8月の「内食と外食」、スーパーマーケットとフードサービスの販売統計はどちらもプラスだが外食に軍配
昨日の日経新聞で発表された「人事」が話題となっている。
「10月1日付けで、
㈱成城石井前社長の大久保恒夫さんが、
セブン&アイ・ホールディングスの顧問に就任」
私はこの件に関しては、黙して語らず。
大久保さんからは直接、何も聞いていない。
彼はそんなに口の軽い人間ではない。
ただし、私の読みがあった。
いずれこのブログで書くこともあるかもしれない。
大久保さん、セブン&アイ、
そして日本の小売業の世界にとって、
ハッピーであることを祈りたい。
昨日28日は、スーパーマーケット三団体による
8月のスーパーマーケット販売統計調査が発表された。
三団体は、社団法人新日本スーパーマーケット協会(NSAJ)、
オール日本スーパーマーケット協会(AJS)、
日本スーパーマーケット協会(JSA)。
今回5回目となる販売統計発表はNSAJで行われた。
司会はNSAJ広報課長の名原孝憲さん。
調査結果の発表は、
NSAJ副会長㈱紀ノ国屋ファウンダーの増井徳太郎さん。
8月実績速報版の発表数値は、
三団体の加盟企業合わせて264社から集計されたもの。
総売上高 8069億9422万円(前年同月比101.0%)
食品合計 6947億5219万円(101.5%)
非食品合計 1122億4203万円(98.7%)
8月の実績は前年に比べプラスの1.0%。
観測史上最高の「猛暑・酷暑・炎夏」の重要を、
ささやかながら1%だけ享受できた。
生鮮3部門の合計は、2504億3557万円(100.2%)。
内訳は、青果 1044億0118万円(103.0%)
水産 704億5723万円(97.9%)
畜産 755億7716万円(98.6%)
異常気象で野菜が高騰。
皮肉なことに、それによって、
青果部門は3.0%のプラスとなった。
しかし水産の落ち込みは2.1%、
畜産は1.4%。
惣菜は、762億6654万円(103.1%)。
この分野は相変わらず、好調。
ちなみに、商人舎では、
11月16日火曜日にセミナーを開催する。
「儲かる惣菜マーチャンダイジング」
売上げは好調でも、
部門営業利益を出せない企業、店舗は多い。
惣菜で、いかに利益を出すか。
林廣美先生と結城義晴が、
ずばり、この問題に答える。
統計に戻って、
一般食品・その他 3680億5007万円(100.7%)。
エリア別の前年同月比をみると、
北海道・東北45社 101.2%
関東68社 100.5%
東海・北陸 62社で100.2%、
関西36社 102.4%、
中国・四国37社 100.4%、
九州・沖縄16社 100.9%と全エリアで売上増となっている。
調査企業の総店舗数は7051店。
総売場面積 11,673,598㎡、
店舗平均月商 1億1445万円、
売場1㎡あたり売上高 6.9万円。
増井さんは全体トレンドを以下のように分析。
「一言でいうと、『猛暑特需』が続いた。
総売上高は3カ月連続で前年同月比が100%を超えた。
しかし、水産・畜産は苦戦している」
「地域別に見ると、北海道や関西エリアは堅調。
口蹄疫に苦しんだ九州・沖縄エリアは持ち直しつつある」
「だが、東海・北陸エリアが不調だった。
それが売上判断景況指数に表れている。
8月には60.6ポイントあった東海・北陸の指数が
9月は47.5ポイントと、13.1ポイントも激減している。
理由は分からないが、トヨタなどの輸出関連企業があるため、
円高が響いたのかもしれない」。
実務分析の発表はNSAJ常任理事の三科雅嗣さん。
いちやまマート代表取締役社長。
「気温・水温の上昇が青果、魚、そして客足にまで影響した」
「猛暑の影響が8月前半はプラスに働き、
夏物商品の動きが良かった半面、
逆に、お盆以降はマイナスに働いた」
「水産の動きが特に悪かった。
猛暑の影響で水温が上がり、夏の魚の収穫は少なく、
サンマも獲れなかったため、売る物がなく、相当なダメージだった。
青果でもりんごの収穫が遅れた」
「暑さのため、お客さんは調理すること自体、面倒臭くなったのか、
調味料の売上げも良くなかった。
その代わり、惣菜は売れた」
「山梨は1週間くらい前までは気温36℃もあった。
そのため、昼から3時までの時間帯は客がいなかった。
朝夕のみ客が来る状況だった」
「先週の金曜日からやっと気温が下がってきたため、
金曜日~日曜日の売上げは回復した。
小さいが、サンマや秋鮭の売上げも戻ってきた」
また今話題の「B級グルメ特需」についてもコメント。
「9月18・19日に行われた『B-1グランプリ』で
甲府鳥もつ煮が優勝した結果、畜産部門が盛り返してきた。
いちやまマートでは以前から甲府鳥もつ煮のPRを店頭でしてきたので、
今回の優勝で仕入れができなくなるということはない」
特需対応をしっかりとりこんでいる様子。
実務家経営者のコメントは、現場に即していて、
とてもよい。
一方、今週27日の月曜日には、
日本フードサービス協会が8月の外食産業市場動向を発表。
調査によると、8月度売上状況は、
外食産業全業態トータルで前年同月比1.6%と増加。
客数前年比は3.6%増と好調。
記録的猛暑に加え、お盆時期が週末と重なったため、
前月の2.9%増からさらに伸びた結果だ。
ここでも、猛暑・好天効果が表れている。
その一方で、多くの業態で客単価が下がり、
全業態トータルの客単価は1.9%減と前月よりさら低下。
内食のスーパーマーケットはプラス1.0%。
外食のフードサービスはプラス1.6%。
外食に軍配が上がった形だが、
例えば野菜の高騰は、
内食産業には売上増という現象をもたらすものの、
外食産業では、ストレートに利益の圧迫につながる。
両者の粗利益や営業利益の統計が発表されたら、
そのあたりの問題点も明確になるのだが。
さて、昨日は、東京・永田町にあるフランス見本市協会を訪問。
広報部長の郡司華子さんに、
この秋、パリで開催されるシアルについてレクチャーを受けた。
私は10月17、18日に、久しぶりにシアルを訪問する。
今年は会場も広くなり、出展者数も増える模様。
今から楽しみにしている。
郡司さんとSIALのパネルを持って写真。
商人舎松井康彦エグゼクティブ・プロデューサーも参加して、
2004年に私が日本代表選考委員をやっていた時の話題を懐かしんだ。
この年、ロッテの「クーリッシュ」が「グローバル・シアル・ドール」を受賞した。
すなわちこの年の「新商品コンクール」で、
世界第1位の座を獲得したのだった。
来週から、アメリカ・ヨーロッパのやや長い出張。
その直前の今、猛烈に忙しい。
「今日も一日、慌てず、急げ」
<結城義晴>