結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年11月17日(水曜日)

スーパーマーケットは「椅子のないレストラン」<林廣美>

朝日新聞のコラム『経済気象台』。
私が好きなコラムニスト遠雷氏が、
「格差が変革のバネである」と題したコラムを書いている。

誤解されそうなことを、
あえて取り上げ、本質を突く。
遠雷氏にはそれがある。

まず「七・五・三現象」を語る。
「中卒者の7割、高卒者の5割、大卒者の3割が、
3年以内に離職すること」

その中で、大企業の離職率は低い。

「従業員が1万人を超える大企業では(中略)、
入社後3年たっても早期退職者数が1%から2%にすぎない」

ここで大学生の数は、
1985年185万人から、2010年288万人に増えた。
進学率は、85年26.5%、2010年54.4%。

ところが大企業の採用数が増えていない。
そこで「入り口」が狭くなり、
「大卒」がかつての「高卒」「中卒」の職場に回される。

小売商業は、もともと「高卒」「中卒」の多い業種だった。
しかし、彼らは大いに戦力となり、
会社に貢献した。

さらに「大卒」も、
どんどん現場に配置された。

遠雷氏は大はやりの「格差論」に反論する。
「格差を論じる人たちは、『かわいそうな若者』を例示し、
問題の所在を、社会や会社の側に求めるが、
『恵まれない若者』がいることがそんなに悪いことだろうか」

遠雷氏は断じる。
「いつの時代でも格差はある」
「残念なことだが、
それが変革へのバネの一つになってきた」。

小売商業は、この格差の中で、
人材を採用し、戦力にしてきた。

「格差がバネ力を生む」
私も賛成だ。

「失われたのは若者のハングリー精神である。
「若者自身に怒りが乏しいことこそが危機である」

結城義晴のひとこと。
「怒りのエネルギーはコンプレックスのエネルギーより、
数段健全なのだ」
さて昨日16日は、東京・台場・タイム24会議室。
「儲かる惣菜マーチャンダイジング」
商人舎主催セミナー。
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まずはご参加くださった皆さんに感謝申し上げたい。
日本フードサービス専門学院長の林廣美先生をゲストに迎え、
結城義晴との二人のビッグセミナー。
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林先生は惣菜分野の第一人者として
30年以上にわたり小売業、メーカー、卸売業を指導されてきた。
その経験と林先生の旺盛な好奇心が、
常に新しい情報とノウハウを形づくってきた。

林先生の話はいつも、
具体的で役に立ち、しかも面白い。

午後1時からスタートした第1講座は、
結城義晴の「食品マーチャンダイジング2010年の総括と2011年の展望」
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さまざまな数値を提示しながら、
2011年の課題と、持論を90分間、展開させていただいた。dscn4597-11.jpg

とりわけ、「業態」から「フォーマット」へと、
マーケットや産業構造が変貌を遂げたことを強調したが、
いかがだったろうか。
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私はいま、何か新しい理論が生まれつつあることを実感している。
もうちょっとというところまで到達した。

本当に、もうちょっと。
本当に、もう少しの努力。

元気は沸いてくる。

「志定まれば、気盛んなり」

第2講座は今回のセミナーの肝。
林廣美先生の独壇場。
「儲からない惣菜売場を儲かるようにするテクニックと戦略」
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惣菜の売り方が変化しているのに、だれも気付いていない。
鉄砲の本体ではなく、弾の強化が大事。
惣菜は仕入れ業ではなく製造業。
そのために惣菜のデザイナーが必要。
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120分間、あっという間に過ぎた。
「やっぱり時間が足りなかった。テキストの量が多かったか」dscn4639-1.jpg
林先生の一言。
林先生には、参加者に伝えたいことが、
あふれんばかりにある。

コーヒー休憩のときには、すっかり日が陰ってきた。dscn4643-11.jpg

東京はこの秋一番の寒さ。空気が澄んでいて夕焼けがきれい。
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そしてセミナー最後のまとめ。
第3講座は二人による徹底討論。
「スーパーマーケットは店全体を惣菜化せよ」dscn4649-1.jpg

スーパーマーケットは「椅子のないレストラン」。
あらゆる売場を一歩調理に近づける努力が必要。
林先生の主張は明快だ。
明快だが、そのテーゼは重い。

「つくってから、売る」のではない。
「売れたら、つくる」
このジャスト・イン・タイムの仕組みを構築する。
そうすれば、不況の時代にも対応できる。
顧客にも満足を提供できる。
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最後は、林先生のお土産。
「クリスマス対策」
「大晦日対策」
「年始対策」

そして「切り落とし量販のすすめ」

実に具体的で実践的なコンサルティング指導が、
マス・カスタマイズで、参加受講者に授けられた。
午後1時から6時までの5時間にわたり、
90名ほどの方にご清聴いただいた。
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関西スーパーマーケット柄谷康夫番長とその仲間たち。

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横浜市西区北幸の隣組・相鉄ローゼンの安達高志隊長とその仲間たち。
心から感謝したい。

「スーパーマーケットは、椅子のないレストラン」
この林先生の言葉が心に残った。
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林先生に心から、感謝。

<結城義晴>


2 件のコメント

  • 結城先生こんにちは。

    先日、結城先生と林先生のセミナーに参加させて頂きました杉浦大西洋という者です。

    小売業全体の苦戦が伝えられる中、小売業の方に道を示し、希望を示す結城先生の言葉は、重みがあると同時にとても励みになります。

    そして、先生とお会いするのは今回で3度目なのですが、いつも会う度に元気とパワーと、そして明日からの希望を頂いています。

    朝晩冷える季節になってまいりましたが、どうぞお体ご自愛下さい。

    僕ら豊橋の小売業は、今からどんどん面白くなっていきます。

    これからも先生から、多くの事を学ばせて頂きますので、どうぞヨロシクお願いいたします。

    この度は、有意義なセミナーをありがとうございました。

  • 杉浦大西洋さま、セミナーご参加、感謝します。
    「元気とパワーと明日からの希望」は、
    セミナー参加者全員でつくりだしたものです。
    それを、今度はお客様に提供して差し上げて下さい。

    「小さな喜び、
    ささやかな幸せ、
    明日への希望」
    それを、お客様に差し上げて下さい。

    「良い生徒に教師はいらない。
    必要なのは友に学ぶ者だけ」

    私はいつも思っています。

    「教える者は、
    教わる者から、
    教えられている」。

    親と子、客と店、
    皆、同じ関係です。

    これからも宜しく。

    ともに学び続けましょう。

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