10月・神無月の標語「良く噛んで食べる」
今日から10月。
「猛暑・酷暑・炎夏」から一挙に「晩秋」へ。
そんな10月の始まり。
気象庁の「寒候期予報」では、
それでも10月いっぱい、気温は例年より高めだという。
そして11月に入ると例年並みにもどり、
今年の冬は、一段と寒く感じられる。
さて、その10月の商人舎標語の発表。
この商人舎ホームページ右段の上から二番目に、
「今月の標語」というコーナーがある。
その下に、今月の標語が書かれていて、
さらにその下に「過去の標語を見る」というボタンがある。
クリックすると、最新のスローガンから、
月を遡るように標語が並ぶ。
一番下、すなわち一番古いのが、
2008年6月のスローガン。
「節約・倹約。もったいない」
それから2010年の10月まで、
都合、29回目となる「今月の標語」の発表。
ジャジャーン!?
と言うほどに大げさなものではないが、
「良く噛んで食べる」
食欲の秋、私たちは、毎日、3回の食事をする。
日本人は1年間に1200回食事する。
朝昼晩の食事以外に、
間食、夜食、つまみ食い、おやつなど含めると。
それが黒田節子先生の名著『1200食のマーケティング』の根拠となった。
この1200食をすべて、
「良く噛んで食べる」
特に10月には、「良く噛んで食べる」
それが今月の標語。
私の著書『メッセージ』(商業界刊)にも文章が入っている。
「良く噛んで食べる」
人間ドックに入って出てきたら、
金属疲労のごとく、いっせいにチェックが入れられた。
全身疲労の四十九歳。
要は、体重を減らせ、痩せろ、節制せよ。
そこで、考えた。
「良く噛んで食べる」
これだけに徹しよう。
そうすればすべて上手くいく。
まず消化がよくなる。
胃腸の負担が軽くなる。
歯が丈夫になる。
顎も発達する。
食べ物の味が分かるようになる。
食べる時間は長くなるが、総体的に量が減る。
量が減れば、少しだけお金もかからなくなる。
その分、美味しいものを食べようと努力する。
うん、すべてよくなる。
健康になるはずだ。
しかし困った。
「良く噛んで食べる」とは、いったいどうすることなのか。
そこで再び、考えた。
「心の中で数えながら噛む」
最低四〇回、あるいは四十八回。
この習慣をつける。
「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「に、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「さん、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「し、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
・・・・・・・・・。
このくらいで、たいていのものは、
心地よく口の中から消えていく。
きちんと噛むために、適当なかたまりを、
順序よく口の中に入れるようになる。
食物の堅さにも、
関心を払うようになる。
すべてよくなる。
ときどき、舌や唇を噛んでしまうこともあるが。
しかしみたび、考えた。
この私の「食べるマニュアル」は、
果たして、
食事時だけのものなのか。
・・・・・・・・・・。
実は、これが何にでも使える。
事実も、問題も、「良く噛んで食べる」
苦情も、報告も、「心の中で数えながら噛む」
目がさめている限り、何でも。
「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「に、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「さん、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「し、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
・・・・・・・・・。
私が49歳、『食品商業』編集長の時の巻頭言から抜き出して、
『メッセージ』に収録。
しかし9年前の文章が今も、使える。
それが10月の商人舎標語の意味。
政府に向けて言うならば、
尖閣諸島問題も「良く噛んで食べる」
円高デフレも「良く噛んで食べる」
会社に対して言うならば、
売上げや利益が上がらないという問題も「良く噛んで食べる」、
労務問題も環境問題も「良く噛んで食べる」。
とりわけ、食べにくい食物、
繊維質の食べ物、
固い食品は、
「良く噛んで食べる」
むずかしい問題、
絡み合った問題、
二律背反の問題は、
「良く噛んで食べる」
いかがだろうか。
さて10月をざっと、おさらいしておこう。
営業的にみると、
3つの山がある。
第1が、2番目の週末から「体育の日」にかけての3連休。
9日(土曜日)、10日(日曜日)、11日「体育の日」祝日(月曜日)。
第2は、25日(月曜日)の給料日にかけての3日間。
23日(土曜日)、24日(日曜日)、そして給料日(月曜日)。
そして第3が、10月最後の日「ハロウィン」。
日本でも、盛んにハロウィンを楽しむようになった。
商売にも欠かせないイベントではある。
サーティワンアイスクリームは、
その名のごとく「31日」に引っ掛けて一大プロモーションを仕掛け、
毎年、大成功をおさめている。
この3つの山をメインに、
日本国民が日常の生活に、非日常の行楽に、
人生を楽しむのが10月。
10月は神無月(かんなづき)、「かみなしづき」とも呼ばれる。
ギリシア・ローマと同じように多神教だった古代日本では、
旧暦の10月に出雲大社に全国の神様が集合した。
一年のことを話し合うためだった。
そのため、出雲以外の日本各地には、
神様が居なくなる月となった。
逆に、出雲だけは、この旧暦10月を「神在月」と言った。
日本の月の命名はロマンティックだ。
そんな10月を楽しみたい。
私自身の10月のスケジュールは、
4日にペガサスクラブの政策セミナー、
(渥美先生没後初の政策セミナー、受講)
5日から8日までオースティン・ダラス、
8日から11日までニューヨーク、
11日から15日までロンドン、
15日から19日までパリ。
パリでは世界2大食品フェア「シアル」を訪問。
19日帰国して、
21日、22日と、
コーネル大学RMPジャパン第3期公開講座。
(誰でも受講できるセミナー形式、参加受付中)
コーネル・ジャパンも第3期生31名が決定し、
極めて順調です。
その後、北陸での講演や、
非常勤役員を務めるカスタマーコミュニケーションズ㈱の取締役会、
顧問の会社の会議、
立教大学大学院の講義は2回、
最終週の土日は結城ゼミの第4回合宿、
10月のスケジュールは目白押しで、
休息がとれるのは10月24日(日曜日)だけ。
1カ月に1回くらいの休暇が続く58歳の秋です。
「それも良し」と心に決めて、
「ありがたい」と感謝しつつ、
いざ、10月、神無月へ。
もちろん、この1カ月、31日間を通して、
「良く噛んで食べる」
目がさめている限り、何でも。
「いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「に、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「さん、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
「し、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち」
・・・・・・・・・。
忘れてはいけない。
<結城義晴>
[追伸]
本日、「林廣美の今週のお惣菜」がアップされました。
今週はイカのたっぷり里イモ旨煮。
思わず「美味しそう!」と声が出てしまう、
秋にぴったりのメニューです。
また、 「スーパーマーケットの省エネ環境戦略」の
第2回もアップされています。
改正省エネ法と温室効果ガスについて。
ぜひ、読んでください。