箱根駅伝18年ぶりの早稲田優勝は監督・渡辺康幸の二度の挫折がもたらした!
しつこいようですが、
新年おめでとうございます。
今年の商人舎年賀状です。
2011年も4日目を迎えて、
官公庁は御用始。
民間企業も仕事始めのところが多い。
もちろん小売業・サービス業は、
元旦から「初売り」の店もあれば、
2日から「初荷」の店舗もある。
ご苦労様です。
立教大学は12月22日から冬季期休業に入り、
1月7日に冬季休業終了。
㈱商人舎は12月27日から1月5日まで冬季休業です。
もちろん私は暮の30日まで店回り、
今日から原稿執筆や論文の読み込みなど、
本格的に仕事を始めます。
結城義晴のblog[毎日更新宣言]は、
その名のごとく、年中無休ですが。
さて今朝の朝日新聞一面の左サイドの見出し。
「食品製造元隠し頻発
スーパーPB商品・メーカー委託品」
頭からの決めつけが、朝日らしくて、
なんとも言い難い。
「国内で製造された菓子やパン、清涼飲料といった加工食品で、
食品衛生法で義務づけられた製造工場の表示が不適切な商品が出回っている」
「消費者庁は違法行為が横行している疑いがあるとして、
全国の自治体に監視強化を求める方針だ」
「昨年9月下旬、大手小売りのイオンが大量の記号の届け出漏れを発表」
その後、食品メーカーや小売業から消費者庁に違反報告が相次いだ。
「消費者庁は制度が形骸化している恐れがある」とみて、
「保健所を管轄する全国の自治体に監視強化を求める通知」を出す。
イオンが名指しでやり玉に挙げられた形だが、
ここは各社とも襟を正して、対応すべき。
朝日新聞の記事の結びは以下。
「業者側は『チェックが甘かった』(イオン)などと主張し、
意図的な工場隠しを否定する。
消費者庁も、違反を報告した企業名の公表は『必要がない』としている」
消費者庁は「公表の必要なし」の判断だが、
朝日は勝手に「イオン」を公表して、
スクープにしてしまった。
なによりも食品衛生法の法律違反は、自ら正す。
今後一切、この件に関しての嫌疑がかからないように対処する。
それだけ。
それにしても「業者」と言う朝日新聞の言葉使い、
そして「業者=悪者」の大衆迎合紙的先入観には、うんざりだ。
一方、日経新聞の「産業景気予測特集」
1月から3月の主要30業種の動き。
百貨店は雨。
スーパーも小雨。
コンビニ、ドラッグストアが曇り。
外食、旅行・ホテル、アミューズメントも曇り。
そしてネットサービスが燦然と晴れ。
他の業種では、
雨は建設・セメント。
30業種のなかで雨は百貨店と建設だけ。
逆に晴れは、
プラント・造船、産業工作機械に輸出関連と、
家電、精密機械。
商業・サービス業には厳しい3カ月が続く。
それにしても「スーパー」との一把一絡げは毎度うんざり。
「総合スーパー」は小雨、
「食品スーパー」はコンビニ同様の曇りといったところか。
これも日本標準産業分類に戸籍が鮮明でない「スーパー」の、
ポジショニングの問題。
その日経の特集「2011年の小売業界」。
百貨店は閉店増の半面、大都市周辺での大型化が進む。
コンビニは国内飽和感のなかで海外に活路を求める。
家電量販店は、エコポイントや地デジの政策効果がなくなったとき、
「再編機運が一気に顕在化」する。
いずれも認識は、以前から私が唱えていたことと、ほぼ変わらず。
コモディティ・グッズの業態には、
クリティカル・マスの現象が訪れる。
ノンコモディティ・グッズの百貨店業態では、
立地が限定されてくる。
今日は長編。
最後に昨日、一昨日の箱根駅伝。
27年組・大阪在住さんからのリクエストにお応え。
正式には東京箱根間往復大学駅伝競走という。
早稲田大学競走部が18年ぶりの総合優勝。
18年前を私は覚えている。
瀬古俊彦がコーチで、
第1区に1年生の渡辺康幸を起用し、
ルーキー渡辺は区間賞で貢献した。
今年の1区大迫傑と同じケース。
2区に櫛部静二、4区に花田勝彦、
そして7区にキャプテン武井隆次をフリーエントリーから配置して、
武井が脱兎のごとき疾走で首位に立ち、そのまま逃げ切った。
武井、櫛部、花田は当時、早大三羽烏として名を馳せた。
この時の渡辺が今回の早稲田の監督。
櫛部は城西大学、花田は上武大学の監督として、
箱根駅伝に出場。
さて今回の早稲田優勝の殊勲賞は、
山下り6区の高野寛基。
アクシデントを乗り越えて、首位を奪回した。
まず、2位でスタートし、
首位を捉えてえ並んだ途端、
給水係と絡み合ってしまった。
これは上手にクリアしたものの、
直後、宮ノ下のあたりで、
氷結していた道路で滑って転んだ。
滑りながら見事な受け身をとり、
すぐに立ち直って、走り始めた。
その後、東洋大学の6区市川孝徳と何度も抜きつ抜かれつのデッドヒート。
その後、箱根湯本の平坦なあたりに降りてきてから一気に差をつけて、
小田原まで走り抜けた。
高野は4年生で初めての箱根駅伝。
スタミナには二重丸がつくものの、
スピードは持ちタイム1万メートル29分44秒で、
安定感にも欠ける選手。
しかし早稲田らしい走者ではない。
早稲田は瀬古俊彦の時代から、
上下動の少ないきれいなフォームが特徴。
高野は上半身が強くて、
パワーで走るタイプ。
その早稲田異端児が救いの神になる。
不思議なものだ。
2年連続箱根優勝していた東洋大学は、
エース柏原竜二に似て、
上半身が強くて、両腕を振って走る選手が多い。
只一人、高野と競った市川が早稲田風。
この逆タイプの二人が、
主役の柏原を差し置いて、
第87回箱根駅伝の焦点を担った。
来年からはどのチームも上半身の強化に励み、
その選手を山登り山下りに配するに違いない。
しかし上半身が筋肉質になって体重が増えると、
今度はスピードが落ちる。
長距離走という競技も、簡単ではない。
今回、優勝が決まったあと、
解説者の瀬古俊彦が画面に登場し、
「やっちゃいましたねぇ」
お祝いに大好きなビールを飲んだのだろう、鼻が赤かった。
しかし私は監督の渡辺康幸のことを、
ずっと思っていた。
学生時代は栄光に輝いた選手だったが、
社会人になって怪我に泣いた。
そして挫折した。
渡辺はずっと瀬古のあとを追い続け、
その偶像に負けてきた。
しかしだからこそ、学生駅伝の世界にもどってきた。
そしてここでも7年間、挫折し続けた。
挫折が人間を成長させる。
松永安左エ門の「人間の成長の条件」。
「大病、浪人、投獄」
渡辺康幸の二度の挫折が、
早稲田に18年ぶりの優勝をもたらした。
私は何度もそう考えていた。
渡辺が瀬古を超えるには、
来年、また勝つしかない。
二度の挫折が本当に渡辺を変えたのか。
それが確認されるのが来年の箱根駅伝となる。
ちなみにここまで箱根駅伝に人気が出た裏には、
企業の貢献も大きい。
特別協賛はサッポロビール、
協賛はミズノ、敷島製パン、
2004年から2010年まで本田技研工業、2011年トヨタ自動車。
感謝しておきたい。
<結城義晴>
[追伸]
今年も週の初めには、
「常盤勝美の2週間天気予報」のチェックを忘れずに。