建国記念の日とバレンタイン・デーの週、札幌講演とスーパーアークス最新店・月寒東店の紹介から始めよう
Everybody! Good Monday!
[vol6]
2011年第6週、2月第2週の始まり。
節分・立春が終わり、
次は、バレンタイン・デー。
それが来週月曜日の14日。
今週は、金曜日の11日が建国記念の日。
例によって祝日法では、
「建国をしのび、国を愛する心を養う」と規定されているが、
この建国記念の日の祝日だけは、
他と違って「政令で定める日」。
「政令」(せいれい)とは、「内閣が制定する成文法」。
行政機関が制定する中で最も高い位置づけの成文法である。
それだけ重い意味が込められている。
2月11日の祝日は戦前にもあって、
「紀元節」と呼ばれた。
この紀元節は日本の初代天皇・神武天皇即位の日とされ、
それが『日本書紀』に記されている。
我々の国が生れた最初の日を記念して、
「建国をしのび、国を愛する心を養う」。
極めて重要な日だが、
一般人は続いて土曜、日曜と三連休。
2月最大の商機がやってくる。
従って建国記念の日には、
バレンタイン・デーの前哨戦が展開される。
バレンタイン・デーは、世界的な「男女の愛の誓いの日」。
だから「国への愛」から「男女の愛」への4日間となるが、
このあたり、わが国民性は柔軟そのもの。
まあ、商業はその柔軟な国民性を「是」として、
これ、サービスに努めるのだから、
目くじら立てる必要もないとは思うが、
「知識商人」として知っておくべきことではある。
さて、土日が明けたら、
様々なニュースが飛び交う。
大相撲春場所が中止とされ、
中京地区では、
名古屋市長に河村たかし氏が再選、
愛知県知事には大村秀章氏が初当選。
どちらも民主党・自民党の既成二大政党とは、
敵対すらしている首長の誕生となった。
河村・大村の両「村」が、
では問題解決的かと言えば、そうでもなく、
「柔軟」を特徴とする日本の大衆世論に後押しされた形。
一部新聞は、「小泉旋風」に似た現象とまで言い切る。
4月の統一地方選が、どう転ぶか、
我々はどう、転ばせるか。
こちらは、大相撲に対するものと一緒では困る。
「岡目八目評論家」や「突然的憤り熱烈ファン」では許されぬ。
まさに今週の建国記念の日を迎えるにふさわしい国民とならねば。
私は、そう思う。
さて先週の土曜日、2月5日は、
札幌市の総合商研㈱のコミュニティカレッジで講演。
お招きくださった総合商研は、
小売業をはじめとする企業の販売促進を支援する企業。
ジャスダックに上場し、今年創立40周年を迎える。
コミュニティカレッジとは社員のスキルアップを目的に、
マーケティング&マネジメントをテーマにしたセミナーを、
年5回ほど開催するというもの。
取引先と社員の皆さんの100名ほどが参加する。
その110回目を担当させていただいた。
はじめに常務取締役の菊池健司さんがご挨拶。
菊池さんはダイエーの出身。
したがって流通業に人脈が多く、
小売業の現場実務をよくわかっている。
事務局から与えられた私の講演タイトルは、
「不況に生き残る商人となるために」。
「小売業の盛衰」と「イノベーション」に関する最新の考え方を語った。
まず「不況」の定義から。
「不況」とは「景気の悪いこと」『広辞苑』
当たり前の定義。
「景気後退」は、
「景気循環の局面のうち、景気が下降している状態」
どちらも、英語では「リセッション」(Recession)という。
景気は循環する。
これが最初のテーゼ。
その上で景気循環の考え方は二つ。
第1は、拡張局面と後退局面の2局面に分ける考え方
第2は、回復⇒好況⇒後退⇒不況の4局面に分割する考え方
この景気後退の中で、
商人はいかにあるべきか。
私は「蛻変」をお薦めした。
小売業やフードサービス業、サービス業の場合、
業種から業態へと変わってきたが、
いま、フォーマットへの転換が果たされている。
私の持論。
このあたり、丁寧に、丹念に、
2時間にわたりレクチャーした。
最後は、「イノベーション」の考え方。
いかがだったろうか。
ご清聴を感謝したい。
講演には、㈱ラルズの二人の常務もご参加くださった。
猫宮和久さん(右)と古川公一さん(左)。
日本アクセス北海道㈱の4人も駆け付けてくれた。
皆さん、商人舎アメリカツアーに参加してくれた商人舎ファミリー。
右から営業企画部部長の武隈一弘さん、
同課長の阿部和雄さん、
販促第一チーム課長の犬養佳史さん、
営業企画部の石井敬司さん。
吟醸酒と白ワインのお土産、ありがとうございました。
そして、最後の最後に総合商研社長の片岡廣幸さんと記念写真。
さてさて月曜日は盛りだくさん。
金曜にお約束したスーパーアークスのリポート。
月寒東店は昨年10月28日にオープン。
㈱ラルズは平成18年11月の菊水店から、
新業態「スーパーアークス」を始めたが、
月寒東店は、その6店目の新店となる。
売場面積は600坪。年商24億円の予算だが、
近隣にサッポロドラッグストアーが出店したため、
日用雑貨が奪われ、現在22億円超の推移。
店内に入ると、入口には黒いゲートが設けられている。
これはラルズの特長。
ゲートを入ると右手のプロモーションスペースでは、
バレンタイン・デーをテーマにした展開。
主通路沿いの左側に青果売場、右側が日配売場。
まず、目に入るのは、正面に並べられたリンゴ大量陳列の平台。
裏側もエンドでも徹底してリンゴを訴求。
りんごジュースの関連販売を行い、試飲させている。
壁面は「野菜市場」と銘打たれた青果売場。
青果部門は15%の売上構成比。
一番手前には、今日売りたい広告アイテムをボリューム陳列。
キャベツ1個135円、生シイタケ75円、トマト4個パック195円と安い。
長い陳列線。トマト、アボカドなどのサラダ野菜、葉物野菜が並ぶ。
春野菜のコーナー。
生京ブキ、行者ニンニク、セリ、しろかぶ、菜の花など品種が多い。
バナナとイチゴの平台。「イチゴフェア」を開催中。
ねぎ、キノコ、白菜など鍋材料をテーマにした平台。
ねぎは曲がりねぎ、長ねぎ、小ねぎ、下仁田ねぎ、軟白ねぎの
一本売り、束売りと種類が豊富。
こちらは中華フェアをテーマに豆苗、キャベツ、ナスなどを平台で展開。
平台は何かしらのプロモーションテーマを設けている。
「わけあり野菜」コーナー。
「不揃い、変型、キズ、スレがありますが美味しさは変わりません」と書かれている。
お客の生活防衛意識とMOTTAINAI意識に訴える。
青果売場の平台の先には、日配の平ケース。
「ガンバレ受験生」をテーマに、
ラーメン、牛丼、ぎょうざなど夜食メニューを品揃え。
鮮魚売場の平ケースでは鍋材料を展開。
札幌だけに旬の魚が豊富。
鮮魚部門の売上構成比は10%。
青果売場の先に精肉、惣菜と続く。
鮮魚売場では、各種の鍋セットを品揃えする。
「パエリヤ&ブイヤベース」と提案型鍋メニューもアピール。
鮮魚売場の対面に設置された「クッキングインフォメーション」。
あったかお鍋のレシピを紹介し、試食させている。
精肉部門は稼ぎ頭。
精肉売場でも鍋メニューを提案する。
精肉売場とグロサリー売場の間の主通路では鍋調味料を山積み。
売場全体で鍋メニューをプロモーションする。
同じく主通路にあるプロモーションコーナー。
新製品をアピール。
牛乳売場。下段はケース陳列。
惣菜売場に続く平ケースでは加工肉を販売。
惣菜部門の売上構成比は8%。
2月3日は、恵方巻きを売りまくり、
部門全体で130万円を売り上げた。
チルド飲料、デザートの売場。
惣菜売場から続くソフトドリンクコーナー。
カラーリングが美しい。
常温のソフトドリンクコーナー。
缶飲料を50円で販売している。
パン売場のエンドでは和菓子を展開。
冷凍食品売場からお酒コーナーに続く。
酒コーナーは力を入れている。
CGCブランド、オーガニック、輸入、国産とワインは充実している。
地酒にも力を入れている。
新潟の銘酒を楽しむをテーマにしたエンド。
サッポロドラッグストアーの競合店出店で、雑貨はやや苦戦中。
「家族だんらんのあったかフェア」をテーマに、
たこ焼き器、蒸し器などの調理器具、関連商材をまとめたコーナー。
スーパーマーケットならではの展開を模索中だ。
レジとサービスカウンター。
オレンジのサインが特徴になっている。
ラルズは今年1月から配送料サービスを始めた。
2500円以上買い上げのお客を対象に、
1箱250円、2箱目は100円の有料で商品を届ける。
身障者、妊婦、高齢者のお客には1箱目は無料でサービスする。
スーパーアークスのコンセプトは3つ。
スーパーライフ、スーパーフレッシュ、スーパーバリュー。
それが良く表現された「フォーマット」となってきた。
「ビッグハウス」とは異なるバナー。
ラルズが、これをものにし始めたことは、
6番目の最新店「月寒東店600坪」が示している。
先週お届けした高知のサンシャインチェーン。
それから北海道のアークスのラルズ。
一方はノンコモディティ・スーパーマーケット。
一方は、ディスカウント・スーパーマーケット。
どちらもマルチ・バナー戦略を採用している。
時代の変化に対して、
小売企業が意思を表明し、
それを具体的な形にする。
それが柔軟な国民の生活を支え、
柔軟な消費者の心をつかむ。
国民の心は柔軟であっても、
企業側の姿勢は堅固でなければならない。
建国記念の日を迎える週に、
このことは確認しておこう。
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>
2 件のコメント
北海道と沖縄は、日本の最北端と最南端ですが、不思議に似通った点があります。それは、どちらも、季節が無いのです。と、思っていましたが、毎回、売り場には、その季節の変化が、本州以上に鮮明に表現されているのに驚きます。コープさっぽろ、アークス、ラッキーと、いずれも面白い展開です。イオンもたじたじ。限られた物流網を、効率よく使い、本土より早い季節展開に驚かされます。北海道はすでに「春」が゛イメージされています。一方沖縄も暑い「夏」だけではないことが売り場からアピールされています。四季がはっきりしている本州の売り場に「四季の移り変わり」がもっとアピールされてもいいと感じます。「限られた季節」「限られた物流」に、最大限の知恵を絞って、生き残りにかける「従業員のモチベーション」の高さにいつも敬服させられます。ここは、結城先生がおっしゃるように、四国も同様です。なぜか、地方の方が、何物にも流されず、企業の方向性がはっきり見えるのはなぜなのでしょうか。勉強させられます。
inoueさま、ありがとう。
「変革は僻地より興る」
長らく観察していて、私もそう思います。
働く人々のモチベーションが、
その変革をもたらすのでしょう。
そのモチベーションを保障するトップの意思が、
働く人々をイノベーションに駆り立てるのでしょう。
勉強することばかりです。