イトーヨーカ堂ウナギ偽装転売事件とセブン-イレブン電鉄系電子マネー導入への転換策
残暑と言いながら、
全国的に猛暑日。
名古屋と大阪は37度。
それでも、少しずつ少しずつ、
秋の気配を感じさせる。
昨17日、日本の株価は、
今年の最安値をつけた。
日経平均9161円。
もちろん今日になって、
少しずつ戻してきている。
自分で株を持たずとも、
株価の動きを知っておくだけでいい。
私自身が、この「知っておく派」である。
それによって、企業と消費者、両者の動向を、
感じ取ることができる。
イトーヨーカ堂とジャスコは、
すかさず「円高還元セール」を始めた。
もうこれは、「ランナーが出たらバント」の高校野球並みの、
常套手段になってしまった。
もちろん円高がすぐに仕入れ原価に反映されることはないが、
顧客の気分には、適合する。
さて、 ウナギの偽装転売事件で逮捕者。
食品衛生法違反虚偽表示容疑。
中国産冷凍ウナギのかば焼きをイトーヨーカ堂が輸入した。
それを水産物販売業「高山シーフード」が輸入したと偽装し転売。
今朝ごろは、元イトーヨーカ堂海外マネジャー(58歳)らが逮捕されたが、
昼前、現役女性社員(34歳)も逮捕されてしまった。
元社員は、否認していて、
いまだ藪の中。
読売新聞の記事。
農林水産省の食品表示監視について、総務省が調査した。
地方農政局・農政事務所9カ所の2006年度、2007年度の実績。
「偽装表示などの情報を把握してから、
業者への立ち入り検査や任意調査までに、
1週間以上かかった事例が48%に上っていた」
「食料品の製造業者や小売業者らに対し、
原産地などを正しく表示しているかをチェックする監視担当職員は、
全国の農政局・事務所に約1700人」
「担当職員1人当たりの取扱件数も、
少ない職員と多い職員で、最大4.2倍の差があった」。
総務省は、「職員配置の偏り」がその原因と判断。
今月中に農水省に配置見直しなどを勧告する方針。
イトーヨーカ堂事件は、このプロセスで浮き上がった。
今後も、ますます、厳しい摘発が行われる。
当たり前のことだ。
総務省が農林水産省を監視し、チェックし、勧告する。
この仕組みが、よい。
逆にいえば、小売業・製造業・卸売業の企業側に、
政府の総務省に似た機能強化が必要だ。
会社の中の「内部監査機能」は杓子定規になりがちだが、
この機能の充実によって、
こういった事件を未然に防ぐ。
いや、こういった事件が起こらない態勢を、
看板にするくらいの企業体質をつくる。
私はいつも、言う。
「今からでも遅くはない」
少なくとも、最高責任者が辞任して終わり、
などといった決着はつけてほしくない。
「看板となる体質づくり」に、
邁進してほしいものだ。
もうひとつ、セブン&アイ・ホールディングス関連のニュース。
来春からセブン-イレブンのレジで、
Suica、ICOCAやPASMOなど、
電鉄系電子マネーの利用を可能にする。
東日本旅客鉄道などJR5社、
およびセブン-イレブンの駅ナカ出店で共闘する京浜急行電鉄と合意。
これは何よりも、顧客の利便性を優先した政策転換。
セブン&アイは、独自電子マネーnanaco(7月末で1181万枚)を展開している。
さらに、既にエディ、クイックペイ、アイディなど小規模電子マネーは導入済み。
セブン&アイの判断は、自社電子マネーの普及が一段落したため、
他の有力電子マネーを積極導入しようというもの。
こうして、電子マネーのコモディティ化が進む。
私はどこかが最初に突出して、
クリティカル・マスを突破するかと考えていた。
それよりも早く、コモディティ化が進んだ。
Suica、ICOCAもPASMOもnanacoも、
どれも大して変わらない。違いがない。
JRを使うからSuica、ICOCAなどなど、
私鉄の定期券を持っているからPASMO。
そういった動機が優先され、
全体として客観的にみれば、
それ自体の機能やご利益には、
ほとんど差がない。
だからコモディティ化現象となる。
セブン-イレブンが他者電子マネーを導入するというのは、
その段階に突入したことを示す。
しかしこれは、
電子マネーによる顧客囲い込みが、
できなくなったことを意味する。
顧客のロイヤルティを獲得させるものは、
基本的にツールそのものではない。
道具をいかに使うかによる。
その意味で次の一手が、楽しみだ。
<結城義晴>