吉野家・安部修仁の「新しい風情の商品」と「損益分岐点半分のフォーマット」開発
今日は「文化の日」。
1946年に日本国憲法が公布された日が、
『祝日法』によって「国民の祝日」とされた。
趣旨は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」こと。
今日は皇居で、
文化勲章授与式が行われる。
今年は、7人。
原子核物理学の有馬朗人さん、
建築家の安藤忠雄さん、
有機合成化学の鈴木章さんと根岸英一さん、
演出家の蜷川幸雄さん、
服飾デザイナーの三宅一生さん、
そして日本中世史の脇田晴子さん。
同時に、秋の叙勲受賞者も発表された。
瑞宝大綬章に、清成忠男先生。
流通問題にも造詣が深い元法政大学総長。
瑞宝章は、こう定められている。
「国及び地方公共団体の公務または公共的な業務に
長年にわたり従事して功労を積み重ね、
成績を挙げた者を表彰する場合に授与する」
勲章を拒否するという人もいるが、
自分のことだったら私もちょっと考えるかもしれないが、
知り合いのこととなると、素直に喜べる。
おめでとうございます。
さて文化の日に、うれしい贈り物。
㈱ロックフィールド社長の岩田弘三さんから次郎柿。
「今年も柿が実った静岡ファクトリー。
緑化優良工場として表彰されました」
ちなみにこのファクトリーのデザインは、
今年、文化勲章受章の安藤忠雄さん。
その静岡ファクトリーの有機栽培品。
美味しくいただきました。
心から感謝。
その文化の日。
「晴れの特異日」でもある。
英語で「singularity」というが、
天気のこととて、当然ながら地域によって異なる。
東京地方では、
1月16日、3月14日、6月1日、そして今日11月3日が、
そのシンギュラリティの日。
ただし、この特異日にも変化がみられる。
11月は、明日の4日、18日、21日が、
「特異日」程度に晴れる場合が多いという。
さて、中国尖閣列島問題につづいて、
ロシアとの北方領土問題が表出。
メドベージェフ大統領の国後島訪問に対して、
前原誠司外務大臣が、
河野雅治駐ロシア大使を帰国させると発表。
「内憂外患」ならず「南憂北患」。
もちろん菅直人首相を始めとする政府の決定だが、
前原外相の「口」に関して、様々な批判も出ている。
エッセイストの米原万里さんは、
元ロシア語同時通訳として活躍した人だが、
その抱腹絶倒エッセイに「有名な小噺」が出てくる。
外交官がyesと言ったら、それはmaybeの意味である。
外交官がmaybeと言ったら、それはnoの意味である。
外交官がnoと言ったら、その人はすでに外交官としては失格である。
女性がnoと言ったら、それはmaybeの意味である。
女性がmaybeと言ったら、それはyesの意味である。
女性がyesと言ったら、その人はすでに女性としては失格である。
ところで最近、女性の外交官が増えてきたが、
では、女性の外交官がyesと言ったら、あるいはnoと言ったら、
それはどういう意味なのだろうか。
前原氏はどうも、外交官としては、
そしてその外交官の長(おさ)としての外相としては、
失格ということになってしまう。
米原さんが紹介してくれた小噺に倣えば、
蓮舫女史あたりを外務大臣にした方がいいかもしれない。
今日の日経MJ一面に特集。
「吉野家、復活へ両面作戦」
9月に販売開始した「牛鍋丼」(並盛280円)と、
この11月1日からスタートした「牛キムチクッパ」(280円)が好調。
メイン商材の「牛丼」そのものは値下げせず、
新商品の「新価格」ですき屋、松屋に対抗する作戦。
安部修仁社長がインタビューに応えて、述懐。
「15%程度売上高が落ち込んだ窮状から、
早期に脱却するための緊急対策だった」
そして、言い切る。
「低価格商品はこれで打ち止めにする」
「結果的に低価格競争に見えるかもしれないが、
価格競争をするつもりはない」
そのうえでのあたらしい方針が二つ。
第1に「新しい風情の商品」、
第2に「新しい店のフォーマット」。
商品に関しては、
「丼物とは違う風情」のものや、
400円台の主力メニューなど。
重要なことは、それによって、
メニューのバラエティが構築される点。
従来の店舗では、今後、
「プロダクト・ミックス」の戦略性が、
強調される。
新フォーマットは、
「損益分岐点が半分」のタイプ。
フォーマットとは「業態の分化した店舗のカタチ」。
不動産費など固定費は、大幅には下げにくい。
そこで、変動費を下げることができる店舗フォーマットが、
視野に入ってこなければならない。
その背景にあるもの。
「市場全体は供給過剰にあり、
デフレの影響もある」
「デフレや市場の縮小に耐えながら利益を出す体質」
安部さんが志向する企業像が、
この言葉に表れている。
ガンガン売上げを伸ばす「売上高至上主義」は、
現在の思考方法ではない。
今日は文化の日。
今月の標語を思いながら、
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」
<結城義晴>