「正常・日常」の尊さ・大切さを、私たちは今回の震災で知った!
東北関東大震災から2週間経った昨日。
私にとって、とてもうれしいニュースがあった。
大学時代の1年先輩。
石巻市田道町の阿部恵昭さんに連絡が取れた。
阿部さんの30年前と変わらない若々しい声が、
携帯電話の向こうから聞こえてきた。
阿部さんご自身も奥さんも、みんな元気。
ぐちゃぐちゃになったけれど家に住んでいて、
毎日、仕事しているそうだ。
ほんとうにうれしい。
石巻というと、今回の震災でも、
最も大きな被害を受けた地区のひとつ。
「石巻・女川の震災地区」というブログには、
被災状況の写真が、これでもかと掲載されている。
私は新聞で阿部さんの名前を探した。
インターネットに載っている手書きの避難所名簿を、
一つ一つ確認した。
どこにも名前は見当たらなかった。
しかし、阿部さんは無事だった。
無事な方が当たり前だった。
昨日も書いたけれど、
新聞やテレビなど、インターネットの情報も、
「異常」な情報ばかり取り上げる。
すると「正常」な情報は、
かき消されてしまう。
「異常」な情報だけが強調されて、
「正常」で有益な情報は表に出にくい。
だからみんな、
「異常」が「正常」だと思いこんでしまう。
マスコミ人が最初に教えられること。
犬が人間を噛んでもニュースにはならないが、
人間が犬を噛んだらニュースになる。
私自身もこれまで、ついつい、
そんなモノの見方、取り上げ方をしてきた。
人が知らないこと、
人が知っていることの中で、
ほんとうは違っていること。
そんなことを書く。
すると「面白い」「興味深い」などの、
評価を得ることができる。
しかし「正常」や「日常」の
尊さ・大切さを、
私たちは、
今回の震災で知った。
商売もビジネスも、
正常・日常の中で繁栄する。
ただし現在の報道の多くは、
日本中で人間が犬を噛んでいるかのごときもの。
それが海外での誤解と錯覚につながる。
風評被害を大きくする。
「東北地方太平洋沖地震・被災地情報地図」
3月25日12時段階の被害状況。
避難者 24万人超
・自衛隊 / 106,200人体制で活動中
・消防庁 / 緊急消防援助隊 約2,700人が活動中
・海外支援 / 130の国や地域、33の国際機関
・海外支援 / 14カ国、約800人の救助隊が活動中
・海外支援 / 米軍12,750人の隊員が活動中
宮城県全体の状況。
人口 / 2,347,300人
世帯 / 915,196戸
避難所数 / 652カ所
避難者数 / 88,619人
死亡者数 / 6,097人
不明者数 / 6,636人
建物、全壊・半壊の規模は甚大。
そして阿部さんの在住する石巻市。
人口 / 160,336人
世帯 / 60,905戸
津波被害甚大
死亡者数 / 1,946人
不明者数 / 2,797人
私自身、石巻は、
全滅に近いのではないかと錯覚し、
悲観していた。
しかし16万人のうち、
死亡者・不明者4743人。
実際、凄い数字だ。
でも無事な人の方が圧倒的に多かったし、
私の先輩の阿部さんは大丈夫だった。
亡くなられた皆さんのご冥福を祈りつつ、
阿部さんの無事を喜びたい。
さて、朝日新聞の『声』欄。
一般の人の投稿。
比企修一さん、62歳、無職。
10年ほど前の東京電力運営「電力館」での小さなやり取り。
「小学生が10人ほど見学に来てきた」
その中の1人が案内役の女性に質問した。
災害時の原発の多重の安全対策について。
小学生「これが壊れたら?」
女性「その場合はこれが働くので大丈夫です」
小学生「じゃあ、もしそれも壊れたらどうするんですか?」
女性「その場合にはこれが働くので大丈夫です」
小学生「それも壊れたら?」
女性「そんなことはありません!」
「説明に窮した女性はとうとう怒り出してしまった」という。
多分この女性、「イラ菅」状態だったに違いない。
いま、プロの書き手よりも一般の人々の文章やコメントが、
新鮮で面白い。
一般人は、「正常」「日常」に立脚している。
プロは、「異常」「非日常」しか頭にない。
もうみんな、
「人間が犬を噛む話」に、
うんざりしている。
もちろん重大で有益なニュースは不可欠。
それを報道することも、
それを知識として身につけ、
情報として知っておくことも。
これは誤解のないように。
「以って自戒とすべし」
今日も一日、優しく強く。
今日も一日、元気と勇気。
今週も、私のブログにやってきてくださって、
心から感謝。
良い週末を迎えてください。
ジジではないが、
みなさんが安らかに、
眠ることができますように。
<結城義晴>