スーパーマーケット・トレードショー中日の盛況、レセプションパーティと元リッツ・カールトン高野登さんの講演
「分かりやすい議論には、どこかにうそがある」。
朝日新聞のコラム『経済気象台』で、
コラムニスト山人氏が書いている。
この指摘、ほんとうに鋭い。
「人口減少」
⇒「労働力や国内市場の縮小」
⇒「経済成長を押し下げデフレをもたらす」
⇒「日本経済の停滞は不可避だ」
この主張は、わかりやすい。
わかりやす過ぎて、怪しい。
「自動車が売れない主因は人口減少である、
といえば皆が納得するし、海外進出にも踏ん切りがつく」
このわかりやすい定説は、間違いだと断じる。
1980年から2000年代の数字を上げる。
「実質経済成長率(年平均)は4.7%から0.5%まで4.2ポイント低下」
その内訳は、
「労働投入の低下分1.6%」
「付加価値生産性上昇率の低下分は2.6%」
「生産効率の低下や、高付加価値・高収益の製品やサービスを生み出す能力の劣化が、
成長力をより大きく低下させた」
ここには「多様な要因」が絡み合っている。
「不確実性の高まりに身構える企業が投資を過度に抑えている」
⇒「技術革新を遅らせている」
「政府の規制や硬直的な市場慣行、既得権益の保護」
⇒「市場をゆがめ、起業や事業革新を抑制している」
「労働者の能力を正しく活用していない」
⇒「活力と成長力を大きくそいでいる」
「退職金制度など終身雇用を前提とした仕組み」
⇒「労働力の成長分野への移動を抑制している」
結論は、前向き。
「日本経済の成長力を上げ、
国内市場を拡大する手立ては、
まだある」
「人口減少の影響を強調しすぎることは、
その可能性を封じ込めてしまう」
学者やコンサルタントが、
自分の研究成果やコンサルティング内容を、
認めさせ、押し付けようとするときの常とう手段が、
この類いの議論。
易しいことを難しく言う輩も多いが、
反対に「わかりやすい議論には、どこかにうそがある」
コラムニスト山人氏の言葉、
忘れてはいけない。
さてスーパーマーケット・トレードショー2日目。
過去最高の来場者を迎えた。
来場者数、初日の8日は2万6037名(昨年は2万4528名)
昨日中日の9日は3万1270名(昨年は3万0431名)
そんな盛況の会場で、
谷口優先生(左)とそのご一行とばったり。
谷口先生はジャスコの副社長を務められたのち、
四日市大学経済学部教授にご就任され、ご活躍中。
㈱成城石井社長の原昭彦さん。
コーネル・ジャパン「奇跡の二期生」。
就任半年でご苦労も多いと思うが、
若さを武器に、頑張ってほしい。
㈱プログレスデザインのブース。
㈱アイダスグループ代表鈴木國朗さんに遭遇。
鈴木さんは、スーパーマーケット経営のトップコンサルタント。
特にプロモーションとプレゼンテーションのスペシャリスト。
一方、プログレスデザインは、
スーパーマーケットの店舗デザインを総合的にプロデュースしている。
社長の西川隆さんと鈴木先生、三人で写真。
西川さんは、5月の商人舎ラスベガス視察ツアーへの参加を表明。
ぜひ一緒に学びましょう。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科結城ゼミの渋木克久さんが来場。
一緒に会場をまわる。
午後3時からは、コーネル・ジャパンの特別講座。
ビッグサイト会議室棟609号室に、一期生、二期生、三期生、
そして関係者が90名ほど集まった。
コーネル・ジャパン副学長として、
参加の皆さんに、
一言だけあいさつ。
特別講座の講師は高野登さん。
ご存知、元ザ・リッツ・カールトン日本支社長。
現在は独立され、人とホスピタリティ研究所代表。
テーマは「経営者層にとって大切なリーダーシップ論」
リーダーとしてのコミュニケーションについて90分話していただいた。
リッツ・カールトンには、
「リーダーシップセンター」という企業内大学がある。
これはコーネル大学RMPジャパンと同じ機能。
そこでリーダーは230時間、
社員は250時間の研修を受ける。
「人は自然に育つかと言えば、育たない。
育てたいと思い、育てなければ、育たない」
「水を飲みたいと思ってくれないと、飲みはしない。
しかし飲みたいと思うときには、
井戸を一杯用意しておかねばならない」
リーダーの養成や人材の教育とは、そんなもの。
「何を一番恐れているか」
それは「自分の従業員を作業員にしてしまうこと」。
講義の後は名刺交換を求めて長蛇の列ができた。
有益で実践的なお話をしていただいた。
心から、感謝したい。
講義を聞き終え、二期生3人と記念撮影。
実はこの3人、8日夜のコーネル・ジャパン懇親会のあと、
二次会、三次会に繰り出し、明け方4時半まで討論していたつわものたち。
左から昭和産業㈱湯沢公朗さん、㈱平和堂の夏原陽平さん、
そして㈱関西スーパーマーケットの柄谷康夫さん。
18時から恒例のレセプションパーティ。
開会に先立ち、「チェッカー技能検定試験1級合格者」の紹介。
これも恒例となった。
1級合格という狭き門をくぐりぬけた第30回の合格者が登壇。
会場からは大きな拍手が起こった。
「第45回スーパーマーケット・トレードショー2011」レセプションパーティは、
横山清さんの挨拶で始まった。
社団法人新日本スーパーマーケット協会会長、
トレードショー実行委員長、
㈱アークス社長。
刷り上がったばかりの日本食糧新聞をもちだし、
その巻頭の『地域力』を語った。
「いま、地域から中央に、
怒涛のごとき波が起こっている」
「それが日本の国民生活を支え、
経済を循環させる」
力強い開会の挨拶だった。
続いて協会名誉会長の清水信次さんのご挨拶。
清水節は健在。
「警察も消防も病院もみな、社会のインフラだが、
これらは困ったときに必要になる」
「スーパーマーケットもこれらとおんなじインフラだが、
毎日の生活のために必要とされる」
「万が一に、すべての商売がなくなるとしても、
最後になくなるのがスーパーマーケットだ。
そんなありがたいスーパーマーケットをやっているんだから、
みんな、元気出して、やりましょう」
85歳の清水さんの短いスピーチから、
ものすごく大きな元気をもらった。
心から感謝。
来賓あいさつは、
日本スーパーマーケット協会会長の川野幸夫さん。
もちろん㈱ヤオコー会長。
「日本の食品スーパーマーケットに戸籍をつくる。
そのために横山会長と力を合わせて、
産業の発展につくしていきたい」
「昨年4月からスーパーマーケット3協会が協力して、
スーパーマーケット販売統計を発表し始めた。
初めてのことだが、業界が一体となって歩みだした」
川野さんは、言わねばならないことは、
必ず言いつくす。
それが、とてもいい。
清水、横山、川野。
3人揃い踏み。
このスピーチだけでも、
多くの方々に聞いてほしいと思った。
さて乾杯の音頭は、元マラソンランナーの高橋尚子さん。
ご存知、シドニー・オリンピックの金メダリスト、Qちゃん。
出展企業を代表して挨拶したのは、
㈱寺岡精工の寺岡和治社長。
レセプションパーティでは、これも恒例となった『ベスト店長大賞』授賞式。
今年は第3回目で、都合6人のベスト店長が誕生したことになる。
今年の1人目は㈱いちやまマート玉穂店の甘利元店長。
もう一人は、㈱ツルヤ上田中央店の栗林敏夫店長。
横山会長からそれぞれに表彰状と記念トロフィが贈られた。
いちやまマート三科雅嗣社長、
ツルヤの掛川健三社長も登壇し、
記念撮影会。
おめでとう。
私も心から祝福したい。
店長の地位を上げることが、
すなわち小売業の産業としてのポジショニングを構築することにつながる。
それが商業の現代化にも貢献する。
私は強くそう、信じる。
そして、いよいよ懇親。
九州電力㈱監査役の村山紘一さん。
福岡財界が応援する優秀な女性の話。
私にもご紹介くださる。
ニッコーレン㈱会長の本間謙伍さん(左)と福島工業㈱社長の福島裕さん。
福島さんは、社団法人日本厨房工業会会長でもあって、
小売業とともに外食産業の店舗設備、厨房設備の面でも、
大きな実績をもち、業界に深く関係している。
本間さんは、コーネル・ジャパン生みの親。
ご期待に応えて、頑張ります。
コーネル・ジャパン二期生の㈱菱食・浅沼和彦さんと久々に対面。
現在、3月の4社合併プロジェクトに参加中との報告を受けた。
ブルーチップ㈱常務の宮本洋一さんと、
コーネル・ジャパン事務局の太田美和子さん。
太田さんはブルーチップ出身のOG。
私の隣から、独立行政法人産業技術総合研究所理事の河津司さん、
ニッコーレンの本間さんと同社長の実生明男さん。
実生さんは、コーネル・ジャパン2期生。
河津さんは一期生オブザーバーにして、講師。
中締めは、協会副会長で㈱紀ノ国屋ファウンダーの増井徳太郎さん。
今年は「イチ、ニ、サンで手をあげ、隣の人とハイタッチ」で締めた。
会場は大いに盛りあがった。
最後の最後に、いつものことだが、
横山会長と握手。
北海道と東京を股にかけて、
会社やグループの経営と協会やトレードショーの運営を両立させる。
その上、札幌や北海道の地域活動にも貢献。
本当に、八面六臂のご活躍で、なおかつお元気。
私も、感服、脱帽。
見習わねばならない。
固く握手しているところへ、
㈱スズキヤ代表の中村洋子さんご登場。
昨日は黒のスーツで颯爽と闊歩されていたが、
今日はあでやかなお召し物。
美しい。
今年も、個人的にではあるが、
洋子社長にベストドレッサー大賞を差し上げたい。
スーパーマーケット・トレードショー2011。
中日も盛大に、順調に、終わった。
このスーパーマーケット・トレードショーのように、
日本中のスーパーマーケットの店頭が、
活気づいていますように。
私は心の中で、祈った。
「みんな、頑張れ!」
<結城義晴>