日本映画興行収入過去最大とイトーヨーカ堂「1グラム1円」おかずバイキングの「バント作戦」
12月に入ると、今年1年のまとめが行われる。
「ユーキャン新語・流行語大賞」
年間大賞に「ゲゲゲの~」
NHK朝のドラマ「ゲゲゲの女房」の原作者・武良布枝さんが受賞。
池上彰さんの「いい質問ですねぇ」。
桃屋の「食べるラー油」、
「イクメン」「AKB48」「「ととのいました」「無縁社会」くらいまではついていけるが、
「~なう」だとか「女子会」となると、初耳。
それで流行語大賞かと思ってしまうが、
NHKの紅白歌合戦でも、
出演者やその歌唱曲名がまるでわからないのだから、
自分が年をとって最新流行についていけてないのか、
あるいは日本社会が多様化、多層化の一途をたどっているのか。
どちらかだと思う。
しかし、「いい質問ですねぇ」というのは大事なフレーズで、
コーネル・ジャパンの講義に来日した先生方も、
どんな質問にも「good question!」を連発する。
私も、これは見習っている。
商売にも、マネジメントにも、
大いに役立つ姿勢だ。
さて、今年の日本映画界。
興業収入が過去最高の見通しが出た。
昨2009年がやはり過去最高で、
年間2109億円だった。
映画界の年間売上げは、
スーパーマーケット企業のトップレベルと一緒。
日本の食品スーパーマーケット企業の2009年度ランキング。
1位 ライフコーポレーション 大阪 4689億円
2位 バロー 岐阜 3449億円
3位 ヨークベニマル 福島 3487億円
4位 マルエツ 東京 3369億円
5位 ベイシア 群馬 3176億円
ここまでが3000億円以上。
6位 オークワ 和歌山 2895億円
7位 万代 大阪 2437億円
8位 サミット 東京 2383億円
9位 東急ストア 東京 2347億円
10位 いなげや 東京 2237億円
11位 マックスバリュ西日本 兵庫 2235億円
12位 カスミ 茨城 2169億円
13位 オーケー 東京 2158億円
14位 ヤオコー 埼玉 2065億円
15位 マルナカ 香川 2050億円
15社が日本の映画界全体の興業収入と同等の年商。
なかなかのものだ。
その映画界、
「ヒットの目安である10億円」超の商品は、今年46本。
昨年は57本だった。
「大ヒットした少数の作品が全体を押し上げた」
これは日経新聞の囲み記事の評。
不況になると、「映画でも見ようか」となる。
「お手軽な娯楽」。
この「手軽さ」は、
言って見れば「豊かな不況」を享受している日本人にとっては、
購買や消費が喚起されやすい。
そして人気は少数の商品に集中する。
昨日の日経MJの囲み記事。
イトーヨーカ堂が「惣菜1グラム1円コーナー」を設けた。
これ、林廣美先生の持論中の持論。
もう、20年も前から提唱されている。
ヨーカ堂の場合、「おかずバイキング」と呼ぶ。
11月27日にオープンした新店。
イトーヨーカドー食品館小豆沢店(東京都板橋区)。
「酢豚」は1グラム1.58円、つまり100グラム158円だが、
「和風鶏唐揚げ」「鶏肉とごぼうのちぎり上げ」「里芋いか煮」など12品目は、
1グラム1円。
「わかりやすい価格設定」
「安心して買える商品」
すなわち「手軽な購買」
これが「1グラム1円」
売場には100グラム、150グラム、200グラム用のパックがある。
顧客は自分で好きな量を盛り付ける。
もちろんこれは小家族、高齢者対応にもなっている。
12月商戦が始まったが、
大きな購買は23日、24日と、
30日、31日。
「ギリギリ消費」
「際の勝負」
しかしそれまでは、
コツコツとバントで点を稼ぐ。
日常の楽しさを、
ちょっとだけ非日常に引き上げて。
日本映画界の過去最高興行収入と、
林流イトーヨーカ堂「1グラム1円・おかずバイキング」の、
わかりやすさと手軽さ。
こういった作戦で、
コツコツと点数を稼いでいく。
それはそれで実に面白い仕事。
“Retail is Detail!”
あの世から、サム・ウォルトンがつぶやいているに違いない。
<結城義晴>