高知サンシャインチェーンのイノベーションを象徴する「カルディア店」2011年頭の全貌
Everybody! Good Monday!
[2011vol5]
今年第5週、今日が1月最後の日にして、
今週から2月に突入する。
その今週。
今日が1月最後の日で、
世界最大の企業ウォルマートも、
わが㈱商人舎も、
2010年の年度末。
今日で締める。
皆さんご苦労様でした。
明日の火曜日から新しい2月が始まる。
そして3日木曜日は、節分。
「節分」(せつぶん)とは、
字のごとく「季節を分ける」こと。
冬と春を分ける日だから節分。
従って、翌4日金曜日が立春。
春が始まる日。
今週は冬と春の境目の週ということになる。
だから「境目、変わり目、節目」を強調する。
節分に食べると縁起が良いとされる太巻き寿司を、
恵方巻(えほうまき)と呼んで、
もう全国的に普及した風習。
もともとは大阪を中心とした関西のもの。
日本人はこのあたり素晴らしく柔軟で、
一気に全国化した。
菅政権や民主党・自民党の国会議員の皆さんも、
恵方巻をたべて、その柔軟性を学びたい。
そして今週は、節分・立春ときて、
5日、6日の土日、
バレンタインデー・モードになだれ込む。
リズムの良い1週間だ。
このリズム感、店にあふれさせたい。
さて先週訪れた高知市。
ここを本拠とする㈱サンシャインチェーン本部は、
今年創業50周年を迎える。
高知主婦の店から昭和61年(1986年)に、商号を変更。
「究極の高質スーパー」 を目指し、直営店舗15店を核に、
高知県、徳島県、愛媛県に28店を展開する。
サンシャインチェーンのエポックメーキングとなったのが、
平成15年(2003年)10月10日に、
「サンシャイン南国店」をリニューアルしたカルディア店。
「高質スーパーマーケット」を掲げるサンシャインチェーンの、
その後のモデル店となった。
イノベーションが起こる企業には、
こういったエポックとなる店が、
必ずある。
かつての関西スーパーなら「広田店」、
そしてサミットの「五反野店」、
ヨークベニマルの「希望が丘店」、
最近になるとヨークベニマルの「柳生店」、
ヤオコーの「狭山店」。
サンシャインチェーンのそれは「カルディア店」。
周辺は激戦地。
サニーマートアクシス、マルナカ南国店、
ナンコクスーパー・パステ店といった有力な競合店がそろう。
エントランスを入った正面には、季節の切り花が並ぶ花卉売場。
地産地消を謳うサンシャインチェーンは、売場の一番手前に、
「太陽市」コーナーを設けている。
ここには地域の野菜、加工食品、飲料などが、
常時、生産者の手でを品揃えされている。
農家の方大募集!と参画者をつのるPOP 。
チョジャン、ヤンニョンジャン等韓国の手造り調味料も並ぶ。
四方竹(塩抜き)200円。
消費期限、生産者の名前が印字されている。
私の故郷・福岡県小笠木でもつくるが、
これは本当においしい。
地場の卵、加工品、乾物、飲料など、品揃えは豊富。
節分用の「鬼除け商品」はカゴ盛り。
青果部門への導入部。天井の装飾が美しい。
青果部門は、はじめに季節のカットフルーツを展開。
オレンジ、イチゴ、キーウィフルーツが入ったカップフルーツは298円。
カップには、「今、良く売れています」のおすすめコピー。
オープンケースに並べられたカゴ盛りのフルーツとゼリー。
什器の上のディスプレイが楽しい。
反対側の青果コーナー。
タイムセールのトマトを担当スタッフがアナウンス。
主通路では、試食台を置いて、かんきつ類を販促。
この試食が的確で、衛生的で、
しかも何と言っても、おいしい。
果物担当がおすすめするナタデココヨーグルトゼリーは、
カゴに投げ入れ販売。
根菜類の平台コーナー。
木製什器にカゴを利用してジャガイモを販売。
「青果コーナー曜日別イベント」のPOP。
木曜のこの日は「ハプニングセール」。
「ハプニングセール」の展開では、
トップボードのバニーガールが眼をひく。
京ネギ1本55円、白菜1/4カット55円。
「地産地消」をテーマに、地元のトマト、ネギを展開。
夜須のフルーツトマト「土佐×竜馬」398円。
円形の多段什器を使ってごぼう、にんにく、もやし、唐辛子などを販売。
野菜売場の先には、鮮魚売場が見える。
鮮魚売場を反対側から見たところ。
鮮魚部門の寿司コーナー。
円形の対面販売の「SEA COOKING」のコーナー。
対面コーナーでは実演販売を行う。
これをサンシャインでは「ライブ販売」と称する。
鮮魚売場主通路のオープンケースでは「1グラム1円セール」を展開。
朝焼かつおたたき、マグロの小切れ、子持ちカレイの切身、赤魚かたみなどを、
激安と銘打ちプロモーション。
充実した地元産の干物コーナー。
上段ではカゴ盛りで珍味を販売。
沖うるめ干し5本で105円。
サンシャインチェーンがお勧めする「地産地消」は、
同じPOPで統一されている。
塩干売場にある「超鮮度宣言」のPOP。
サンシャインチェーンでは新しい商品が入荷したら、
それ以前の商品を割引販売する。
「BUTCHER SHOP」のサインが掲げられた精肉売場。
牛肉に力を入れる。
カルディアの鮮度宣言と題し、
当日売り切り!翌日全品割引をアピール。
牛肉を3つのランキングに分け、
☆マークのシールで表示販売する。
5ツ星シールが張られた和牛肩焼肉A-4等級商品。
栃木県産大盛り一人前150グラム880円、
北海道産三人前300グラム1680円など。
国内産牛とオーストラリア産牛のステーキの試食販売。
カルディア店ではいたる所で、試食販売を行っている。
「本日はミンチの日!!」が目立つ。
引き肉はパックの中身が見えるように、
「透明のトレイ」を使用している。
あくまで、顧客に正直な商売に徹する。
主通路に設けられたメニュー提案コーナー。
専門スタッフが毎日、試食販売を行っている。
この日はハンバーガーのレシピと食材提案。
バンズやイングリッシュマフィン、大玉トマト、手造りハンバーグが並ぶ。
オーストラリア産牛肉を使った「お肉屋さんお手造り生ハンバーグ」は1個100円。
ハム・ソー売場でも「超鮮度宣言」。
精肉売場から続く惣菜売場。
「シェフ手造り和惣菜バイキング」は100グラム168円で展開。
てんぷら・フライコーナー。
今後の課題は、この惣菜コーナーだ。
価格訴求の本日のおすすめ品。
出来立て商品を販売する「シェフの実演コーナー」。
AM9:30 ビビンバ丼、10:00 オムライス、11:00 丼各種など、
黒板に手書きで告知している。
この黒板のペインティングも、
例えば、シアトルの「メトロポリタン」のレベルまで、
引き上げたい。
昨年からトレーダージョーが、
この点のテクニカルレベルを全店で強化している。
鮮魚の寿司と惣菜売場の寿司は、
比較されることになるが、
顧客には店内競争は歓迎される。
そして最新のHOT調理麺。
セブン-イレブンやローソンが最重点にして開発しているデザート売場。
ピンクのデコレーションで華やかに演出。
ここでは、おいしさと話題づくりがポイント。
デイリー売場ではTVでも話題の「B級グルメフェア」を展開。
毎週木曜はパンの日。3割引きで販売する。
冷凍食品は平オープンケースで販売。照明が特徴的。
㈱プログレス・デザインの西川隆さんデザインの天井の絵も美しい。
野菜ジュースコーナー。
「野菜高騰中 栄養を野菜ジュースで取りませんか!」とアピール。
菓子売場の中通路柱回りに置かれたカラフルな子供用椅子。
その正面にはテレビが置かれ、
子供番組が放映されている。
子供づれのお客にとって、
安心して買い物ができるよう設けられた。
酒売場にはビール、清酒、焼酎に、
さらにサンシャイン開発ワインも並べられている。
ワインの開発はサンシャインにとっても、
重要なテーマ資源だ。
飲む果実!とスタッフの顔写真入りでリキュールを訴求。
ゴンドラの横に置かれたリーチインケースでは、
ワイン、日本酒を冷蔵販売。
レジの照明は冷凍食品コーナーと同じもの。
レジのフレンドリーさは、サンシャインの特長。
店全体が息づいている。
それはすべての人々が、
嬉々として仕事しているからだ。
最後に一言。
サンシャインチェーンから広まった「コト販売」と「コトPOP」。
「モノからコトへ」とは、
サービス・マーケティングの基本。
マーケティングの権威フィリップ・コトラー先生いうところの、
「有形財」と「無形財」。
つまり形ある商品から形なき商品への転換。
コトラーは「企業が提供するもの」を4つに分ける。
(1)純粋な有形財
(2)サービスを伴った有形財
(3)付随的製品とサービスを伴う主要サービス
(4)純粋サービス
「コト販売」の「コト」とは、
ここでいう(2)サービスを伴った有形財のこと。
スーパーマーケットの品揃えに、
このサービスを伴った有形財が増えている。
いや、ヤオコーやクイーンズ伊勢丹や成城石井は、
サービスを伴った有形財のスーパーマーケットを目指している。
そしてサンシャインもこのカルディアで、
そんな店を創造しようとしたのだ。
ただし、こういった商品群は、
「技術的に高度で、複雑な製品ほど、
顧客サービスへの依存度が高まる」
これもコトラーの分析。
私はさらにこの方向は、
(3)の「付随的製品とサービスを伴う主要サービス」へと、
拡大されると考えている。
アメリカを見ていると、それがよく理解できる。
ホールフーズマーケットのオーガニックへの取り組み、
ウェグマンズのご当地グルメへの取り組みは、
まさにそれだ。
オーガニックやグルメとは、
商品を伴うサービス概念なのだ。
サミットも、ヨークベニマルも、ヤオコーも、
このトレンドを捉えている。
従って、「コトPOP」は、
そういった商品群にこそ必須のプレゼンテーション・ツールで、
それ以外の純粋な有形財には、むしろ無駄なものとなる。
このあたり「知識商人」独壇場の世界となる。
私は、まずサンシャイン社長の川崎博道さんが、
誰よりも知識商人なのだと思う。
そして川崎さんをはじめとする幹部・マネジャー諸君が、
知識商人への努力を怠らず、
さらにそれを全従業員に伝染させ続けているからこそ、
サンシャインの店づくりは、息づいているのだと思う。
素晴らしい店「サンシャイン・カルディア」に、
祝福と感謝の言葉を贈ろう。
では、今週も。
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>
2 件のコメント
4年前に、今回の結城先生が尋ねられた、これらの店舗を見学する機会がありました。その時に感じたことは、店舗の出来栄えより、34万人の人口で、人口密度が1100人程度の商圏の中で、サンシャインとサニーマートのアッパー志向の店舗が共存できるのか?という疑問でした。ちょうど、仙台もベニマルを中心として各社が、これもアップベーシック的な競争をしていました。高知は、どの企業も「サンシャイン化」しているようでしたし、仙台ではどの企業も「ベニマル化」しておりました。リードする企業と、追従する企業の違いは、真似をされても「真似できない点」がリード企業にあるようです。それは「従業員のモチベーションの高さ」です。外見は簡単に真似ることはできますが、日々の店舗運営の差は歴然でした。サンシャインもベニマルもその点では、他社を大きくリードしていることは否定できません。ただ、消費者の立場から見ると、奇抜な演出はすぐ飽きますし、結局毎日の買い物では「価格」と「売る人の意思がつまった商品」があれば買ってしまいます。その意味で、サンシャインは両方を備えているので、現在がある気がします。でも、価格は大都市に比べると割高であることは否めません。高知も仙台も、オーケーのような業態(私は、業務スーパーも兼ね備えたディスカウントと思っています)が攻めてきたらまた、大きく変化すると思われます。マルナカは、結局、「安かろう・悪かろう」だったので、脅威にはなっていなかったのだと思います。
inoueさま、コメントありがとうございます。
モチベーションの高さがサンシャインの鍵を握っています。
その通り。
高知はサンシャイン化していき、
仙台はベニマル化していく。
面白い観察です。
アメリカのスーパーマーケットは、
ウェグマンズ化、あるいはホールフーズ化しています。
だからこそオーケーのようなエブリデーロープライスが、
生きてきます。
アメリカではもちろんウォルマートやアルディです。
競争の構図は日米良く似ています。