日経MJ「2009年百貨店調査」にみる233店中たった3店の増収店舗と「現状否定」
㈱商人舎、今日から夏季休業があけて、
営業再開。
よろしくお願いします。
その商人舎秋の事業。
10月5日~10月11日。
第8回商人舎アメリカ視察スぺシャル・コース。
10月開催の研修会ですが、
締め切りは8月20日金曜日。
商人舎定番の大好評「経営戦略コース」。
対象はトップマネジメント、幹部、幹部候補生。
テキサス州オースティン&ダラスとニューヨーク。
徹底的にウォルマートを裸にし、
その原理原則を習得しつつ、
それへの対抗策を考察する。
そのうえで、HEバット、ホールフーズ、トレーダージョーなど、
先進ローカルチェーン企業やスペシャルティ企業の経営戦略を学ぶ。
セグメンテーション、ターゲティング、
そしてとりわけポジショニング。
アメリカでしか理解できない、体験できない最重要概念と経営戦略が、
明らかにされる。
その学習において、現在、全米で最適の地テキサスで学び、
その後、最もエキサイティングなニューヨークにわたって、
様々なニッチの在り方を知る。
ウェグマンズ、スチュー・レオナード、
ゼイバーズ、フェアウェイマーケット、エトセトラエトセトラ。
ここには「働きたい企業」の真実が存在する。
研修と学習満載の7日間。
結城義晴、浅野秀二、メリッサ・フレミング女史。
三人の講師がめいっぱいの熱演。
あなたは必ず、
「自ら、変われ!」を体験することができる。
是非のご参加を。 [㈱商人舎]
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昨日も新幹線の帰省客は、多かった。
それぞれの夏休みが、
それぞれに展開され、
それぞれに非日常の楽しさを満喫した。
このところの残暑は、並みの残暑ではなかった。
日経新聞『春秋』では、
「炎夏」なる言葉を引き出してきて、
「よくよく念の入った残りの炎である」とまとめる。
元西武ライオンズ監督で現評論家の東尾修さんまで、
ゴルフ中に熱中症にかかり、二日間入院した。
高齢者の方々の熱中症には、
周辺がよほど気を配らねばならない。
東京23区では100人の死亡者が出た。
ほとんどが高齢者ばかり。
その一方で、モノは売れた。
これが現代の社会の特徴。
デメリットがあれば、必ずメリットもある。
メリットが拡大されれば、デメリットのリスクも大きくなる。
その中で、リスク・マネジメントを機能させつつ、
全体最適を求める。
難しい「オクシモロン」の問題が横たわる。
「二律背反のテーゼ」。
しかし商人舎5月の標語。
「むずかしいからおもしろい」
商人舎6月の標語。
「やさしいことから手をつけよ」
昨日の日経新聞コラム『大機小機」。
「アジアに日本は魅力的か」のタイトル。
コラムニスト石巻氏の結論は、
「謙虚に経済大国意識から脱却して、
アジアに魅力的なインフラやシステム、
知的財産、行政のレベルアップのための知的支援など、
セールスポイントを自ら認識して向上させたい」
①セールスポイントを
②自ら認識して
③向上させる
いい考え方だ。
そうすれば「日本は社会システムと文化の豊かな国として、
光を放つだろう」
「日本人の勤勉さと公共心を、
もう一度取り戻したいものだ」
まったくもって、同感。
昨日18日発行の日経MJ。
「2009年度百貨店調査」
調査対象233店。
そのうち増収はたった6店。
6店の半分の3店はすでに閉店している。
つまり閉店セールで売上げが前年を超えた。
従って、通常の増収店舗は3店だった。
①西武旭川店(増収率18.0%)
②新宿マルイ(15.2%)
③大丸札幌店(1.6%)
増収の理由は、競合店の撤退。
しかし3割以上の店が、コメントする。
「競合店が消滅しても売上げ維持が精いっぱい」
さて、ランキング。
第1位と第2位が逆転した。
第1位、伊勢丹新宿本店 年商2236億円(マイナス9.1%)
第2位、三越日本橋本店 2157億円(マイナス14.8%)
マイナスが少なかったから第1位になった伊勢丹本店。
2000億円を超える2強は、三越伊勢丹ホールディングス傘下。
以下、
第3位 西武池袋本店 1606億(マイナス5.1%)
第4位 阪急うめだ本店 1441億(マイナス16.7%)
第4位までは「本店」が占めた。
この意味で、日本の百貨店はチェーンストアではない。
アメリカの百貨店はノードストロームやニーマンマーカスまで、
間違いなくチェーンストアであるけれど。
第5位 横浜高島屋 1355億(マイナス9.1%)
第6位 日本橋高島屋 1308億(マイナス10.7%)
第7位 東武百貨店池袋本店 1129億(マイナス7.7%)
第8位 松坂屋名古屋店 1106億(マイナス10.2%)
第9位 高島屋大阪店 1079億(マイナス13.2%)
第10位 東急百貨店本店 1028億(マイナス17.3%)
第11位 そごう横浜店 1018億(マイナス8.8%)
ここまでが年商1000億円以上。
昨年は1000億円以上の百貨店が13店あった。
近鉄百貨店阿倍野本店と小田急百貨店新宿本店が脱落。
年商500億円以上の百貨店は35店。
昨年は39店。
年商300億円以上は63店。
昨年は67店。
そして200億円以上は95店。
しかし95位の伊勢丹吉祥寺店は閉店している。
昨年200億円以上が107店あったから、
200億円規模以下の百貨店が厳しい。
私の仮説は「百貨店120店説」だが、
残存百貨店数の規模は、
このあたりまでではないか。
厳しい百貨店業態。
衰退業態は、
立地や規模が限定されてくる。
138位に位置する西武百貨店有楽町店。
年商139億円、売り場面積1万6191㎡。
2万㎡ぎりぎりの百貨店は、成り立ちにくい。
伊勢丹吉祥寺店は、2万0758㎡。
伊勢丹のマーケティング力・マーチャンダイジング力を持ってしても、
2万㎡では苦しい。
「オクシモロン」といっても、
ビジネス・モデルや業態のライフサイクルを、
乗り越えることはできない。
厳然とした事実や理論の前には、
努力や執念も歯が立たないのである。
この時求められる姿勢は、
商人舎8月の標語。
故渥美俊一先生からいただいた
「現状を否定せよ」
炎夏のなかで、現状否定。
どこか、ふさわしい生き方であると思う。
<結城義晴>
2 件のコメント
アメリカ視察のブログを楽しみにしています。
販売革新の8月号で「チェーンストアの個店対応とは」の特集記事の中で
緒方 知行氏と吉田 繁治氏対談で「ウォルマートは個店対応か?」で
論戦をされていました。
流通業界を代表するお二人でもこのテーマ(個店対応)は答えの出ない課題かとも思います。
私のメーカー卸の立場からは、本部集中の良い面(本部主導棚割)と、個店の裁量(店の権限で仕入れた商品は売り切ってくれる場合が多い!)の大切さがあり、悩ましい問題です。
いまちゃん、アメリカ報告ブログは10月になりますが、
それまで待っていてください。
一度、ご一緒しましょう。
『販売革新』の対談、私も読みました。
吉田繁治さんは、
この特集の巻頭でも見解を表明していますし、
ガチガチのチェーンストア論者。
論旨明快。
私の考え方とほぼ、一緒です。
緒方知行先生は、
セブン-イレブン流の「仮説・検証」が持論。
情的な捉え方もします。
司会が姿を現わしませんが、
もうちょっと、ウォルマートとセブン-イレブンの、
両者の差異と共通項とを、
明らかにする方向に議論を進めてほしかったと思います。
吉田さんの発言、
「ああ、わかってきました。
チェーンストアの情報をベースにして、
それで個々の店が市場に合わせて、
商品を品揃えすることを、
先生は個店対応と言っているんですね。
それは当たり前の話です」
ここが一番おもしろかったし、
ここが一番重要なところです。
特集そのものは、いささか古いテーマですが、
こういった場合、取材記事がとても重要になります。
もっと掘り下げて、丁寧なケーススタディにしないと、
お題目だけの特集になってしまいます。