない。
ウォルマートと違うことができるか否か。
それが「ウォルマート対策」
このエリアはメキシコ系アメリカ人が多く住む。
だから精肉の対面売り場は、メキシカン仕様。
良くできている。
ベーカリーの売り場にも、トルティーヤが積み上げられている。
デリの売り場。
バックヤードに入ると、なんと珍しいコンベア方式。
リーチインケースには乳製品、冷凍食品。
広い通路上には、アイランドディスプレイ。
ロープライスを訴求するプライスカード。
さてこの店。
HEBプラスの、弱点だった非食品を絞り込んだ。
だからHEBプラス・マイナス。
パレット陳列の迫力。
家庭用品もライン陳列で美しい。
ビューティケア売場。
季節の花が並ぶ売場。
衣料も価格訴求の投げ入れ陳列。
POPやサインもわかりやすい。
レジ前の通路は広い。店内はローコストなつくり。
さてこの店。
HEBプラスの弱かった非食品をカットした。
だからHEBプラス・マイナス。
すごく良くなって、
これならもう「スーパーセンター」と呼べる。
現在、スーパーセンターは、ウォルマートとターゲット。
ウォルマートはハードライン出身のスーパーセンター。
ダーゲットはソフトライン出身のスーパーセンター。
なぜか食品出身のスーパーセンターはない。
HEBのプラス・マイナス。
これが食品出身のスーパーセンターになるかもしれない。
私はそんなことを思った。
ちょっとほめすぎたかもしれない。
なにしろローカルチェーンには、
アメリカでも、日本でも頑張ってもらわねばならないからだ。
[続きます]
<結城義晴>
4 件のコメント
結城先生、米国ご滞在にも拘わらず、変わらぬご有益なコラムを有り難うございます。ショップ売り場のみならず、バックヤードをもお見せ頂けるとは!
それは本日、八重洲ブックセンターにて購入しました塩野七生先生の最新刊「日本人へ リーダー篇」のご初頭、
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない。 -ユリウス・カエサル」
なのではないのか、と思いました次第でございます。
重ねて、有り難うございます。どうか、道中、お気をつけて! では。
アメリカライブレポート毎日楽しみにしています。HEBは日本ローカルSMの参考になるところが多いようですね!帰国報告を楽しみにしています。
ところで今日はアメリカでマーケティングして頂きたい事がありまして・・
と言いますのは日本スーパーマーケット協会大塚専務と話をしていまして「生花」を第四の生鮮に出来ないものか?との話をしています。
現にヤオコーさんはコンセプトも「第四の生鮮チャレンジ?」のようです。
今までは園芸?の延長にての発想でロスを見込んだ価格であった為にお手ごろ価格ではない、花価格だったそうです。
今後は「食卓に、テーブルに、玄関に手軽に癒し空間を?」見たいにならないか?との話で盛り上がりっています。
ヤオコーさんではデコレーションされた生花が300円~500円で販売している。(私も店クリしてきました)
今日お願いしたいのは
1・生花の取り扱いがアメリカではどのようになっているのか?
2・売上は?ヤオコーさんは店舗売上の1%を目標にしているようです。
ヤオコーさんの調べではヨーロッパ(イギリス?)などでは2~3%前後の売り上げがあるとの事らしいです。勿論文化が違いますのでプレゼントなどの需要も違うと思いますし、パーティ文化なども違うと思いますが・・・
3・粗利は?ヤオコーさんでも今までは50~60%などの設定だったそうですが生鮮部門としての考えで20~30%で考えたいとの事です。
勿論その為には「温度管理も生鮮と同じく実施」「生花については保証を唄っています・・枯れたら交換しますと・(オランダ製?クスリ使用)」
などなどまだまだ手探りのようですが、私はローカルスパーにとっては検討しても良いと思っています。
忙しいスケジュールにお願いして申し訳ありません(--、、、)
ついででもよろしいのでお願いします。
くれぐれも・・「無茶はしないで、無理にとどめるように」
船村さま、いつもの投稿ありがとうございます。
塩野七生さんが書くユリウス・カエサルのこの言葉。
「多くの人は見たいと思う現実しか見ていない」
私も、ずっと心に留めています。
塩野さんの本、私も早く読みたいです。
宮本さま、ご投稿とご質問、感謝。
アメリカのスーパーマーケット1店平均で、
生花は1週間に$776.39の売上げです。
これは0.19%。
年間に直すと4万0352ドル。
約400万円といったところでしょうか。
これはProgressive Grocer誌2007年のデータ。
もちろん生鮮食品などぺリシャブルスの分類に入ります。
生花とともにドライフラワーも、
きちんと売り場をとっていて、
私はこちらをコモディティ売り場、
生花をノンコモディティ売場と位置付けています。
スーパーマーケットが生花を第4の生鮮にするアイデアには、
私も賛成です。
単なる食を売るのではなく、
食事を売り、
食卓を売り、
食生活を売るのが、
スーパーマーケットだからです。